そのタイトル、クソだから。
先日投稿したエッセイ『ネット小説なんてやめちまえ!』がランキング3位に登り詰めました。
みなさま、多くの感想とポイントをありがとうございます。
さて、今回お伝えしたい内容はタイトルの通りです。
ぶっちゃけこれ以上語るべきことはありません。
しかし、このままでは意味がわからない上に、自分がとてつもなく貶されたように感じる方も多々いらっしゃると思うので、詳しく解説していきましょう。
あらためて言います。
そのタイトル、クソだから。
こう言われてカチンときた人は少なからず心当たりがあるはずです。
そんなあなたは何度も何度も考え直し、想像を絶する試行錯誤を繰り返して作品を書き綴り、それを見事に表したタイトルをつけていることでしょう。
それ、意味ないですから。
少なくともネット小説においては。
かくいう私も同じ穴のムジナです。
『黒滅のラグナ ─嫌われ者の英雄譚─』だなんて中二病も甚だしい、いかにもカッコつけたタイトルを代表作としている身なのですから。
無論、私自身は当作品を表すタイトルとしてこれ以上のものはないと確信しています。
このタイトルだけで内容を説明できるのです。
〝嫌われ者が英雄になる〟という内容を。
しかし、しかしです。
あなたはこのタイトルを見て「わぁ、すっごく面白そう! 読んでみたいな!」と思ったでしょうか?
思わなかったでしょう?
大方、「うわぁ……」とか「気になるけどわざわざ時間を割いて読むほどではないな」とか、その程度ではないですか?
もし本当に気になっている方がいらっしゃいましたら、ぜひ私の名前をツイッターで検索してプロフィールから飛んでください。
ただしR18なので読めるかどうかはあなた次第。
内容は、私の独断と偏見によれば間違いなく最高傑作です。
ラグナ以上にかっこいいヒーローを、ユイ以上にかわいいヒロインを作ることはできないと自負しています。
閑話休題。
タイトルについて話を戻しましょう。
なぜ、あなたのタイトルがクソなのか、それを私なりに説明していきます。
読めば少なからずネット小説界隈で生き残りやすくなるはずです。
では、まずはじめに。
書籍とネット小説の違いはなんでしょうか?
縦書き? 横書き?
プロが書いている? 素人が書いている?
どれも正しいですが、私が一番に訴えたいことは〝表紙の有無〟です。
『ネット小説なんてやめちまえ!』でも書いた通り、ネット小説には表紙がなく、タイトルとあらすじとタグがあるだけ。
この意味がわかりますか?
読者はタイトルとあらすじとタグでしか作品の内容を想像できないんですよ。
しかも、大半の読者はテンプレを楽しんでいる層です。
そんな界隈にカタカナやらアルファベットやら聞き慣れない単語やらで飾りつけたわけのわからんタイトルなんてぶら下げたところで誰も食いつくはずありません。
先ほどの『黒滅のラグナ ─嫌われ者の英雄譚─』のくだりを思い出せば納得していただけるでしょう?
パッと見で興味を惹けないタイトルの作品は、内容がどんなに良くても読者目線では無意味で無価値なのです。
だからテンプレに沿った長文タイトルばかりがランキングに載るんです。
単語一つや摩訶不思議ワードで読者を魅了できるのは、表紙があったりブランドやネームバリューが強力である場合に限ります。
無名のあなたが有名人の真似をしたところで誰にも相手にされません。
いわゆる路傍の石というやつです。
散々傷つけるようなことを言ってすみませんね。
ここから先はもうちょっと生産的な話をしましょうか。
さて、カッコつけたタイトルやひねりにひねったタイトルがクソであることは説明しました。
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ!」
ごもっともな意見です。
お答えします。
考え方を変えるんです。
あなたはタイトルを〝作品の内容を端的に表す〟ものだという認識を持っていませんか?
