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二十四、先が見えない不安




俺たちは浜へ行くのは危険だと判断し、洞窟がないか探し回った。

早く見つけないと、真っ暗になる。

そうなれば、一歩も先を進むことは不可能だ。

京子の家にあった、ろうそくやマッチも持ってきたが、ラムダに見つからないように使用は控えていた。


しかし、歩けども歩けども、洞窟は見つからなかった。


「どうする、飯島」


先頭を歩いていた飯島に、俺が声をかけた。


「そうだな・・この辺りで今夜は野宿するしかないね」


飯島は振り返って言った。

周辺は木々が生い茂り、視界も悪かった。


「危険な野生動物とか・・襲ってこないかな」


田地が頼りなく言った。


「そうも言ってられない」


飯島は荷物を置き、「食事にしよう」と言い、袋から肉の燻製を取り出した。

俺たちは車座になり、それぞれ飯島から燻製を受け取った。


「寝るのも交代制にしない?」


蒼空が肉をかじりながらそう言った。


「そうだな。二人ずつにするか」


俺がそう言った。


「時間がわからないから、そこは適当でいいね」


飯島がそう言い、俺と蒼空、飯島と田地という組み合わせで、交代しながら寝ることが決まった。


それから俺たちは、誰からともなく他愛もない日常の話をしだした。


「蒼空くんって呼んでいいよね」


飯島がそう訊いた。


「もちろんいいよ」

「蒼空くんって、兄弟は?」

「二つ上の兄貴がいるよ」

「そうか。僕は一人っ子なんだ」

「田地は?」


俺が訊いた。


「僕はお姉さんがいるよ。五つ上。石竹くんは」

「俺も姉貴がいる。三つ上のな」

「田地の家は、すごくお金持ちなんだよ」


飯島が言った。


「へぇーそうなんだ」

「僕たち同じ塾って言ったよね。経営者は田地のお父さんだよ。しかも何か所も持ってるし」


げ・・マジで。

あ・・だから飯島は田地のこと「腰抜けのボンボン」って言ったんだな。


「別にお金持ちじゃないよ」

「豪邸とかに住んでるんでしょ」


蒼空が興味深げに訊いた。


「豪邸じゃないよ。エレベータ付きの三階建てなだけ」


バカか。それを豪邸って言うんだぞ。


「あはは、それってマジで豪邸じゃん」

「ほんとそれな。普通、家にエレベータなんて付いてないぞ」

「仕方がないだろう。お爺ちゃんとお婆ちゃん、足が悪いんだもん」


田地は、まさに甘やかされて育ったって感じだな。

俺と蒼空は普通のサラリーマンの家だし。


「飯島は家は、どんなだ?」


俺が訊いた。


「僕の家は、父が医者なんだ」

「ええ~~!すごいじゃん」

「別にすごくないよ」

「じゃ、飯島も医者になるのか」

「わからない。でも、なれって言われてるよ」

「そりゃそうだよな。一人っ子なら尚更だぞ」

「ああ~、だから塾ってわけだね」


蒼空が言った。


「まあ、ね」


しばらくの間、こんな会話が続いた。

そして最初に飯島と田地が寝ることになった。


漆黒の闇というのは、こんな状態のことをいうんだろうと思うくらい、辺りは真っ暗になった。

今夜は月も星も出ていないし、明日は雨かも知れないな。

飯島と田地は、ほどなくして眠った。


「洞窟を探すのもいいけど、イカダはどうするの」


蒼空が訊いた。


「同時並行で進めるしかないよな」

「オールも造らないといけないし」

「しかも、ラムダに見つからないようにしながらだからな・・」

「僕さ、色々と考えたんだけど、京子さんは罪人だから殺されたんだろうけど、僕たちはどうなんだろう」


俺は蒼空が何を言いたいのか、いまいちわからなかった。


「どうって」

「ラムダは僕たちを、一族に加えようとしているんだよね」

「ああ・・」

「だったら殺されることは、今のところないと思うんだ」

「まあな」

「で、これまでの僕たちに対するラムダの行動から推測すると、僕たちは常に監視されているんじゃないかな」

「・・・」

「つまり、今後も僕たちを試すってことなんじゃない?」

「っていうことは、洞窟へ行こうが、イカダを造ろうが、とりあえずは泳がす、と」

「うん。でもイカダで脱出しようとすると阻止されると思うんだ」

「じゃあ、脱出する手立てがないじゃないか」

「僕さ・・」


蒼空が急に深刻な声を出した。


「なんだよ」

「すごく嫌なんだけど、戦うしかないんじゃないかな・・」

「えっ・・戦うって、どういうことだ」

「もう、こちらから仕掛けるっていうか」

「そんなこと無理だって。武器もないし」

「もちろん、準備するんだよ。その上でってことだよ」

「準備っていったって・・」


戦うなんて、無理だ。

相手は京子を殺したんだぞ。

こっちは、普通の高校生。

しかも田地がいるんだぞ。

不利なのは明らかだし、殺されて終わりだ。


「一日も早く、こんな理不尽で危険なこと終わりにしないと」

「そうりゃそうだけどさ・・」

「まあ、とりあえず明日は洞窟を探そうよ」

「うん・・」


ラムダって、この島のどこにいるんだろう。

島の大きさは?

向こう側はどうなってる。

様々な疑問が頭をよぎる中、俺と蒼空は飯島たちと交代し、眠りについた。

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