麺、午前3時(6)
ラーメン屋からの2人
よく考えたら、堤は飲酒運転になってしまうと思ったので、車ではなく歩きで帰る展開に書き直しました。
よろしくお願いしますm(_ _)m
「明日?今日か…内の大学の健康診断って、尿検査あるんだよな」
ジローの住んでいるアパートから出ると、山下は堤に言った。駐車場に止まっている堤の車は、ボンネットが凹んでいる。
「…あるよ」
その光景を目の前にして、堤は凹んでいる。
「これは…しょうがない。たまたま君のこの車があそこにあったんだ。たちの悪いイタズラだ」
「ホラここ見ろ!…ボンネットが思いっきり…後、さっきみたら屋根も凹んでた。黒だし目立つ…」
「お前も一緒に凹むなよ」
「はぁ~親父にどう言い訳すれば」
「う~ん…そういえばさ、このボンネットの凹み、足跡みたいじゃない?裸足の原始人でも走ってたのか?」
「だとしたらその原始人が憎いぞ!まさか?ジローか?ジローなのか?」
堤はまだ電気のついているジローの部屋を見ながら言った。
「またジローかよ」
「そんなは訳ない。冗談だよ。」
ジローの部屋の電気が消えた。
「ははっ、ジローは寝たみたいだ。帰ろうぜ~」
2人は歩き出した。
公園の前の道路を歩いていく。
しばらくすると堤が口を開いた。
「……でもなんかありえそうだよな…」
「……まっさか~」
2人の声だけが響いていた。徐々に空は明るくなっている。
「…でもさ、さっきタクシーで話してた、キャッチボールやしりとり?」
「ああ!しりとりとか『ん』付かなければ永遠に終わらないな」
「コミニケーションが大事ってこと?」
「多分。エセ恋愛セラピスト様によればね」
「そうだな」
話しながら歩いている内に山下の家の前に2人は立っていた。
「それじゃあ俺はここで~またな」
「ああ、お疲れ」
お互いに挨拶をすると、山下は家に向かった。
しかし、振り向くと堤は立ち止まっている。 自分の携帯を見つめる堤の姿がそこにあった。
「…どうした?」
堤の背中に山下が話しかける。
「なんか話したくなってさ。あんまり笑った杏子、最近見てないなって‥」
堤は携帯を眺めたままだ。
「そっか。実は俺も同じこと考えてた。顔見てないし、たまには、こっちから電話して話そうかな?とかね」
「それがいい。メール以外もたまにはいいよなぁ。高校からの彼女によろしく」
「そんじゃ今度こそ帰るから、すぐそこだけど、俺の家の前だ。 長居をしても俺が許す!じゃぁ、お疲れ」
「お疲れ~」
山下は自分のアパートへ帰って行き階段を登りながら、携帯を取り出し耳に当てる。堤も携帯で杏子の番号を呼び出す。 コール音が少し焦れったい。
太陽が登り、辺りは明るい。もう朝だ。長い夜は終わった。
「もしもし?」
電話越しに、愛しい相手の声がした。