十四、謎の階段
ひょっとしてこれが・・ゲームの終わりってことなのか。
もう五日経った。
俺たちは島から脱出することに失敗したわけだ。
それで・・さっきの地震だ。
入口は岩で塞がれ、出口を失った。
だとするならば・・この先を進んでも行き止まり・・?
俺たちは行き場を失い、死ぬのか・・
俺はそんなことを考えながら、飯島の後をついて歩いた。
「なにか見える・・?」
最後部にいる田地が訊いた。
「いや、まだ何も見えない」
飯島が答えた。
「だ・・大丈夫なの・・?」
「田地、今から戻るつもりかい?」
「いや・・そういうわけじゃないけど・・」
「だったら着いて来るしかないよ。大丈夫だよ」
飯島は怯える田地に、優しく接した。
実際のところ、俺だって怖い。
でも今は、混乱だけは避けなければならない。
まだ死ぬと決まったわけでもないし、落ち着ける間は落ち着かないとな。
「あっ!」
そこで飯島が叫んだ。
「どうした、飯島!」
俺が訊いた。
「階段がある・・」
飯島が照らす先には石の下り階段があった。
蒼空と田地も、見て驚いていた。
「なに・・この階段」
飯島が呟いた。
無人島の洞窟に謎の階段・・
普通は行っちゃいけないよな。
引き返すべきなのだろうが・・出口が塞がれているんだ。
飯島は階段の周りを照らして、他に道がないか確認していた。
「まだ奥があるのか?」
俺が訊いた。
「うん、あることはあるけど、これはきついかもだよ」
飯島が照らす先には、人が一人通れるかどうかの細い道になっていた。
俺は思った。
田地は絶対に無理だと。
僕を置いていかないで、と言ってた田地の顔が頭に浮かび、細い道を行く選択肢はないと思った。
実際、田地もその道を見て呆然としていた。
「田地、置いていかないからな。安心しろよ」
俺は慰めるように言った。
「そうだよ田地くん」
蒼空もそう言った。
「じゃあ、どうするの・・?階段を下りるの・・?」
田地が訊いた。
「それしかないか・・」
飯島が、また階段を照らした。
それでも俺たちは、足がすくんで一歩踏み出すことが出来ないでいた。
「この階段は人工的に造られたものだよね。だとしたら、居住空間とかあるんじゃないの?」
蒼空がそう言った。
「あっ!防空壕とか」
飯島が言った。
「確かにな・・。人はいないだろうけど、なにか役に立つ物とかあるかもな」
そして俺たちは顔を見合わせ、行く決心をした。
「じゃ、下りるよ」
飯島は一歩ずつ階段を下りて行った。
二十段ほど下りたところで、扉らしき入口にぶち当たった。
その扉は木でできており、どうやら押して入るようだ。
「開けるよ・・」
飯島は慎重に扉を押した。
ギィィィ・・
まるでホラー映画の効果音のように、木の扉は古めかしい音を立てた。
飯島は更に慎重に、辺りを照らした。
「うわあ~~!」
飯島が何かを見つけ、大声で叫んだ。
「なんだ!どうした、飯島!」
俺がそう言った。
「あれ・・なに・・?死体・・?」
飯島が照らした先には、人間らしき物体がうつ伏せで倒れていた。
「ぎゃあ~~~!」
それを見た田地は、半狂乱になっていた。
蒼空が必死で田地を落ち着かせていた。
「ちょっと貸して・・」
俺は飯島の懐中電灯を受け取り、少しだけ物体に近づき確認してみた。
あ・・これは死体じゃないぞ。マネキンだ。
海で倒れていたのと同じやつだ。
「飯島、これって、マネキンだぞ」
「え・・」
飯島は俺の傍に来て、マネキンだと確認したら安堵していた。
「ぎゃああ~~!」
田地はまだ混乱していた。
「おい、田地!死体じゃないぞ。マネキンだ」
俺がそう言うと、ようやく田地は落ち着きを取り戻した。
「ねぇ、航太」
蒼空が言った。
「なんだよ」
「それって・・またメッセージが書いてあるんじゃないの・・」
「あ・・」
確かにそうだ。
仰向けにしたら、きっと胸のあたりにメッセージが書いてあるに違いない。
俺はマネキンを仰向けにし、胸を照らした。
―――まだ生きているようですね。もし、このメッセージを見たのが最終日ならば、洞窟は塞がっているはずです。したがって出口はありません。けれどもここに辿り着いたことを評価ポイントとして加味し、更に五日間、脱出のチャンスが与えられ、この部屋を使用することを許可します。健闘を祈ります。
俺がそのメッセージを読み上げた。
「使用するっていっても・・何もないよ」
蒼空が落胆して言った。
「ちょっと待って。使用許可を出したということは、きっと何かあるはずだ。僕たちがここへ辿り着いたとしても、なにも持ってない可能性の方が高いんだし、きっと何かあるはずだよ」
飯島が俺から懐中電灯を取り、部屋中をくまなく照らしていた。
「ああっ!」
飯島が何かを見つけた。
「この箱は、なんだ」
飯島が大きな木箱を見つけた。
「開けるしかないぞ」
そして四人で協力し、木箱を開けた。
すると中には、食料の缶詰、水、ろうそくとマッチが入っていた。
「わああ~~!」
田地は缶詰を手にして、大喜びしていた。
飯島が急いでろうそくに火を点けていた。
すると部屋の全体が確認できた。
おそらく十畳くらいの広さだろうか、四人で居るには十分だった。
「とりあえず、よかったよね」
飯島は懐中電灯の灯を消した。
「でもさ・・また五日間だけだよな」
俺が言った。
「そうだね。その間に、また考えないといけないね」
俺たちは地面に座り、水を飲み、缶詰を食べたのだった。




