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四十八、謎の光




俺たちは、ジーナを次に畑へ案内し、一通り見て回った後、「海を見に行く」と言った。

海って・・俺たちが一時いた、あの砂浜のことだ。

あそこへ行けるのか・・。


「総帥、海までは距離がございますが、よろしいのでしょうか」


飯島がジーナに訊いた。


「かまわぬ」

「承知しました。それでは海に案内いたせ」


飯島は俺たちにそう命じた。


「あの・・ジーナ総帥・・」


俺はジーナに声をかけた。


「なんだ」

「海にはあまり行かれたことがないのですか・・」

「何の目的で、そのようなことを訊いている!」


飯島が俺をたしなめた。


「いや・・別に目的はありません・・」

「樹生・・かまわぬ」


ジーナは飯島を制した。


「はっ・・」


飯島は少し頭を下げた。


「私は生まれてこのかた、島を出たことがない。したがって海も数えるほどしか見ておらん」

「そうなんですか・・」

「この機会に見たいと思っていたのだ」

「そう・・ですか・・」

「さ、案内いたせ」


ジーナは催促した。

ジーナって、曲がりなりにも総帥だよな。

海なんか見ようと思えば、いつでも見られるだろう。

それに島を出たことがないって・・どういうことだ。


この島には港だってあるじゃないか。

それこそ出ようと思えばいくらだって出られるはずだ。


「行こか・・」


直也が俺の腕を引っ張った。

俺と直也は二人の前を歩き、海まで案内することになった。


「総帥って・・この島で生まれたんかな・・」


直也が小声でそう言った。


「どうなんだろう・・なんか、謎だらけだよな・・」


俺たちは不思議に思いながら、もくもくと歩き、やがて海に到着した。


ああ・・この浜だ。

家は倒壊したけど、俺はここに流れ着いたんだ。

水平線しか見えない海は、相変わらず美しかった。


ジーナは砂浜に座り、遠くを眺めていた。

俺と直也はそれを遠巻きに見ていた。


「飯島のこと・・どうする?また声かけてみるか」


直也が言った。

飯島はジーナの傍で立っていた。


「どうするかなぁ・・あいつ口を慎めとか言ってたし、声をかけるにもジーナがいるしな」


しばらくするとジーナは横になり、飯島が上着をかけていた。


「寝たみたいやな・・」


直也が呟いた。

すると飯島が俺たちの方へ歩いてきた。


「おい・・飯島、来たで。どうする・・」

「今ならいいかもな・・」


俺は声をかけることにした。


「総帥はお休みになられた。お前たちもしばらく休むがよい」


飯島が言った。


「飯島・・」


俺が話しかけた。


「お前・・また飯島と言ったな」


飯島は、また怪訝な顔をした。


「俺たちのこと覚えてないのか」

「なにを言っている」

「俺、石竹航太だよ。覚えてないのか」

「俺、佐竹直也。関西弁の佐竹直也やで」

「お前たち、無礼だぞ。私はお前たちなど知らん!」


飯島は、どうやら本気で覚えてない様子だった。


「俺たちさ、一緒に無人島体験ツアーに参加して、それでお前、高所恐怖症で、崖から下りるとき、死ぬ思いをしたんだぞ。覚えてないのか」

「異なことを。私はこの島で生まれこの島で育った。両親も本部にいる」

「えっ・・」


なに言ってるんだ・・

両親って・・そんなのいるわけがない。


「それに飯島とはなんだ。私はラムダ樹生。ラムダ樹生だ」

「飯島・・田地って覚えてないか」

「田地・・?なんだそれは」

「お前、田地を死なせたくないって、テント村を脱走したじゃないか」

「理解不能だ。作り話ならやめろ」

「飯島!お前、なにされたか知らんけど、お前はラムダに騙されてる。作り話はお前の方やっちゅう話や!」


直也が詰め寄った。


「飯島、しっかりせぇ!総帥かなんか知らんけど、あいつは殺人集団のリーダーや!お前、このままやと人殺しに手を染めることになるで!」


そこでジーナが起き上がった。

しまった・・聞こえたのか・・

いや、この距離だ。

聞こえるはずがない。


ジーナは立ち上がってゆっくりとこっちへ歩いてきた。


「総帥、お目覚めですか」


飯島がジーナに駆けよった。


「うん」


ジーナは無表情でそう言い、上着を飯島に渡した。


「せっかくの睡眠を邪魔された」


ジーナの顔は、更に無表情になった。

も・・もしかして怒ってるのか・・


そしてジーナは直也の顔をじっと見た。

直也は得体のしれないジーナの様子に、少し後ずさりをした。

ジーナは更に直也を凝視した。

するとジーナの目が光ったと思ったら、直也は倒れて気絶した。


「な・・直也!」


俺は直也を抱きかかえた。


「次は気絶だけでは済まないぞ」


ジーナは俺を見下ろし、冷たい視線を向けた。


「総帥・・一体これは・・何の真似ですか・・」


俺はそう言った。


「村へ帰るぞ」


ジーナは飯島にそう言い、俺たちを置いて先に歩いて行った。


「おい、直也!しっかりしろ!」


俺は直也の頬を叩いた。

すると直也の意識が戻った。


「直也!」

「あ・・石竹・・」

「大丈夫か!」

「え・・なんで俺・・」


直也は自分が倒れたことに気がついていない様子だった。


「直也・・お前、目は大丈夫か」

「え・・?」

「ジーナの目が光っただろう」

「目が・・?なに言うてんねん」

「ちょ・・直也、覚えてないのか」

「あれ、総帥は?」

「先に歩いて行ったぞ」

「そらあかんがな。追いかけな」


直也は立ち上がった。


なんなんだ・・

たった今ここで起こったことは・・なんだったんだ・・

直也の記憶が・・消された・・?

というか・・ジーナの目の光・・あれはなんなんだ。

ジーナって・・何者なんだ・・

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