VS神様
初めまして、初投稿させていただきます秋寧汰と申します。これから頑張りますので応援よろしくお願いしまちゅ。パトレンジャー派です。あとクローズ派。
暑い。夏だから。窓から外を見れば汗だくのおじいちゃんに、猛暑の中外でベラベラと話すおばちゃん2人。甘えた環境で過ごしているニートには異世界と錯覚するほど異常に見える。
「辛いことなんて我慢する必要なんてないだろーに」
逃げるが勝ち、なんて言うじゃない。いやまあ、ずっと逃げてても、きっといつかは向き合わなくちゃあいけないってのも、理解してはいるんだけど。
学生時代、特に目標も無くて楽しく今を生きることしか考えてなかった俺は、なんとか就職するも合わなくて結局やめた。それから面倒になって、二次元に没頭。まったく、俺の嫁は世界一可愛いんだぜ。
「が!そんなニート生活はここまでだ!俺はリスタートする!する!!!」
そう、ニート生活一週間目。嫁に応援された俺はついに転職を決意した。
さあ、早速ハローなワークに向かうぜ。クソ暑く暖められたマイカーに乗り、エンジンをかける。
カチッ、カチッとキーを回すのだが、かからない。
「あれ?かかんね」
おかしいな。
カチッ、カチッ。ダメだ、かかんね。
「ンンンンンン!!!!!」
力いっぱい回したら。
「おっ────」
なんだか、視界が明るくなって────
目が覚めたら、髭もじゃのお爺さんが。
あ、死んだわ俺。間違いない。
「目が覚めたようじゃの」
とりあえず第一印象だよな。冷静に振舞おう。
「おはようございます」
「...」
黙りこくったお爺さん。感じ悪いな、ヒゲぶち抜いてやりてえ、がたぶん神様だろう。失礼なことはよそう。
「俺何か悪いことしました?」
「いいや、全く...」
「俺なんで死んだんですか?」
「車が爆発したんじゃ」
「爆発!!!!」
トラックに轢かれるとか、雷が落ちる、とかじゃなくて
「俺爆死したのか...文字通り..ふふ、あほくさ...」
ちょっと笑える。
「そうじゃ。メンテナンスを怠ったせいでな。」
神様のせいでもなかった。もう俺が全面的に悪いじゃんこれ。
「だって外クソ暑かったんですもの...」
「甘ったれたこと言うな!たわけー!!!」
怒られた。このジジイ!!!ぶっ〇してやる!!!
「ふーっ...」
が俺は感情をコントロールできるのだ。老害な神様を引き当てちゃっただけ。我慢。
「ごめんなさい。それで、自分はどうしたら..?」
「どうせ異世界転生したいんじゃろ?もう準備してあるから行ってこい」
何やら荘厳な武器とか防具とかスマホとか置いてある。
なンだコイツ〜!!!腹立つ〜!!!
「そ、それよりもといた世界が気になって...時間巻き戻せたりしませんか?」
「おぉん?異世界転生じゃ嫌だというのかのぉ???」
「いや、爆死したままのほほんと異世界楽しめませんから。家族とか、友達にも申し訳なくて..お願いします!!」
「はん、無職が言うのぅ。」
ブチンと、死んだのに血管切れた。もう我慢出来ねぇ!!!!!!
