十二、魚獲り
「飯島、ほら、道具を持ってきたぞ」
洞窟に着いた俺たちは、小屋で見つけた道具を飯島に見せた。
「えっ!そんなものどこにあったの?」
「小屋があってさ」
「小屋って・・山小屋?」
「いや、なんか材木とか置いてたから、人は住んでなかったみたいだぞ」
「そこへ移動する方がいいと思う?」
「どうなんだろな。結構、遠いし、とりあえずここでいいと思うぞ」
そこで俺と蒼空は、道具以外に拾った棒を飯島に渡した。
「これ、頼むな」
「わかった」
「それとさ、獲物を見つけられなかったから、これで魚を獲って来るよ」
俺は網を持って見せた。
「そっか。頑張ってね」
そして俺と蒼空は、休む間もなく浜へ向かった。
浜に着くと、田地は飯島の言いつけ通り、砂浜で座っていた。
「田地にも手伝わせてみるか?」
俺が蒼空に訊いた。
「え・・手伝わせるって、どうやって?」
「あいつも座ってるだけじゃ暇だろ。んで、ちょっとは働かないとな」
「うん・・まあね」
蒼空は消極的だったが、俺は田地に声をかけることにした。
「おい、田地」
そこで田地が振り向いた。
「なんだよ」
「お前も手伝えよ」
「なにを」
「魚獲りだよ」
俺は網を見せた。
「え・・その網、どうしたんだよ」
「山で見つけたんだよ」
「へぇ~」
田地はなんとも間抜けな顔で、俺たちを見上げていた。
「お前も腹が減ってるんだろ」
「そうだよ!ペコペコだよっ」
「だったら手伝えよ」
「どうするのさ」
「さあ、それは俺たちにもわからない。でも網をかけることで、魚が獲れるかも知れないだろ」
「ふ~ん」
「ほら、田地くん、立ちなよ」
蒼空が言った。
「仕方がないねぇ・・。どっこらしょっと」
さて・・そうは言ったものの、どうするかだ。
とりあえず、三人で網を広げて沖へ投げて・・引っ張る?
その繰り返ししかないな。
「よしっ」
俺はまず服を脱いだ。
「魚の居所を確かめて来るよ」
「あ、じゃあ僕も」
蒼空も服を脱いだ。
田地は俺たちを見ているだけだった。
「田地、待ってろよ」
そして俺と蒼空は海に潜った。
おお、いるいる。
小魚がいっぱいいるぞ。
俺は海中で蒼空に「ここ」と指で合図した。
蒼空も「うん」と頷いた。
「プハーー」
俺と蒼空は海面に顔を出し、「よし」と言って浜へ上がった。
「おい、田地」
「なんだよ」
「小魚がたくさんいるから、網を投げるぞ」
「どうすればいいんだよ」
「お前も服を脱げ」
「えぇ~~・・」
「濡れてもいいなら、そのままでいいんじゃないか」
「っんだよ・・」
田地は仕方なく服を脱いだ。
「んじゃ、入るぞ」
そして思いっ切り網を投げた。
「よーし、引っ張るぞ」
浜へ上がり、一気に網を引っ張った。
すると数匹の小魚が引っかかっていた。
「おおお~~!やったーー!」
蒼空が大喜びしていた。
「ひゃ~~!マジで獲れてるぞ!」
俺もとても嬉しかった。
「へぇ・・」
田地はどこか戸惑っている様子だった。
「なんだよ、嬉しくないのか」
俺が訊いた。
「いや・・そんなことないけど」
「よーーしっ、じゃもう一回やるぞ」
その後、数回同じことを繰り返し、かなりの小魚が手に入った。
「よしっ、これで本日の食料確保!」
「よかったね!航太」
田地は黙っていた。
「おい、田地」
「なんだよ・・」
「お前、マジで嬉しくないのか。念願の食料だぞ」
「いや・・まあ嬉しいけど」
「けど、なんだよ」
「その・・ゲームってさ、本当なの・・?」
「え・・」
「僕たち、なんでこんなことさせられてるんだよ」
「そんなこと、俺にもわからないよ」
「田地くん、そんなこと考えても仕方がないよ」
蒼空が言った。
「どうして?」
「実際に迎えは来ないだろ。だったら今どうするかを考えて実行するしかないよ」
「生き延びたところで、あと四日で脱出しなければ死んじゃうんだろ」
「うん」
「だったら、こんなことしてる場合?」
「どういう意味だよ」
「脱出する方法を考えることに集中するべきだろ」
「だから、それを考えるにも、食べる物が必要じゃないか」
「そうだけど・・」
田地の不安な気持ちは、俺も同じだった。
今のところなにも手立てがなく、時間が過ぎて行くばかりだ。
最終日を迎えた時、俺たちが一体どうなるのか、全く想像すらできない。
殺人集団がやって来て皆殺しにされるのか、はたまた激しい嵐に見舞われてしまうのか、半魚人みたいなのが現れて食われてしまうのか・・
「脱出方法は、田地くんも一緒に考えようよ」
「考えるっていったって、僕、バカだし」
「みんなで知恵を出し合えば、なんとかなるよ」
「さっ、とりあえず戻って、これを焼いて食おう」
そして俺たちは洞窟へ戻った。




