表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/65

五十八、失敗




俺たちはやがて本部の近くまで来た。


「いいか、俺は門の前まで行く。お前は裏に回ってくれ」


俺は智博にそう言った。


「ほんとに大丈夫なの・・?」

「大丈夫だ。それと、もし成功したらすぐに港へ行くんだぞ」

「飯島くんはどうしよう・・」

「飯島は一番あとだ。とにかくお前に任せる」

「うん、わかった。石竹くん、絶対に捕まっちゃダメだよ」

「ああ。逃げて逃げて、逃げきってやる」


そして俺は門へと近づいた。

智博は壁沿いを左側の方向へ走って行った。

あいつは、壁をよじ登るロープだって持ってる。

それと武器となる、ヘビやムカデも持っている。

智博なら大丈夫だ。


俺は門の前をウロウロしていた。

誰もいないようなので、門をガタガタと動かした。

ムリだとわかりつつも、南京錠を外そうともした。


早く来いよ。

ほら、ここだぞ。

俺は「わあーーーー」と大声も挙げた。


「ほら、ここだぞ!わざわざ来てやったんだぞ!」


ウウウウ~~~!


するとまたサイレンが鳴りだした。

よし、気がついたな。

俺はしばらく待ったが、一向に誰も来る気配がなかった。


なにやってんだよ・・


「おおおーーーーい!俺はここだ!ここにいるぞっ!」


するとほどなくして、車の走る音が聞こえた。

よしっ、来たぞ。

俺は逃げる用意をした。


車はやがて門の近くまで来て停まった。

俺は今だと思い、急いで走り出した。


「待て!」


俺はその声も無視して走った。


「待てと言っている!こいつがどうなってもいいのか!」


え・・どういうことだ・・


俺は立ち止まって振り向いた。

すると英二が智博を捕まえていた。

智博は縄で縛られ、猿ぐつわもされていた。

なにっ・・嘘だろ・・


あっ・・さっきのサイレンは、智博を見つけたサイレンだったんだ・・

しまった・・くそっ・・


考えたら、こんな安易な作戦・・成功する方がおかしかったんだ・・

助け出すといっても、智博がどうやって一人で出来るというんだ・・

俺は後悔した。

こんなことなら、俺が一人でここへ来て、捕まった方がよかったんだ・・

智博は最後の頼みの存在だったのに、台無しにしてしまった。


俺は降参して門へ戻った。


「お前・・一度ならずも二度までも。なんてガキだ」


英二は鍵を開けて俺を中へ入れた。

智博を見ると、俺に目配せをしていた。


なんだ・・智博・・なにを伝えようとしているんだ・・


「お前らのせいで、伸彦は死んだぞ」


英二が俺を睨んでそう言った。


マジか・・

マムシとムカデに噛まれて死んだのか・・

でもそれは、お前らのせいじゃないか。


「俺もこの通りだ」


英二は口を開けて、腫れた舌を見せた。


「なにを・・もたもたしてるんですか」


車から下りて来たのは憲司だった。

その後に、正紀も姿を見せた。


「航太くん・・きみは相変わらず問題を起こしてくれますね」

「・・・」


俺は暴行の恐怖が蘇り、一言も発することができなかった。


「もう降参しなさい。正紀っ」


憲司がそう言うと、正紀は俺を縄で縛り猿ぐつわもした。

そして俺と智博は、車の後部座席に乗せられた。


「それにしても・・智博が生きてたなんてねぇ。青天の霹靂でした」


憲司が助手席でそう呟いた。


「今回の騒動は、智博の悪知恵だったのですね」


智博は憲司の後姿を睨んでいた。


「伸彦を殺し、英二にはこの仕打ち。大したもんです」


憲司はそう言って笑った。


「きみたちには、たっぷりと教育してあげますから、楽しみにしててください」


やがて車は本部へ着いた。

そして俺と智博は下された。


「さて・・きみたちに入ってもらう部屋ですが・・AとB、どちらがいいですか」


憲司は冷たい視線を俺たちに向けた。

俺たちは黙っていた。


「あらあら、これじゃ喋れませんね」


憲司は正紀に目配せをして、正紀は俺たちの猿ぐつわを外した。


「さあ、AとB、どちらですか」

「・・・」

「答えないと三階へ連れて行きますよ」


憲司は手術室のことを言った。


AとBだと・・

どっちだ・・

どっちにしたって、碌なことはないに決まっている。


「A・・」


智博が答えた。


「俺もA・・」


俺もそう言った。


「二人ともAですか。まあいいでしょう。なにか策を講じたとしても絶対に実行できませんからね」


憲司は冷たく笑った。

どんなところなんだ・・

直也も蒼空も、和哉も慎之介も・・どこにいるんだ。

田地は・・どうしているんだ・・


そして俺たちは建物の中へ入れられ、階段で二階へ上がらされた。


「憲司さん・・」


俺が憲司を呼んだ。


「なんですか」


俺たちの前を歩く憲司は、振り向きもせず答えた。


「直也や蒼空・・みんなはどこにいるんですか・・」

「それを訊いてどうするんですか」

「無事なんですか・・」

「さあ?私は知りません」


憲司はからかうように言った。

くそっ・・答えないつもりだな・・

いいさ、きっと見つけ出してやる。


やがてドアに「A」と書かれた部屋の前についた。


「さて、ここでゆっくりと教育してもらいなさい」


そして正紀がドアを開けた。

すると中には、一体のマネキンが置かれてあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