「職歴がなんだってんですかーー!!!特典よこせコラ!!!!!!」
「本性現しおって!!!神の怒槌を喰らって反省せい!」
ジジイの手を掲げると、空からゴロゴロと不穏な音が。無理無理、避けられないって。
ピシャーン!と目の前に雷が落ちた。俺の転生特典であろう伝説かもしれない武器とか防具とかスマホが吹っ飛んでいった。音も伝導もしない親切仕様だったけど。
「おわっ!?」
腰が抜けて座り込んでしまった。
「お?」
カラン。と、手が何かに触れた。
「はははは、怖かろう...喝っっ!!」
槍だ。こういうのって避雷針になるかな。
思ったら即行動。槍を突き立ててみた。
「!?」
雷は槍に落ち、ひとまず対応成功。
「どーよ...」
フンスと鼻を鳴らし、ドやる。
「生意気な小童めぇ!」
また来るのかと槍を構えてみたのだけど、どこからが聞こえた笑い声にビックリして槍を落とした。
「ははははは!!!!」
急いで槍を拾わなきゃ。
「お、大神様..!」
よし拾った。ジジイがめっちゃ焦ってる。あの笑い声の正体は突如現れためっちゃでかい爺さんか。上司の神様かな。
「とんだ捻くれ者がこちらに来たようだな。好い、好い。」
俺を見据え、褒めてくれた。褒められたのは久しぶりだな。
「あ、あざまーす^^」
「雷が降るなど何事かと思って来たのだが..そうか。異世界転生を望まぬ者もいるとはな。珍しいものだ。」
「俺の嫁は向こうにただ1人なんです。天寧ちゃん!!!彼女を置いては!!行けません!!!」
「き、気持ち悪いなコイツ...」
大神にも引かれてしまった。もっとキレそう。
「ハン、好きの形を否定してるようなのが神様とか笑わせてくれますねホント」
大神様がムッとした顔をする。ちゃんと言おう。怒られて死ぬなら死ぬで構わない。ただ俺の"好き"を否定されるのは最も許せなくて。
「二次嫁でも、ゲイでもレズでもいいじゃないですか。そーやって理解しようとしないから、世の中狭くなってくるんです!」
「然し、ルールはルールだ」
「そうですね、自由の中にもルールはありますもんね。でも、恋の形にルールって、ありますか?」
「ないですよね!!!なあ!!!!!」
神様二人がなんだコイツって顔してる。
「神様!俺の部屋からパソコン持ってきて!」
「わ、私...」
「わかんねーならやってみればいいんだ...」
エロゲを起動し、神様二人の前に差し出す。
「わ、ワシらにやれと...?」
「そうです」
「イカレとるのぉ..」
パソコンを人差し指でタッチする神様二人。
「...」
転がってた武器、防具を元に戻そうとする。
「あーあ、壊れちゃってるし」
剣はひび割れ、防具も傷だらけ。いやだなあ。スマホなんてバラバラだで。
「掃除しちゃいますよ」
そこら辺にあった盾を使って、壊れた武器の破片を乗せて、ゴミ箱に捨てる。もったいねー..ちらっ。
二人は画面に釘付けだ!
「どうすっかなー...」
ゲームの邪魔をされるのはとても頭に来る、俺も理解出来るからそっとしているんだけど..
「この槍は無事か...アレだな、ロン〇ヌスの槍」
勝手に名前を付ける。中二病だから。
とりあえず転生するならこいつは持っていこう。あわよくば擬人化しないかな。グラマラスで甘えさせてくれる女の子に。
天寧ちゃんがいる世界とか、行きたいなあ..
ロン〇ヌスの槍を撫で回したり、くるくる回したりして遊んでたら、神様たちがスッキリした顔でパソコンを閉じていた。
「名は、なんと言ったかな」
「慧です。綾乃、慧。」
「ニートらしくない名じゃの」
この雑魚神はさあ...!
「其方の言っていた恋の形。理解した。」
大神様は理解があった。
「ということで、君に頼もう。」
「ほ?」
「異世界へ転生し、恋のデータを集めてきてほしい。」
「そりゃまた、なんでです?」
「いや〜私が転生させてきたモノたち、殺伐としててな」
「異世界で最強!無敵ー!とか覇王!魔王!とか」
「正直もうそういう枠空いてなくての。世界は平和だし。」
「なるほど。」
「というのは建前じゃ。私キュンキュンしたいんじゃ」
「ワシも」
「そっかあ...ならしょーがねーな!!」
という訳で、改めて転生することになった。
「日本語とか通じるんですよね?ヤバイ奴とかいませんよね?俺最強の身体能力あったりするんですよね?スマホ新しいのくれますよn────
「「ハイハイハイ!行ってらっしゃーーーい!」」
こうして、異世界で恋のデータを集める度が始まった。
俺、どうなるんだろ。
異世界転生もの、書きやすいですね。僕もスマホとか剛腕筋肉で無双したいな〜!
次回、第二話 VS農民 です。お楽しみに!