君と僕との物語4
あーあ。まあなんて日なんだ。まったく。今日は本当に着いていない。
ついてないもなにもその元凶は僕自身の寝坊なのだから。
しかたない。服装や髪の毛を整えて教室に戻る。足取りが妙に重い。
教室のドアが再びひらく。再び皆の注目にさらされる。
そして再びざわめきと爆笑の渦に包まれる。あーあ。やらかしてしまった。本当に。僕の華(?)の3年間はこれでパアだ。僕はこのまま3年間この大事な青春時代に伝説を残して笑われて過ごすことになるのだ。そして僕はいじめられるのだ。全くもって最悪とはこのことだ。生き地獄コース決定の瞬間だ。そんなことはもとより、この先どう過ごそうか。ずっとおとなしくすごすか。このネタを売りに人気者になるか。まあそんなことにはならないだろうが。
「君、席につきなさい」
「はい・・・・」
指された席は、窓際5番目の席。後ろから2番目の席であった。僕にはお似合いの席だ。まさに僕こそ窓際、瀬戸際だ。
われながらうまい。この最悪の状況の中とんちをきかせている場合ではないのだが。僕はゆっくり指された席にすわる。はーは。やっと一息つける。そう思っていたのに。
クスクスクス・・・・。
今度は真後ろの女子が笑っている。今度はいったい何だっていうんだ。もうさっきもさんざん笑っただろう。そんなこと思いながらもシカトする。
仕方ない。とりあげれば、さらにネタにして笑いものにされるのは、確実。めんどくさいことに関わらないことが一番なのだ。もがけばもがくほど沈む底なし沼なのだ。
トントン。例の女子に背中をたたかれる。僕なりのセオリーに従ってシカトする。
トントン。しつこい。シカト続ける。
「ねえねえ」こんどは耳元で声かけ。さすがに耳障りなので振り返る。にらむ。
その女子が背中を指す。は?なにがいいんだ。こいつは。
シカトして再び前をみる。
「ちょっとちょっと」しつこい。
しかたないので再び振り返りにらみつける。
「背中背中」
「は?何?」
「もう」
背中になにかあるのか。背中に手を回してみる。
「もっと上」
と襟の上の方に手をやる。固いものがふれる。これは・・・。
新調の制服。それだから付いているわな。値札。