異世界 初日 2
「お前たちは、我々が預かる。帰りたかったら自力で帰る方法を見つけ出し、帰れ。
だが、いきなり放り出すほど我々も残酷ではない。学生の間は責任を持って預かる。が、卒業したらあとは自力で生きていけ」
「は?」
正直、どう対応したら言いか分からない。
部屋に入るなりえらそうな人が言ってきたのだ。
「つまり、今から3年間面倒を見てやるから後は勝手にしろ。と言うことだ」
「質問良いですか」
手を挙げて質問する。ものすごく分からない事だらけだ。
「良いだろう」
許可が出た。では遠慮なく。
「まず、僕たちは何故ここにいるんですか?」
恐らく、皆さんの一番の疑問。
「我々が魔法で召喚した」
「………………………はぁ」
駄目だ。言っている意味が分からない。
「お前たちはこことは別の世界にいた。
それを我々が魔法で呼び出した。
同じ魔法を使えばとか思っているかもしれんが、あれは世界と世界がもともと近づいていたからできたが、また同じ世界が近づくのは何時になるか分からんぞ」
「…………………………………」
えーと、つまり……帰れないかもしれないってコト?
「ふざけんな!」
坂本君。相当怒っていらっしゃいますね。
―――でも、僕は後ろにいる菊地さんの殺気が一番怖いんです。冷や汗がとまりません。だって、あの女、前に怒って机を真っ二つにした女ですよ。見た目はかわいいけど、本気で怖いんだよ。
「あとで元に戻すこともできない。死ぬ可能性の高いものなんて使うなよ!お前ら何が目的だ!」
「研究……ですかねぇ」
全く悪びれもせず答える。だが、言っていることだけはわかる。
「てめぇ……」
まずいな……。ここで何か起こしてもハイリスク・ノーリターンだ。
「まあ、怒る気持ちも分かります。
ですが、仮に私に跳び掛っても、あなたでは私に指一本も触れられませんよ」
後ろから他の殺気が……やっぱりだれかいる。
「殺す」
後ろの隠れてる人は坂本に近づいていく。坂本はそれに気付いた様子はなく、握り拳を固めて一歩ずつ男に近づいていく。
「よっと」
足を伸ばす。確かな手ごたえ(?)
「キャッ!」
誰か――恐らく女――の声がして、さっきまで見えなかった女が―――うわぁ…スカートが思いっきり裏返ってる―――こける。
女はすぐに立ち上がり、スカートを正して、こちらに殺気を向ける。
女は先ほど言っていた学園の生徒のような格好(よく見るブレザーだった)で、恐らくここはその学園の地下室なんだろうと思った。
「うぉ!」
坂本は、背後に迫っていたことに気付き、改めて男のほうを見る。
「おや…気絶してもらおうと思ったんですが……そちらの方が気付きましたか。
まあ、あなた方が仮に私を殺しても、あなた方には死しか待っていません。
と言うことで、この学園で学んでいただき、自ら研究して、ご自由にお帰りいただいてもかまいません」
「要するにだ。
帰りたくても帰れない。生きていくには仕事をして、働くしかない。そのための知識などを手に入れる手段としてここで学んでいけ。と言うことですか?」
「大体その通りです。皆さんもよろしいですか?」
その男は、全員を見てから、
「それでは事前説明はこれで終わりです。
まずは、その服装を着替えていただきましょうか」
「「「え?」」」
「当然です。そんなに血で染まった服を着ていたいなら別ですが」
改めて自分の格好を見てみると…確かにすごいことになってる。これはもう落ちないな。
「ではとりあえずあちらの部屋でシャワーを浴びていただき、着替えてから制服の採寸と行きましょう」
男子寮の一角でまだ明かりのついてる部屋があった。
「なぁ、坂本……」
「なんだ?刈谷」
「お前は何で生き残れたと思う?」
「運じゃねえのか?」
「そうだと思うけど、少なくとも僕たちの共通点が一つあるんだよ」
「なんだそれは」
「年齢だよ。誕生日までは知らんが僕と坂本と菊地はみんな9月生まれだよな」
「確かに……。あそこには2年しかいなかったからな。
でも、それ以上は分からないか……」
「うん、落ち着いたら調べてみようと思うけど手伝ってくれる?」
「もちろんだ」
「何だか思い通りに動かされてるみたいで嫌だけどね」
「確かに」
「じゃあ、そろそろ寝るか」
「おやすみ」
「おやすみ」
寮の相部屋で話し合い。そのまま疲れていたのかすぐに熟睡する二人だった。
少し無理があった。




