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愚者の英雄伝 序 化学無き世界  作者: ray
旅立ちまで
3/30

異世界 初日 2

「お前たちは、我々が預かる。帰りたかったら自力で帰る方法を見つけ出し、帰れ。

 だが、いきなり放り出すほど我々も残酷ではない。学生の間は責任を持って預かる。が、卒業したらあとは自力で生きていけ」



「は?」

 正直、どう対応したら言いか分からない。

 部屋に入るなりえらそうな人が言ってきたのだ。

「つまり、今から3年間面倒を見てやるから後は勝手にしろ。と言うことだ」

「質問良いですか」

 手を挙げて質問する。ものすごく分からない事だらけだ。

「良いだろう」

 許可が出た。では遠慮なく。

「まず、僕たちは何故ここにいるんですか?」

 恐らく、皆さんの一番の疑問。

「我々が魔法で召喚した」

「………………………はぁ」

 駄目だ。言っている意味が分からない。

「お前たちはこことは別の世界にいた。

 それを我々が魔法で呼び出した。

 同じ魔法を使えばとか思っているかもしれんが、あれは世界と世界がもともと近づいていたからできたが、また同じ世界が近づくのは何時になるか分からんぞ」

「…………………………………」

 えーと、つまり……帰れないかもしれないってコト?


「ふざけんな!」


 坂本君。相当怒っていらっしゃいますね。

 ―――でも、僕は後ろにいる菊地さんの殺気が一番怖いんです。冷や汗がとまりません。だって、あの女、前に怒って机を真っ二つにした女ですよ。見た目はかわいいけど、本気で怖いんだよ。


「あとで元に戻すこともできない。死ぬ可能性の高いものなんて使うなよ!お前ら何が目的だ!」

「研究……ですかねぇ」

 全く悪びれもせず答える。だが、言っていることだけはわかる。

「てめぇ……」

 まずいな……。ここで何か起こしてもハイリスク・ノーリターンだ。

「まあ、怒る気持ちも分かります。

 ですが、仮に私に跳び掛っても、あなたでは私に指一本も触れられませんよ」

 後ろから他の殺気が……やっぱりだれかいる。

「殺す」

 後ろの隠れてる人は坂本に近づいていく。坂本はそれに気付いた様子はなく、握り拳を固めて一歩ずつ男に近づいていく。

「よっと」

 足を伸ばす。確かな手ごたえ(?)

「キャッ!」

 誰か――恐らく女――の声がして、さっきまで見えなかった女が―――うわぁ…スカートが思いっきり裏返ってる―――こける。

 女はすぐに立ち上がり、スカートを正して、こちらに殺気を向ける。

 女は先ほど言っていた学園の生徒のような格好(よく見るブレザーだった)で、恐らくここはその学園の地下室なんだろうと思った。

「うぉ!」

 坂本は、背後に迫っていたことに気付き、改めて男のほうを見る。

「おや…気絶してもらおうと思ったんですが……そちらの方が気付きましたか。

 まあ、あなた方が仮に私を殺しても、あなた方には死しか待っていません。

 と言うことで、この学園で学んでいただき、自ら研究して、ご自由にお帰りいただいてもかまいません」

「要するにだ。

 帰りたくても帰れない。生きていくには仕事をして、働くしかない。そのための知識などを手に入れる手段としてここで学んでいけ。と言うことですか?」

「大体その通りです。皆さんもよろしいですか?」

 その男は、全員を見てから、

「それでは事前説明はこれで終わりです。

 まずは、その服装を着替えていただきましょうか」

「「「え?」」」

「当然です。そんなに血で染まった服を着ていたいなら別ですが」

 改めて自分の格好を見てみると…確かにすごいことになってる。これはもう落ちないな。

「ではとりあえずあちらの部屋でシャワーを浴びていただき、着替えてから制服の採寸と行きましょう」



 男子寮の一角でまだ明かりのついてる部屋があった。

「なぁ、坂本……」

「なんだ?刈谷」

「お前は何で生き残れたと思う?」

「運じゃねえのか?」

「そうだと思うけど、少なくとも僕たちの共通点が一つあるんだよ」

「なんだそれは」

「年齢だよ。誕生日までは知らんが僕と坂本と菊地はみんな9月生まれだよな」

「確かに……。あそこには2年しかいなかったからな。

 でも、それ以上は分からないか……」

「うん、落ち着いたら調べてみようと思うけど手伝ってくれる?」

「もちろんだ」

「何だか思い通りに動かされてるみたいで嫌だけどね」

「確かに」

「じゃあ、そろそろ寝るか」

「おやすみ」

「おやすみ」

 寮の相部屋で話し合い。そのまま疲れていたのかすぐに熟睡する二人だった。

 少し無理があった。

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