狙撃
スコープを覗く。
照準をあわせて、周囲に気を配る。
「どうしたの?」
それに気付いてか、レオナがこちらを向く。
「いや、大丈夫だ。敵が来たらすぐに知らせてくれ。
こっちにはもう気を配らない」
納得したのか、一つうなずくとすぐに視線をはずしてくる。
『聞こえるか、五藤?
これから作戦に移る。
そっちのことは任せた。一通り狙撃を終えたら、そっちに向かう。
……敵の数は確認できるか?』
『もちろん。
敵は、外に5人。テントを張っててそこに3人。
アテナ様のところには3人。できればこの3人は仕留めてくれると嬉しい』
『了解。
じゃあ、目標5人。優先順位としては、人質の近くにいる3人、自分の周囲に来た敵、残りの2人で行く』
連絡を終えて、もう一度スコープを覗く。
敵は外にいるものなら、すべて見える。
呼吸を整えて、敵の頭を狙う。
―――想像するのは発射された弾が空気抵抗も重力も何の力も受けずに敵の頭を吹っ飛ばすことのみ。
「よし……『作戦開始五秒前』」
もう一度呼吸を整えて、敵の頭を狙い、すぐに動けるようにする。
『四秒前』
弾を発射する。続いてもう一発。
『三秒前』
そこでもう一度弾を発射して、
「刈谷、敵が来た」
『二秒前』
もう二発打ちたかったが、敵が来たので銃を消し、振り返る。
『一秒前』
『敵が来た。そこの3人には撃ったから、後は何とかしてくれ』
『作戦開始』
『作戦開始』
作戦開始の合図とともに一斉に飛び出していく俺たち。
見ると、敵のアテナに近い順から頭が吹っ飛んでいく、敵はいきなりの敵襲に混乱しいきなり頭が吹き飛んだことに恐怖していた。
「『まずは人質を守れ』だったかな」
刈谷の言っていたことを思い出し、まずは突破を試みる。
『どうせ敵は、来たら人質を殺せばいい。ぐらいにしか考えていないから人質を抑えたらすぐに終わる』
意外と刈谷の言うとおりだった。
すぐに相手を捕縛、または殺すことができた。
「大丈夫か?」
俺は縛っているロープを切り、アテナを自由にする。
「ええ、にしても誰? こんなこと考えた実行犯は」
まるで呆れたように言う。
「実行犯って……」
アテナは一つため息をつくと、
「―――実はね……」
少しずつ話していった。
敵の剣を両手の剣と全身を使って受け止める。
そこにレオナが一撃いれ、敵が大きく下がる。
「刈谷、ここは任せて、あなたは一応みんなのところに」
闇の魔法でいくらか攻撃した後、
「分かった、無理はするなよ」
一気に屋上から飛び降りる。
風の魔法で勢いを殺し、風の魔法で大きく加速しながら走る。
が、すぐに動きを止め、振り返る。
「何人居るんだよ……これ」
「ガキが、おとなしくしておけば良かったものを」
目算50人……手には思い思いの武器を持っており、今にも襲い掛かってきそうである。
「固まられるとやりやすいな」
この人数を一気に減らせる武器…いや、兵器を考える。
思いつくのは……。
「さて、上手く避けないと死ぬぞ」
両手に持ったそれのピンを抜く、
「な、何だそれは」
何のためらいも無く投げる。
「手榴弾」
爆発、特に何も考えなかったが、僕の中の手榴弾はなかなか強力なものだったらしい。
「な、な、な、何だあれは、やばいぞ!殺される」
―――半分減るとは思ってなかったな……にしても、もう何も感じないか……。
少しそのことに悲しみながら、次のものを作り出す。
「こ、今度は何だ?」
M60…俗に言う機関銃だ。
「M60…分からないと思うけど」
魔力で生み出したものには重さはない。銃を作っても反動も無い。
「うわああぁぁぁああぁぁあ」
反動も無いが弾切れも無い。魔力が続く限りいくらでも撃てる。
「ふう、思ったよりも魔力を使ったな」
機関銃を消し、
すぐ、剣を抜き敵の攻撃を防ぐ。
「だれだ」
もう一本剣を抜こうとしたが止めた。すでに抜いている剣にひびが入っている。
仕方ないのでもう一本の剣で戦うことにしてすでに持っている剣を敵のいる方に投げる。
それを避けてくれたので姿を見ることができる。
「仮面かよ……」
仮面をして、ローブを着ているが、少なくとも女だということは分かった。
「おとなしくすれば命まではとらんぞ」
思ったより綺麗な声ではっきりといわれる。
僕は上から言われる言葉には従う気はないんだよ。
「その言葉、そっくりそのまま返してやる」
真眼を開き、手に持った剣を捨てて、新しく魔力で剣を生み出す。
その剣は鞘も作り出し、それを抜く。
その銘はエクスカリバー…かの有名なアーサー王の伝説に出てくる聖剣である。
「いい剣だな……」
敵は素直にほめる。
「いくぞ」
エクスカリバーを構える。
全力で戦えるのは後10分ってところか……。
「さあ、こい」
敵も剣をクレイモアを構える。
「頑丈だな」
「それはどうも」
戦い始めて5分経った。
剣術では相手の方が強い。これは明らかだ。
「しかし、斬ったのにすぐに治癒するのか……面倒だな」
エクスカリバーの鞘には、身に着けていると傷を受けない。と言う伝承がある。
だがこれはあくまでも、刈谷の魔法だ。そこまでの力は出ない。
が、ここは拡大解釈だ。
傷を受けない。から、傷を受けにくく、傷を受けてもすぐに治癒する。と解釈する。
そうすれば、傷を受けていないように感じるからだ。
―――しかし、このままでは必ず負ける。どうすればいい。
一つ方法を思いつき、面倒だと思いつつ、そのために大きく下がる。
「なんだ?それは……」
ロングソードを右手に持ち、左手に天叢雲剣…草薙剣を持ち、一番練習した二刀流として構える。
「天叢雲剣…いや、草薙剣だよ」
剣を持つと、周囲に雨雲がかかる。
「今度こそ行くぞ」
「こい」
突く、払う、突く、まるで風のような剣の嵐。
重いクレイモアでは反応しきれない剣戟の数々。
「うあぁぁぁああぁあ」
「くそ、―――業火の牢獄―――」
炎が刈谷を包む。
「火は…効かない」
草薙の剣を一振りし、炎を吹き飛ばす。
「終わりだあぁぁぁあ!!!」
エクスカリバーで思い切り突く。
「やめなさーい!!」
横から攻撃される。
ぎりぎり攻撃を変え、防御する。
ぎりぎりだったので、衝撃を殺すことができず、吹っ飛ばされる。
「姉さん、私は無事だから。
後、そいつは学生だから。助けた側だから」
アテナが少し怒りながらいう。
「姉さん?」
思わず気になったことを聞き返してしまう。
「そうよ、この人は私の姉、第1皇女ルイエーネよ」
何だかものすごく疲れた。




