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愚者の英雄伝 序 化学無き世界  作者: ray
旅立ちまで
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異世界への旅たち

 プロローグのようなものです。

 一週間に一度ぐらいのペースで書けたらいいと思ってます。

 そちらの世界には化学というものがある。

 知らない人は…いないだろう。

 ここは魔法による世界。化学の代わりに魔法の発達した世界。

 と言うよりも、化学のない世界。

 そんな世界に僕たちは強制的に連れてこられた。


 長く感じる授業も終わり、だんだん人気の無くなっていく学校。僕らは別に部活があるわけではないが、ただ意味もなく思い思いに話している。グランドではサッカー部が校庭を走り、開いた窓からは吹奏楽部の練習が音で分かる。時刻は6時を回り、そろそろ帰ろうかと話し始めたその時、事件が起こった。


 事件と言うのは少し違った。教室の明かりが急にすべて消えたのだ。5月なので、まだ明るいが、停電になったというパニックはある。これが7月の真昼間ならこうはならなかっただろう。クーラーが切れるだけだ。もっと後になってパニックになる。

 

「? なんだ? 停電か? ふざけんなよ」

 今思うと、そうであってほしかったと思う。本当に。

「おい! 誰か先生に携帯で電話しろよ!」

 全く、そう言うなら自分でやれば言いと思うが、口にはしない。そういった面倒ごとを起こす必要はない。

「分かった」

 誰かは知らないが、やってくれるならいい。地下鉄が動かなかったら……とんでもなく面倒だ。歩いたらどれだけかかるのか……3,4時間といったところか?

「――悪い、電池切れだ」

 首を傾げて電源ボタンを長押しする男子生徒、わずかにも電池がないのか、画面が明るくなることすらない。

「おいおい、充電しとけよ」

 少し、否、結構いやな予感がする。こういう勘があたるのも嫌だが、これのおかげで助かったこともしばしばある。主に小中とだが……。


 僕は刈谷慎吾で、小学4年~中学2年まで虐められていた。

 このとき、勘がよくなり…勘がいいのが分かり、気配?と言うのかは分からないが、人気の無いところなら近くに人が居るかどうかぐらいは分かるようになった。ようは敵の位置を探るようになってそれが長くなり、分かるようになった感じだ。その他としては特技というのか身体的特徴というのかが一つだけあるごく普通の青年である。まあ、それが理由でいじめられたのだが……。


「―――あれ? おかしいな。

  俺はさっきまで電池マックスだったのに……」

 ―――とてつもなく嫌な予感がした。

「どうした刈谷?」

 すぐさま窓の外を見る。

「嘘だろ……」

 赤以外の光が無い。表現としては間違っていないだろう。

 別に赤以外の色が見えないわけではなくて、夕日の赤い光で赤の色が強く印象に残っているだけだ。

 あちこちで車のぶつかる音が聞こえる。

 これからどうなるのかと言う不安が襲い掛かってくる。

「まさか……」

 近くの警察署を見ても明かりは無い。

 警察署なら自家発電ぐらいできそうなものだが……。

「……電気がなくなった?」

 嘘だといいたい。

 徐々に回りも状況が分かってきている。

「………どうなっているんだ?」

「…みんなの携帯が電池切れなんてありえない」

 まずい、こういうときに一番まずいのは混乱することだ。しかし、これを言っても無駄だということぐらい分かっている。落ち着けというと、落ち着こうとして余計に混乱する。それは不要だ。

 ―――っち、今日はあいつが休んだから平和に過ごせたと思ったのに……調子に乗って学校に残り続けるんじゃなかった。

「とりあえず、みんな落ち着け。状況確認だ」

 さすが坂本、級長なだけあってみんなをまとめるのが上手い。少なくとも、僕がおなしことをしても反発を招くだけだ。それでは意味がない。

「まず、電気が無い。そうだな」

 みんながうなずく。

 状況の確認だ。とりあえずみんなが気付いていることを出し合うつもりなのだろう。

「次に、さっきから車の事故が多発している。何があると思う?」

 電気がなくなったのなら電気自動車ならまだしも、ガソリン車まで事故を起こすのはおかしい。

「信号がつかないからじゃないの?」

「それは多分理由の一部だと思う」

 普通ならそうだと思うが、刈谷はそれ以外の可能性を考えていた。

 信号がつかなくなっただけならここまで連続して事故の音が聞こえ続けるのもおかしい。

「だったら、何だと思うんだよ」

「炎が上がっていないから、事故が起きたのに炎が上がらないのもおかしいし、何かほかにもなくなっているんじゃないかな?」

「例えば?」

 それに対する答えは一つしか思いつかない。

「実は、僕はライトを持ち歩いているんだけど、点かない。

 電気が無いのにはそうだろうと思う。

 でも、この数車の事故が一気に起こるなんて考えにくいし、ガソリンに引火してるなら爆発してても良いのにそんな感じがしない。

 そうなると、化学が消えたんじゃないかと思う」

 正直、信じないと思った。もっと言うなら笑われるだろうと思った。しかし、それは突然の乱入者によって防がれた。

「はい!

 席に着きなさい!」

 このクラスの担任が来る。

「えー、さっきの刈谷の説明でほぼ合ってる。だが、化学がなくなったというよりも、人にとって都合のいいものが消えたとかのほうが良いかもしれないな。きっと宗教家がここにいたら、『神の裁きです。人が自らの星を壊し楽をしようとするから……』とか言いそうな気がするものだな。

 私がちょうど実験をしていたのだが、失敗と言うか反応しなかったんだ。

 まあ、物によっては反応するんだが……。

 とりあえずみんなはここで待機してもらって、親御さんに迎えに来てもらって、家に帰ってもらう予定だ」

「先生! 飯は?」

「災害用のものが多少あるが、それほど多くの備蓄は無いから我慢してくれ」

 かなりざわつき始める。水さえあれば1週間ぐらいなら何とかなると聞いたことがあるが……。

「なんだ?」

 誰かが言う。同じ意見だ。とてつもなく嫌な感じがする。

「痛っ!!」

 急に目が痛み出す。今すぐにあれをしないといけない気がする。

「うわっ!」

「きゃあっ!」

 クラスメイトだけでない叫び声も聞こえる。

 視界が白く、感覚は消え、浮遊感。そのまま意識を失う。


 こうして、刈谷たちは異世界へ行った。

 できれば感想をくれるとありがたいです。

 7月17日先生の言葉の不自然なところの指摘、修正。これからもそういった御意見含め、待ってます。

 11月9日この作品全体の編集を開始、年内には終わらせるつもり。変更部はほとんどない予定。

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