プロローグ
読み専より巣立ち、ひっそりと書いてみることにしました。
誤字脱字等、無いようには気にかけておりますが見受けられたら感想に書いてもらえるとありがたいです。
駄文ですがよろしくお願いいたします。
「んぁ~~! と、ここは……。」
大きなあくびをひとつして周りを確認。ここは人がまだらで静まり返った、まるでおしゃべりすることを禁じられた図書室のように静かな広場、そのガーデンテーブルで寝ていたらしい。
「楓、起きたか? ズズー、田舎ののどかさを体感したいってお前がゆうから、僕たちは二人で住んでた街からここまで来たんだが…ズルズル…覚えてるか?」
「…思い出した! 雑誌の田舎特集に惹かれて来たんだった。って柊、なに食ってるんだ?」
「え? 何って焼きそばだよ。この広場の奥地で売ってたんだよ。」
「ちょ、おま、なにか買いにいくときは俺も誘えよ。」
住み慣れた街の喧騒が嫌で、気まぐれに手に取った雑誌。
そのなかに載っていた田舎の名所なる記事を便りに遠路電車を乗り継ぎながらバックと友人と共にやってきた、俺こと立花 楓と友人の柊 大和。
来てみたはいいのだが、宿の手配もせず思い付きだけで来たので泊まるところなくしてこの高台になっている広場で一夜を明かすことになったのでした。
ちなみにバックは防水仕様の大容量大型トートバック、価格は1850円の折り畳み自転車も楽々収納のお買い得品だ。
「なんか俺も買ってくるから荷物みといてくれ」
「かしこまり~。」
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楓1人、カバンに入れてあったミニショルダーバッグを装備して、慌てて奥地へと買いにいく。
しばらく進むと、広場の誘導柱に展望台と書いてあるのに気づいた。それに興味を引かれた私は、高台のちょっとした展望台に目を向ける。
その際、ちらっと見たスマホに出ていた時間は五時半、まだ薄暗い展望台をのぞきこんだわたしは思わず絶句してしまった。
眼下に広がる広大な地。そこに点在する木々にはうっすらと雲がかかり、優しく陽光を反射させている。
昼時には違う日の光の力強さ、そしてその光に呼応するかのような木々の緑葉の輝きをみられるであろう丘の展望台は今この時、ほんのりとさしだす日の光が幻想的で何時間でも見ていたくなる程の絶景を生み出していた。
「すげぇ…、これが雑誌に名所と載るゆえんか…。」
こんな心安らぐ見事な光景は街中では見たこともなかった。
この光景こそ、まさに大パノラマと表現するに相応しいであろう。
奥地へいくと、確かにそこには露店が立ち並んでいた。
売り物はもわもわと湯気のたつおいしそうなおこわ、イカや豚肉をふんだんに使った濃厚なソース焼きそば、そしてなぜか砂糖(カップ売り)。
年若いお兄さんとかっぷくのいいおばちゃんで売っている。
「あ、そこのお兄さん! よかったらうちの焼きそばたべていってよ! ほら、いいにおいしてるでしょ~~!! わたしをた・べ・て♪ って焼きそばの声が聞こえちゃいそうなくらい。
そこの無口なヤツの作ってるおこわより断然うちの焼きそばのがオススメだよっ!」
「うるさい! もっと静かに売れよ母さん!」
「やかましいねぇ…。だれがこんな風に育てたのやら。あ、あたしか。ところでお兄さん!」
「え? なんでしょうか??」
「あんたもそこの高台の景色を見に来たくちかい?? 最近は宣伝のお陰で観光の人も増えたんだけれど、そこを狙ってスリに手を出すやつらがいるって噂だから気を付けなよ?」
「あれ? そういえばオレは財布どこやったかな?売り上げばかりきにして忘れてたわ…。」
「あんたはなんでいつもそうホイホイものをなくせるんだい?」
喧嘩するほど仲がいいとの言葉もある位だ。ふたりは仲良しなのであろう。むむむ~とうなりあう親子を横目にカバンからお財布を持っていることをチェックして、カバンに戻す。
噂になるくらいだし用心しておくほうがいいよね!
お財布を確認するため、カバンから1度持ち出して確認したこと。
その場面をそばで見ている人がいるのに気づけなかったこと。
わたしは後にそのことを後悔することとなるのであった。
一人称はそれぞれ
楓、俺
柊、僕
文章、わたし
となっています。
ここまでお読みくださり、誠にありがとうございました。
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