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10 入り口はどこ?

予定通り投稿できず申し訳ありませんでした。

「え?」


 ウサギが『入り口が見つかっていない』。そう聞いたとき悠は正直目の前の不思議なウサギのいっていることが理解できなかった。その雰囲気にあわてたウサギはこうまくしたて始めた。

 

「いえね、私も一生懸命探したんですよ。でも私こちらの国に来たの初めてでして」


「うん」


「今まで私が訪れた国々の街な大体どこかにウサギ穴があるので、そこからご案内することが多かったのです。ですが、この街いくら探し回ってもウサギ穴が見つからず……」


 そこまで言ってばつの悪そうな顔をするウサギに悠はこういった。


「うん、そうだと思うよ。日本でウサギ穴? っていうのがあるところほとんどないと思う」


「え? なんですって? ウサギ穴が、ない?」 


 そうなのだ。前にも言ったと思うが日本という国では普通野生のウサギというのは見かけることがほとんどない。だからウサギ穴なんてものを悠が見たことがないのは当然だった。


「うん。たぶん。少なくてもボクはみたことないよ」


「なんと……」


 ウサギ穴がない国がある。そんなことは夢にも思わなかったとばかり、額に手を当てて天を仰ぐウサギに悠から追い打ちが入った。


「ねぇ、ウサギさん。もしかしてボクぼうけんにいけないのかな? ウサギ穴がないから」


 がっかりして肩を落とす悠。こんなのあんまりだと思った。さんざん期待させておいて、ウサギ穴がないからぼうけんにいけないなんてひどい裏切りだと思ったのだ。


 そんな悠の様子にあわてるウサギはこういった。


「そ、そんなことはございません! えぇ、ございませんとも。コンパスと地図もこの辺りに入り口があることを示しておりますし、入り口が近くに、しかもごくごく近くにあるのは間違いございませんのでご安心を!」


 そこまでいってから、ただ……といいつなぐ。


「ユウ、お願いが」


「またぁ? 今度はなに?」


「いえ、これで最後ですので。たぶん。……申し訳ありませんがこのお部屋、いろいろ探させていただいてよろしいでしょうか?」


「どうしてボクの部屋を? いりぐちってドアしかないよ。ほらウサギさんの後ろにあるそのドアだよ」


「いえいえ、そういう普通の入り口ではなく、私どもの世界への不思議な入り口なんですが。それがこの部屋にあるはずなのです。というのも私のいままでの経験上、ウサギ穴以外の入り口は冒険をする方の部屋の中にあることが多いのです。例えば……」


 そういってウサギは部屋のすみにあった悠の両開きのクローゼットを開けた。そして長い耳ごと顔を服がたくさんかかったクローゼットの中に勢いよく突っ込み、そしてゴンという音がした。


「……なんと。クローゼットじゃない」


 どうやらクローゼットではなかったらしい。


「もうなにやってんのさ。そこはボクの服しか入ってないよ」


 こぶができたのか痛そうな顔で頭をさすりながら、ウサギは今度はタンスの引き出しを開けだす。一通り全部開けて、


「ここでもない」


「そこにあるのはボクの服とか靴下とかパンツ。それにイヤだよ、ボク。パンツだらけの入り口なんて」


「それはたしかに」


 どうやらタンスでもなかったらしい。そうして部屋をくまなく見渡すウサギ。しばらく悩みながら部屋を見ているうちに何かに気が付いた。


「ひょっとして……」


 そういってウサギは部屋にあった悠の勉強机に近づいて、おもむろに引き出しを開けた。


 悠はそんなところにあるわけないと思った。だってそこはボクの勉強机の引き出しで、筆記用具とか、お絵かき帳とかマジックとかクレヨンとかが入っている場所でけっして冒険の入り口ではないんだからと。というか昨日もその引き出しは開けたばっかりで絵日記のクレヨンを出したりしまったりしたから間違いないのだ。


 けれど引き出しをのぞき込んだウサギは、一目見たとたん悠を嬉しそうに振り返って手招きしながら、


「ユウ、どうぞこちらに」


 といってくるではないか。やれやれと思いながら引き出しの中をのぞき込んでみると、そこには穴があった。


 いや、穴というよりすべり台だろうか。ゆるやかに傾斜していてそしてほのかに明るくて、そしてどこまで続くのか先が全く見えなかった。


「ね?」


「ね? じゃないよ! ボクのえんぴつとか消しゴムとか絵具とかクレヨンとかどこいっちゃったの?」


「え? あぁ、ちょっとお待ちを」


 そういって一回引き出しをしめて、そしてもう一度開けると悠が昨日最後に見たまんまの引き出しの中身が。そしてウサギがもう一回開け閉めすると、そこにはまたさっきのようにほのかに明るい長い長いすべり台みたいな入り口があらわれたのである。


 そう悠の勉強机の引き出しはいつの間にか引き出しじゃなく冒険の入り口に変わっていたのだ。


 ほえ~とながめるしかない悠。ようやく目当ての入り口を見つけてほっと胸をなでおろすウサギ。そうして手帳を取り出してこう書きこんだ。『二ホンという国では、勉強机に引き出しがありそこがウサギ穴やクローゼットの代わりになることがある』と。


 そうしてからではまいりましょうか、といったやいなやウサギは悠を持ち上げて引き出しからどこまでも伸びるすべり台にひょいと放り込む。


 うわぁぁぁぁぁぁという声がみるみる遠ざかる。


 ウサギは残った不思議な粘土でできたもう一人の悠と後は頼みました、は~いというやり取りをしてから自分もぴょんと跳ねてその穴にとびこんだ。


 こうして悠の夏休みの大冒険は幕を開けたのである。

感想、および誤字・脱字ありましたらよろしくお願いします。


次回以降はかけた時に納得したものがかけた時に投稿することにしました。申し訳ありません。

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