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異人~こととびと~  作者: 橋比呂コー
第1部 出会い~エンカウンター~ 第6章 ブラッドとの決戦
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第46話 翼&冬子VSブラッド

ストーリー展開上、今回は少し短めです。

 ブラッドがサーベルを片手に突っ込んでくる。俺はシャツも脱ぎ捨て、半裸になる。そして背中から翼を広げる。空へと運ぶとしても、あの武器が邪魔だ。背後を狙って迂回する。

 フリーになったブラッドの真正面に冬子は火の玉をぶつける。ブラッドはサーベルで薙ぎ払う。その残骸がぶつかりそうになる。危ないな。

「後ろから不意打ちなんて、男らしくねぇぞ」

 更に、血しぶきの弾丸まで迫る。それは高度を上げて回避する。


 俺に気を取られた隙をついて、冬子はつららを握って猛進する。早くも決定打となりうるか。

 ふと、俺の脚に気持ち悪い物体が絡みついた。顔をしかめてそれを確認するや、驚愕のあまり声を上げた。

 それは、のめりとした血液だったのだ。しかも青い。それを辿ると、ブラッドの手中へとたどり着く。あいつ、つい数秒前まではサーベルを所有していたはず。

 俺の体は強制的にブラッドの正面へと引きずり出される。そこに、つららが迫ってくる。やめろ、俺を串刺しにするつもりか。


 寸前でつららが停止する。危なかった。

「翼、こんなところで自殺しようとしないで。っていうか、邪魔よ」

「俺のせいじゃねえよ」

 文句を言ったところで、俺の体は放棄された。無様に転がり落ちる俺。

 そして、冬子もまた、謎の血流によりつららを絡めとられる。武器を失ってしまったためか、やむなく距離を置く。


「オレはなぁ、血液を自在に変化させることができるんだぁ。今のは、鞭みたいにしてみたんだ。便利だろぉ」

 自慢は別にいいが、解説はありがとうございます。いや、厄介すぎるだろ。血液から自由に武器を生成できるのなら、遠近どちらも対応可能どころではない。


 それに、案の定ではあったが、スタンドプレー大好きな冬子が素直にタッグに応じるわけがなかった。

「冬子。こいつはひとりで勝てる相手じゃない。ここは協力しよう」

「なら、空中で待機してなさい」

 それはタッグで戦うとは言わない。


「せっかく二対一っていう有利な状況なんだから、それを活用しないと。その気がなくても、何か作戦があるんなら教えてくれてもいいだろ」

「一応、作戦ならあるわよ。それには、やつの身動きを封じたうえで急接近しないと駄目ね」

 ひそひそ話で聞かされたのは、かつてアブノーマルを葬った時に使ったエネルギーの爆発を直接やつの体にお見舞いする方法だった。生半可な攻撃だと不利になるなら、有益ではある。

 だが、あいつにまともに接近戦を挑むとしたら、こちらが圧倒的に不利だ。唯一方法があるとしたら、俺がやつの気を散らし続けるぐらいだが。

「まさか、俺にまた囮になれって言うんじゃないだろうな」

「なんでわかったの」

 素直に驚かないでも、単純に考えればそうなる。あいつに決定打を与えられるのは冬子である以上、俺の役割はこれしかないだろう。


 それに、呑気に作戦会議させてくれるほど、相手は甘くない。連発される血しぶきの弾丸により、談合は強制終了させられた。

「おめぇらばっかでおしゃべりしてズリぃぞ。オレが暇になるから、しゃべってんじゃなくて、死にに来いやぁ」

「せっかちなやつめ。じゃあ、お望み通りにしてやるよ。ただし、死ぬのはご免だがな」

 俺は空高く舞い上がる。

「逃げんなよぉ」

 ブラッドは血しぶきで射撃してくる。近距離でサーベルやら鞭やらを振り回されるよりは圧倒的にかわしやすい。

「どこを狙ってるんだ、下手くそ。悔しかったら当ててみな」

「こざかしい」

 ムキになって、血しぶきを打ち上げる。縦横無尽に飛翔し、それを回避していく。


 その間、冬子はゆっくりとブラッドへと忍び寄っていく。よし、その調子だ。感づかれる前にたどり着ければ勝てる。だが、

「その手にのるかよぉ」

 突然、冬子の方へ弾丸が仕向けられる。かろうじて火の玉でそれを防ぐ。けれども、こうなったら撤退するしかない。


 このまま陽動作戦を続行しても、主に俺の体力がもつか分からない。俺はいったん、冬子と合流する。

「おめぇら、いちいちうぜぇぞ。こうなりゃ、一気に消してやんよぉ」

 再度ダガーナイフを掲げ、両手を傷つける。この初動に俺は危機感を覚える。この直後、やつはあれを放つ気だ。


「やばいぞ、どうする冬子」

 うろたえる俺を尻目に、冬子は腕を組んで思案する。

「翼」

 対抗策を見出したか。早くやってくれ。しかし、彼女から予想外の言葉が飛び出した。


「私を抱きなさい」

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