それがそもそもの間違いです。
ことネット小説に関しては、タイトルもあらすじもタグも〝広告〟の一種と考えるべきです。
そして、広告の役割は、品物に興味を持ってもらうこと。
決してバカ正直に品物の説明をすることではありません。
これを知った上で同じ間違いを侵すなら、あなたは残念ながらどうしようもないバカです。
ご安心を、私も同じですから。
弱者の傷の舐め合いはさておき、効果的な(魅力的ではなくあくまで効果的な)タイトルを作るには何をどうすればいいか?
それについて一緒に考えていきましょう。
ちょっとした広告のお勉強です。
まず、自分の作品の強みを把握します。
それはバトルだったり恋愛だったり様々ですが、己の武器を知ることは今後の創作活動でも大いに役立つはずです。
次に、それに合ったテンプレワードを選びます。
ようするに大喜利なんですよ、ネット小説なんて。
主人公がトラックに轢かれて異世界転生し、神様からご都合主義でチート能力をもらって無双やハーレムやスローライフを楽しむ。
これをテーマにオリジナリティを盛り込んでいるに過ぎません。
サイト自体がこのお題をメインに据えているのに(というより読者がそればかりを選ぶので必然的に据えられる)、お題を無視して自分の好きなテーマで語り始めたらそりゃあ相手にされませんよ。
観客が期待している内容を話せないストーリーテラーなんてただのおじゃま虫。
ですので、作品をわかってもらいたいならせめて読者が慣れている言語を用いるべきなんです。
それがテンプレワードというわけですね。
郷に入っては郷に従え、とも言います。
そして、最後に。
あなたの作品に興味がない人にも、ちゃんと内容が伝わるようなタイトルにすること。
再び『黒滅のラグナ ─嫌われ者の英雄譚─』を例にあげましょう。
そろそろ名前くらいは覚えてもらえましたかね?
このタイトル、私的には最高なんですが、知らない人が見たらどんな内容なのか理解できないはずです。
ファンタジー? 現代モノ? SF? もしかしたら学園や異星が舞台かもしれない、いや、まさかの恋愛モノの可能性も……?
ちょっとオーバーに演出しましたが、パッと見で抱く印象はこんなところでしょう。
これをなろう風にすると……
『異世界転生して記憶喪失になった俺が一目惚れしたヒロインを守るため戦っていたら、いつのまにか英雄と呼ばれるようになっていた』
こんな感じでしょうか。
このタイトルだけで世界観、主人公の境遇、ヒロインとの関係性、ストーリーの終着点がざっくりと説明できているんです。
さらに、主人公の戦闘シーン、ヒロインとの恋愛、ヒーローとしての成り上がりなどが含まれた作品だということがわかります。
例えを変えましょう。
あなたは今、どうしてもカレーが食べたい。
そんなあなたに見知らぬ人が「『黄金の泥』オイシイヨ、買ッテヨ」と言ってきたらどうしますか?
『黄金の泥』がめちゃくちゃ美味しいカレーだとしても買いませんよね?
だったら市販のボンカレーとかバーモンドカレーとかのほうが安心できるはずです。
自分のウリを、読者の求めるワードで説明する。
これが今回の話のキモです。
なんだか例え話が多かったような気もしますが、まとめると、
テーマ:読まれるタイトルにするには?
①自分の作品のPRポイントを自覚する。
②テンプレワードを使う。
③興味のない人でも理解できるようなタイトルにする(必然的に長くなる)。
③に関しては「中学生に理解してもらえるようなタイトルにする」でもいいかもしれませんね。
カッコいいオシャレなタイトルはいりません。
そういうのは有名になってからか、よほど作品の内容に自信があるか、口コミで広められる人脈を持っている人になってからのほうが無難でしょう。
あと、あんまり好きではありませんが、主人公よりヒロインの萌えポイントやエロいところをアピールするようなあらすじを書いたり、タグだけで内容がわかるようにしたりすると、もしかしたらグッとPVが伸びるかもしれません。
基本的に読者は無名なあなたごときなど歯牙にもかけない、ということを念頭に置いて創作に励んでください。
あなたのクソみたいなタイトルがクソじゃなくなることを祈っています。
早く私の同類から脱却してくださいね。
では。
もし、このエッセイに書いてあることを実践して本当にPVが伸びたという方がいらっしゃいましたらご連絡ください。