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愚者の英雄伝 序 化学無き世界  作者: ray
旅立ちまで
4/30

異世界の学園 転入

 初めだからハイペース。

「えーと……。

 刈谷慎吾です。分からないことが多く、皆さんに迷惑をかけると思いますが、これからよろしくお願いします」


 現在地   1-7 いつもの学校とさして変わらない。

 現在時刻  午前8時30分 これも結構普通だと思う。

 周りの状況 何か知っているらしく、ひそひそと何か話している。


 結論 この場で取るべき行動は……。

『わかるかって……。まずここどういう所だよ。何が目的だよ』


「せっかくなので、質問のある方はいませんか?」

 先生、僕が質問したいです。特にこの世界観について。

「じゃあ、五藤」

 手を上げている人は結構いたが、指名されたのは男子、見た目としては髪の色が少し赤みがかってる。

 さて、どんな質問が来るか。

「得意な武器は何ですか?」

 …………………。



「武器は使ったことがありません」

 教室がざわつく。

 聞こえるセリフは、『すげえ箱入りだ』『やっぱ異世界から来たからか』等。

「得意な魔法は何ですか?」

「魔法の無い世界から来ました」

『魔法が無くてどうやって生きてこれるの?』『嘘だろ』

「好みの女子のタイプは?」

「……………………………」

 どう答えよう……。どう答えてもアウトだと思う。

「特技は何ですか?」

 特技? 特技は……特に無いな。

「特にありません」

「好きな食べ物は?」

「あっちの世界ってどういう感じ?」

「向こうでは何をしてたの?」

 ………………。



 疲れた。思った以上の質問攻めだった。

 ぐったりとする僕。時間割はかなり適当だったが、見ていて少し恐怖を感じたのは秘密だ。


 一時限目 数学

 二時限目 魔術理論

 三時限目 非魔術戦闘技能

 四時限目 魔術実習

   昼食

 五時限目 総合戦闘訓練


      数学……普通だ。

    魔術理論……きっと、あっちでの化学のようなものだろう。

 非魔術戦闘技能……危険の香りがぷんぷんするよ。

    魔術実習……正直、結構楽しみだったりする。

  総合戦闘訓練……ここは危険だ。一刻も早くもとの世界に帰らなければ!


 現在時刻 一時限目 数学 大体半分過ぎたところ。

 やっていること―――算数。

 数学だから算数と言うわけでなく内容が算数なのだ。実際、今分数の足し算してる。

「はあ、高二にもなって分数の足し算って……」

 刈谷は基本典型的な理系で、模試だと数学なら偏差値が70弱ある。

「刈谷君、この問題を解いてください」

 当てられて、問題を見る。

「えっと、5/12です」

「よくできました。正解です。

 分かるんだったらちゃんと授業を聞いてください」

 とても、先生、分かるから寝てるんです。とはいえなかった。



「―――が……であり…………」

 二時限目の魔術理論。

 先に五藤から聞いた話によると、さして気にする必要は無いと言っていた。

 まあ、とりあえず先に教科書を一通り読んでみて今必要なことだけ要約すると……。


 魔法には属性がある。

 火 水 地 風

 これらが基本となる属性ですべての人が使える。

 光 闇 無

 これらは基本魔法の上位として存在すると考えられているが、これは才能で決まるものであり、ある程度は遺伝するらしいが後から使えるようにはならない。

 強弱としては、

 火→風 風→地 地→水 水→火 光→闇 闇→光

 で無に強弱の関係は無い。


 魔法には式が存在し、魔法自体を組み立てる式と魔力をとどめる式がある。

 魔法を組み立てる式を組成式と言う。

 魔力をとどめる式を魔力式と言う。

 数学を学ぶのはこれらの式のためとか何とか。


「―――これにて授業を終了する」



「はあぁ―――」

 手に持っているもの、刃渡り50センチ程度の小太刀(二本)。

 何で僕は二刀流なんてしてるんだ?


 少し前。

「そうだ、刈谷って武器どうするんだ?」

「そうだな……分からんから適当にやるさ。確か貸し出しのがあるんだろ」

「「「よし! 俺たちが選んでやる!」」」

「いや…そこまでしなくても」

「「「いいから黙ってついて来い」」」

「ちょっ………待てっ……放せ!」


 そうして僕はここにいる。

 やつらの言い分、『筋肉無いんだから、手数で勝負するべきだよな』以上。

「…………」

 筋肉が無いのはその通りだ。力で負けるから手数で勝負と言う理論も分かった。

「何故二刀流にした……」

 無論、使いこなせるわけも無かった。



 さて来た。これが一番の難敵。期待しているが同時に恐怖しているものだ。

 構成式の暗記は完璧。鍵の式なんてすぐ思いつく。

「では、刈谷君やってみましょうか。

 まずは、火の(ファイア・ボール)からです」

「はい。

 ―――ファイア・ボール―――」

 勢いよく燃える直系30センチぐらいの火の玉が時速40キロぐらいの速さで進み、狙い通り的の中心に命中した。

「はい、よくできました。

 後は、ウォータ・ボール エア・ボール アース・ボールも練習しておいてくださいね」

 他のみんなはそれぞれ得意魔法の練習や苦手魔法の練習をしていた。


「ぐっ―――」

 急に目が痛み出す。どうにかしないと収まりそうに無い。開いても閉じても痛みは変わらない。

 虐めの原因……その明らかにおかしい目をしてみる。

 瞼には幾重にも筋が入り、視界はおかしくなる。

「嘘だろ……」

 目に見えるのは恐らく魔力、構成式、魔力式……。

 使われているのはどれも簡単な足し算や引き算。

 ほとんど反射的にそれらの式を解いてしまう。

「うわっ!」

「きゃっ!」

 いたるところで魔法が解除されていく。

「なっ……」

 驚き、目を元に戻す。今は痛まない。

解呪魔法(デスペル)……」

 誰かがそういったがすぐに、

「んわけ無いだろう。しかし、どうしたお前らそろいもそろって…もう時間だからいいが、もう無いようにしろよ」

 先生がそれは無いと断定した。

 その中刈谷は一人、デスペルについて考えていた……。

 何か疲れた。

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