異界送り
「あー、もう、おかねないー。なんかアルバイトしなきゃなー」
近くにある宇冠大学に通う羽柴 未来は困っていた。そうお金がないのだ。
原因はわかっている。あの超人気ファンタジー偉人召喚ゲーム「FAST STOP NIGHT」のガチャに課金をしすぎたせいなのだ。
「……どーしよ。もう、クレジットカード止められてるしなぁ。パパに泣きつくっていう事もできなくはないけど、いい加減ママに殺されそう。」
ということでスマホで未来が見ていたのは、求人サイトである。見つめているキーワードは高収入、高賃金、短期間。そして尚且つ楽しそうなバイト。しかし、ここは文明未発達で産業皆無のT県。そんな都合の良いものはなく。
(風俗ですら、ないってどういうことなの。まぁ、さすがにそんなアルバイトするわけはないけど。)
未来は、ため息をつく。来月には、バレンタインイベントがあり、廃課金をする未来が見える。そして、母親の雷光がうなる未来が見えていた。
「せめてアルバイトはさせてよー。近くのコンビニのアルバイトは、中学生のころの同級生がみんなそこで働いてるから枠がもうないし……。トマト積みのアルバイトは大変な割に儲からないしぃ。」
未来は、画面を下へスワイプさせる。すると、『星流神宮アルバイト募集』という求人を発見する。
「えっと、巫女さん?のお仕事……お給料はっと、時給1000円ヤバクない!?」
未来は思わず驚いてしまった。産業があまりないT県にとって時給1000円というのは工場でアルバイトしても
中々手に入らない額である。
「よっし、早速応募しよー!」
未来は、アルバイトの概要を見ないで応募した。そう、未来は、説明をあまり見ない系女子なのであった。
「ここが星流神社ね!どんなことをするのかしら!」
未来が中に入ってみると中には、黒髪の神社の服をきた狐みたいな顔つきの男がいた。
「えっと、バイトの面接来た未来って言います!よろしくお願いします!」
そういうと狐つらの男はにやにやと薄気味悪い笑みを浮かべている。
「ふむ……合格で!では、こちらの紙に働きたい日を書いてもらえますか」
未来は、男からアンケートを受け取った。まず問一と書かれた所に目を通す。
4人の顔写真が貼られていた。一人は、不健康そうな風貌の少年。何日外に出ていないのだろうか、
2人目は、30代くらいの男、脳まで筋肉が入っていそうだ。
3人目は、陰険そうな20代後半の男。逆に言えばできる男ってイメージ。
4人目は、いたって普通の女子高生。……未来は高校を卒業してからもう1年かと思いに耽る。
「ねぇ、これってどういう問題なんですか」
未来は男に尋ねるが男は静かに首を振る
(単に、好み……?一人目は……ないなー。さすがに引きこもりはちょっと……。2人目は、私には気が合わないかも。4人目……私、レズじゃないしなー。かわいいけど私よりかわいくないしなー)
未来は、2人目の男を選択する。
次の選択肢として現れたこと、それは4つの絵。
一つ目は、□、2つ目は〇、3つ目は▽、4つ目は☆の絵が描かれている。
(どういうことなの……?適当に四角で)
3つ目の問
見たことのな異国の地図だった。地図の上には、灰や赤や緑や黄色など鮮やかに彩られていた。
珍しく問の所に文章が記されている。点を打てと一文であったが。
(ふむむ……まぁ私が好きな赤色の所でいいよね)
最期の問い
沢山の絵が飾られていた。綺麗な宝石に銀の剣、怪しげな本などなどおとぎ話で出てきそうなものばかりである。文章には、問一に上げたいものはなんですか。という問いだ。ここで未来は何かに感づいてしまった。これは、ゲームの宣伝なのだ!っと。
いままで、答えてきた問も回答しなおしたいと思ったがボールペンで書いてしまったので再回答はできそうになかった。未来は、考える。
(やっぱり、筋肉マッチョが身に着けていて絵になるものといえば……このグローブかな)
そういって未来は、グローブを選択した。
「これでどう」
未来は、狐面の男に紙を渡す。狐面はうんうんと頷いた。未来に、お辞儀をすると未来に小切手を渡す。
(あれ、なんか急に眠気が……)
そうして未来は倒れてしまった。
未来が目を覚ますと、そこは星流神社であった。時刻はもう夕方になり、辺りは暗くなり始めていた。
「夢……?」
未来は、何かうすら寒い感じがしいそいそと家に帰っていった。
次の日、とある男性がトラック引かれて死んだニュースが地域誌ででていた。それは、昨日未来が選んだ男性だった。未来の銀行口座に10万円が振り込まれていたがそれを使おうとは思えなかった。