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愚者の英雄伝 序 化学無き世界  作者: ray
旅立ちまで
2/30

異世界 初日 1

 初めからグロいです。苦手な方は注意してください。

 気がついたら何だか生暖かいものが身体についている。表現としてはべっとりと言った感じで、とにかく気持ち悪い。しかもそれは嫌に生暖かく臭いは鉄のようで、周りからは何の音も聞き取れない。どうやら今は横たわっているようでうつ伏せだ。体にはなんともいえないだるさがあり、まるで病気のときのようだ。目の痛みは消えたが、それ以上の不快感。下は床のようだが、周りから液体が口の近くへと迫っており、身体がだるいが瞼を開き起きることを決意する。


「うぷっ――!」

 嘔吐、口の中は鉄の味がするし、また、なんともいえないすっぱい味がする。

 目前に広がるのは屍。周りは血の海。さっきまで近くにいた人はバラバラになっており、内臓が見える。まるで内側から爆弾で爆破したみたいだ。そして、一つだけ学んだ。人の中身は、とても臭い。

「何で…こんな……」

 言葉は出ない。出ているが、自分の意思で出せない。涙も出ない。出せない。悲しいはずなのに……。自分はそんなにも薄情なやつだったのかと思い直す。

 何をすればいいか分からない。いや、分かるけどもできない。意味がないと気付いているから。パニックに陥ったことは分かる。だが、頭の中はすっきりしている不思議なくらい。そしてあと一つだけ分かっていることもある。それは……。



 ―――ここ見えるバラバラのものは、すべてさっきまで生きていた学友だということだけ……。



 少しして、心を可能な限り落ち着けてから、生きている人を探しに動く。正直な話、自分が生きているなら他の人も生きているはずだ。と思う反面、もしかしたら生きているのは自分だけかもしれない。とも思っていた。

 探すためにあたりを見渡すとこの場が人工物であることが分かる。血のないところではなにやら幾何学模様が大きく描かれていることが伺える。おそらくこの部屋一帯に大きな円といくらかの模様がかかれていそうだ。まるで魔方陣である。


「誰かここにいないか? いるのなら出て来い!」

 何処かで扉が開く音がすると声が聞こえた。選択肢は2つ。

 1 呼びかけに応じ、誰かわからない人に助けを乞うこと。

 2 呼びかけを無視し、どうにかして生きていくこと。

 一番良いと思ったのは1番だ。しかし、口調が明らかに敵視しているのを考えると2番にしたくなる。

 しかし、これが人工物で、窓がないところを見ると、人が出入りできるのはあの扉だけかもしれない。

「出てこないなら、こちらから行くぞ」

 2番は消えた。この人が悪人か善人かは分からないが、答えるしかない。

「ここにいる!」

 助けを同時に乞うのも考えたが、あまり足元を見られたくない。

 それに、こいつがあれの犯人なら油断させて後ろから……と言うのも考えられなくは無い。

「1人か?」

 口調が少し変わった。驚きと疑問が混じっている。

「いや、9人だ」

 聞き覚えのある声がする。

 声のほうを見ると確かに誰か立っている。

「ついて来い」

 それだけ言って扉から出て行く。

 先の声の主がこちらへとやってきて、

「刈谷…生きていたのか……」

「坂本、あとは誰が生きている?」

 級長の坂本だった。さっき見渡したときには分からなかった。

「俺とお前、あとは菊地に浅田に山口、河合に森に田口と渡辺だ」

 少し違和感を感じながら……。

「ついて行くべきだと思う?」

「今はそれしかないだろう」

「それもそうだね」

 それ以上は何も話さず、開いたままの扉へと歩き出す。



 扉をくぐり、少し歩いて気付いたが…

「ここって、地下?」

 どうにも窓が無く、湿気が無く涼しい。

 また、レンガのようなもので囲まれており、歩くときにコツコツという音が響く。

 はじめのうちはペタペタという血の落ちる音が聞こえていたことを踏まえると、かなりの時間歩いているのではないかと言う気になる。

「分からないがそうかもな」

 道は簡単で、分かれ道は無く、ただまっすぐ進んでいた。

「あそこか?」

 一つ開きっぱなしの扉が見える。

「そうじゃない? でもなんか気になるな」

「何が?」

「扉をくぐってから、ずっと誰かに見られてる気がするし……。

 それに、あの人はあの惨状を見ても何も聞いてこなかった。おかしいと思う」

 一番考えられるのはあの人は真実を知っていると言うことだが。

「後者には賛成だ。

 ……でも見られてる気はしないな」

「そうか……。

 まあ、僕の気のせいかもしれないし、気にしないよ」

 と言ったが、口にした瞬間何かが急いで動く感じがしたんだよね……。まあ、後ろに心配かけるのもあれだしな。


『やばっ。感づかれてた。まさか違和感感じる人がいたなんて……。

 まだまだ修行不足だな……』

 逃げたり、発狂したりしないかと思って監視役が一人ついていた。

 つまり、実際に隠れて見ている人がいたわけだが……当の本人たちは何も知らず扉をくぐっていた。

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