戦争 二日目
携帯食料がまずいことを思い知った。
これは大きな成果といえるだろう。
「何で、みんな携帯食料じゃなくて、干し肉とかを買ってるか、今ようやく理解した」
これからは食材で買おう。嬉しいことに料理はできる。
「さてと……。どうしたものか……」
追っ手が無いとはいえない。仲間がまだ生き残ってるかも分からない。
もっと言うなら、ここがどこだかも分からない。
「結構まずいんじゃないか?」
五藤の話だと、ここには少し魔獣がいるらしい。まあ、食えるやつばかりだが……。
恐らく、こういうふうに魔獣がいるのは、肉の調達のためだろう。個人で持てる食料は少ないからな。
「誰だ!?」
気配がする。前の見えない女よりも分かりやすい。
あまりにも堂々と、
「ねえ、あなたおとなしく降伏してくれない?」
「…………誰?」
装備は腰にあるレイピアのようだ。
他は薄手のワンピース……だよな、あれは……。
どう考えても武装しているようには見えない。
実際がどうであれ、耳が長く見える。後、全体的に細いイメージ……察してくれ。髪が長い金髪で、肌の色は白い。
「私はレオナ。3組よ」
この女……レオナは日本人…いや、帝国の人には見えない。
「ああ、見たこと無いの……。私はエルフ。あなたのところの7組には人以外いないんでしょう。
一つだけ聞くわ。あなたデスペルできるの?」
デスペルと言うのが僕の考えどうりのものであれば、恐らく答えはできるだ。
しかし、何故それを聞くのかと、はたしてそれを言ってもいいのかと言うのが分からない。
「何故それを聞く? お前には関係ないだろう」
くすりと微笑み、
「あら、異邦人は名乗られても名乗り返さないんだ」
確かに、相手に名乗らせて、自分は何もしないのは失礼だ。だが、気になる単語が出てきた。
「僕は刈谷慎吾。何故僕が異邦人だと思う?」
「こちらの質問に対する返事がまだよ。質問するならこちらの質問に答えてからにしてくれる?」
質問の答えが知りたいが、あちらの質問に答えることが好ましいのか分からない。
昨日見た資料で、魔眼は皇帝一族のもの……みたいに書かれていたので、少し嫌な予感がする。
「……答えないなら、とりあえず捕まえましょうか……。色々聞き出す方法はあるんだし」
「―――っ!」
急に相手からの殺気……魔力の濃度が跳ね上がる。
目が痛み出す。ここではまだ使うわけには行かない気がする。
「――火巨人の息吹――」
十分死ねる炎が迫る。
「使うしかないか……」
何だかすぐに決意を覆すようで嫌だった。
「――っ! 本当にデスペルできるのね……。さて、色々と知りたいこともあるし、しばらく付き合ってもらうわよ!」
炎が迫る。構成式を読み、魔力式を解いて、同じ構成式で魔力式を変え、魔法を放つ。
「どうやら構成式も見えているようね。でも……」
こちらが放った魔法が空中で霧散する。
「――私もデスペルぐらいできるのよ」
デスペルに魔力を使わなくてよかった。と、今心底思っている。
戦闘が始まったのが朝。今は昼だ。
「あら? これで終わり?」
魔力で絶対的に劣る刈谷は、途中からほとんど意識をデスペルに回したところ、相手のレイピアが閃き、小太刀で抵抗するも、力で勝るも技術で劣り、仕方なく魔法で交戦するすると今度は魔力がやばくなる。
何時しか時間が過ぎ、もう昼である。
「はあ―――――。はぁ――――――。は―――――――――」
体力もかなりやばい。
「これでとどめ。
――火巨人の一撃――」
思考が浮かぶ。デスペル――式が長すぎる。同じ魔法をぶつける――もう一度やられたら今度こそ終わる。ならば……。
「――________――」
とにかく時間が無いから、頭の中の構成式で、使ったことの無いもの…最も式が難しいものを選び放つ。
相手の魔術によって、炎の巨人がこちらにこぶしを振り上げている。
こちらの魔術によって、無数に刃が乱れ飛ぶ。
炎の巨人は無数の刃に斬られ、その構成式、魔力式、ましてや魔力から切り刻まれる。
「なっ――! 固有魔法!?」
乱れ飛ぶ刃はその存在を霧散させる。
―――――ドサリッ!!
刈谷は魔力を使い果たして倒れた。
魔力を使い果たしただけなら何とか意識を失わずに澄むが、刈谷は身体自体が限界だったため、倒れた。
「大丈夫かな?」
レオナの見立てでは、もう何時倒れてもおかしくなかったものの、魔力切れ(急性魔力失陥症)で倒れるとは思わなかった。
「にしても、あの目……」
魔眼の類だろう。しかし、資料で見たことのあるどの魔眼もこの魔眼とは違っている。ましてやこの人は皇族ではない。皇族ではない人が魔眼を持つ……。
間違いなく、これから何かが起こることだけはわかっていた。
「でも今は……」
とりあえず魔眼のことはおいといて、この人を自陣まで連れて行かなくてはならない。
「えっと……。
――転移 3組の牢――」
光が刈谷の身体を包む。
「後は、
――転移 3組の牢や前――」
光がレオナを包みその場にはだれもいなくなり、そのあたりは焦土と化していた。
――転移 __――
__のところに行きたい所を入れ、そこに飛ぶ魔法。
エルフのレオナだから多用できる。距離にもよるが、人が使うには使用魔力量が多すぎる。
――火巨人の__――
火巨人を生み出し攻撃する魔法。
普通は森の中で使うものではない。
本当は火と光の複合魔術。結構な上位魔法で、レオナの得意魔法。
――固有魔法――
その人しか使えない魔法。
普通の魔法とは結構違った効果を持つ。
固有魔法は進化することがある。
また、一生使えない人もいて現在魔道士たちは議論を重ねている。
――________――
刈谷の使った固有魔法。名前はまだ無い。
状態か察するに、魔力などへの干渉能力を持つ。




