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愚者の英雄伝 序 化学無き世界  作者: ray
旅立ちまで
10/30

期末試験 1

『生徒会が6人も居たら勝てない』

 五藤は確かにそういった。

「何で、たった6人なのに勝てないんだ?」

「それは、生徒会は権力を持っているからよ」

 後ろから声が聞こえる。

 振り返ってみると、こちらに来た初日に見た女子生徒に良く似ていた。だが別人だ。スタイルが違う。

「か、会長!?」

 五藤が動揺している。

「五藤? どうした? しっかりしろ?」

 とりあえず肩をゆする。

「どうした?じゃない!

 会長がこのクラスに来たんだ! おまえはこれがどういうことか分かっているのか?」

「いや、分からないから聞いているんだが……」

 何か、どっかのアイドルか何かですか?

「ふう…会長。

 このクラスに何か御用でしょうか?」

 会長に向き直り、質問している。

 ……だからどういう意味なんだよ。

「えっとね……。

 ライーグ・イレの中で一人だけ髪の色が変わってないみたいだから、どういうことかなと思って……来ちゃった☆」

「――――――来ちゃった☆って……」

 もうなにも言うまい。

「それはそうと、君。適性検査はしたの?」

 ちゃんとまじめな顔つきになって聞いてくる。よかった。少しはまともな人だ。

「しましたよ。一ヶ月前に」

「結果は?」

「……忘れました」

 ちなみにきちんと覚えている。しかし、こればっかりは知らせないほうがいいとボコられてからアテナに言われた。

「じゃあ、カードは?」

「知られないほうがいいと言われて、燃やしました」

 一度結果が分かればそれはただの結果シートなので、燃やしたほう処分が速い。

「じゃあ、ちょっとおいで」

「どこに行くんですか?」

「適性検査を受けに」

「何故?」

「実はね、君がちょっと特殊な能力があるっていう噂があって、その中にデスペルがあったからさすがに放っておけなくて……」

「噂だけなら従う気はありません。お帰りください」

「おまっ…会長に向かって……」

「うーん、じゃあ、最初にこちらに来たとき、私の妹なんだけど、あなたに気付かれたらしくて」

「あれは単に気配がしただけです」

「後は……」

 一枚ずつカードを切っている気分だ。

「――アテナ様に、結果を聞いて……」

 ――そうか…アテナが言ったのか。

「知ってたんじゃないか!」

「と言うことで、連れて行きます。

 坂本君。借りていくから、先生にはよろしく言っといてね」

「分かりました会長」

「分かるな坂本!

 ちょっ…待って……放せ――――」


 クラスメイトの目は、嫉妬と妬みによるものだった。



 検査が終わり、例の保健室…怪我をしてなくても入れることが判明。畜生、あいつら何のために人の骨を……。

「ふーん、無属性ってありえたんだね」

 結果を見て色々ぶつぶつ言ってる会長。

「魔眼じゃなくて真眼か…ちょっと見せてくれる?」

「嫌です」

「そう…じゃあ、この結果を公……」

「分かりました。やりましょう」

「あら、ありがとう」

 堂々と脅迫したくせに……。

 とりあえず、軽く力を抜く。

「見た目は確かに違うわね…何が見えるの?」

「魔力式と構成式と魔力は少なくとも見えてます」

「つまり、あなたは、見た魔法を理論上はコピーして発動できるのね」

「まあ、確かにそうですね。魔力が持てばですけど」

「ふぅん……」

「あのー」

「ん?」

「いい加減帰りたいんですけど」

「あっ! もういいから帰っていいよ」

 そう言ってくれるのは嬉しい。

「じゃあ、拘束魔法と上に乗るのをやめてください」

 健全な高校生。スタイルがグラビアアイドル?見たこと無いけど…まあ、それぐらいにいい見た目の先輩に密着されていたら心拍数がやばい。

「分かった。考えがまとまったらね」

「何時ごろまとまりますか?」

「戦争が始まるまでには済ませるつもり」

「…………」







 転送されて着いたのは山の上。

「みんな集まれ」

 リーダーの指示に従う。

「会長が、開始10分で終わらせるといっている。意地でも耐えるぞ」

「「「オー!」」」

 何で、10分耐えるので十分な目標なんだろうか。



 “それ”はその場を覆いつくした。

 “それ”は光だった。

 光は、そのときの戦場を音も無く包み込み、敵を殲滅した。


「来たぞ! 防御しろ!」

 刈谷から見てそれは、防御しても無駄なものと判断できた。

 意識していたかは分からないが、舞い踊る無限の剣を発動していた。


「会長、もう戻りましょうか」

 一人の男が言う。

「だめねぇ、それだからあなたは会計なのよ」

 会長と呼ばれた女は口を尖らせる。

「――さて、あの子は、どうやってこれを耐えたのかしら?」



 目の前にあるのは、盾だった。

 どうやらそれが刈谷を守ったらしい。

「あれ? あの魔法って剣だけしか出てこないんじゃなかったっけ?」

 気にしてもしょうがないと敵の位置を探る。

「あっちか……」

 魔法の余波と他にない魔力の気配で分かる。

「いざ行かん」

 むしろ、逝かんの方が正しかったなと思ってたりする刈谷だった。


 盾は消えていた。

 その盾は日本書紀に出てくる白楯だったことを知るものはいない。

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