真夜中の男(4)
ジローの話
あ~あぁ~なんか眠くなってきたなぁ~
ジローは杏子の立ち去った後も依然として1Kの部屋の前にいる。扉の向こうには、玄関そして、フローリングの床がが奥へと続いており、左手の扉を開けると洋式トイレ、その向かいに洗面所と風呂場、 さらに奥へ行くと左手に小さいコンロと台所、さらにその先の扉を開くと、 6畳の部屋がある。 左手にあるベッドが懐かしい。
ふ~…
はぁ~…
ため息ばかりだ。
ピンポーン ピンポーン
インターフォンはなんども試した。押しても人の気配はない。自分の家なのになぁ。杏子の推測が正しいのかもしれない。もし本当なら出てきてくれ、ジローは天を仰ぐ。
ガシャガシャ
ガコンガコン
ドアは開かない。中、高校生の時、もっと悪いことしとけばよかった~ピッキングのやり方とか知ってりゃなぁ~
そうだ、さっき杏子に携帯とか借りれば…早く帰ってこいよ~
ジローには危ないことと、後悔しか浮かんでこない。
でもな~仮にこの奥にユウコちゃんがいてだぞ、俺はいろいろなステップを飛ばしたんだ…‥うん
自分をとりあえず納得させる。
ジローは車で部屋まで送ってきてもらった。おそらく送ってくれたのはユウコだろう。
そのときジローは何かを持っていた。
『返してくださいよ~』
ユウコの声が頭の中で繰り返される。ベッドに寝かされた。
それで……その後の記憶がない…
眠った後、トイレに起きた。そう、トイレに‥すごいトイレが臭かったんだよな確か…しばらく掃除、忘れてたか…ら…
そういえば堤は今日、杏子の家、来ないのかな?……
杏子は堤とつき合い 始めてからこのアパートに引っ越してきたんだ。俺がいること知らないで……
そういえば堤が杏子の部屋選びに最後まで口挟んでたな~…
…………………!?
あ!
そこまでジローは考えた所で声がでる。
あ~~~っ!
まさか?
閃いたら即行動!ジロー立ち上がると短パン、Tシャツ一枚の姿で走りだした。寒いなんて言っていられない。急いでこのアパートから出なければ!ジローはとにかく走った。