麺、午前3時(4)
ラーメン屋の三人
ラーメン屋のおじさん達の後押しもあり、3人はジローの家に行くために電話 で、タクシーを呼んだ。時刻は午前4時を過ぎようとしている。ラーメン屋の前で3人はタクシーが来るのを待っている。
「今日は寒いなぁ」 堤が呟いた。
「そんな脂肪の鎧着てよく寒いとか言えますね」
新谷は冷ややかに言った。
「……」
均衡が崩れ始めている。堤は思った。
「そうだな。脂肪はともかく今日は肌寒い」
山下は堤を見た。
「…あっ、そうだ!この携帯、やっぱり2人でジローさんに届けてもらっていいですか?」
「どうして?」
「家この辺なんですよ。ゆっくり歩いて帰りたいんです」
「そうか。ノリは悪いけど、もう遅いし、しょうがない。ここでお疲れってことで」
「はい。月曜日に結末を教えてください。…タクシーきましたよ」
暗い道を光が差し込み3人を照らす。
「ではコレを…」
ジローの携帯を山下が受け取る。
タクシーの扉が開き、2人が乗り込んだ。
「じゃあお疲れ」
「お疲れさまです」
バタン
車が発信する。新谷は手を拭りながら、車が見えなくなるまで見送った。
「はぁ~おじさんに嘘、ついちゃったなぁ~彼女?生まれてこの方できたことない。俺は‥‥草食系なのかい?」
新谷は呟いた。見栄を張った事を後悔する。街頭の光が新谷の後悔をそっと照らしている。
そういえば、ラーメン屋さんの奥さん、綺麗な人だったと新谷は改めて思った。
テレビドラマに出てるあの女優さんに似てたなぁ~なんて名前だったけ?
たくっこんな事ばかり考えて……
まったく男ってやつは!…ああ、俺も男か。新谷は思った。




