真夜中の男(6)
ジローの話
カラカラカラカラ
ゆっくりとジローは窓を開けた。部屋にともっている電気が眩しい。床には脱ぎ捨てられた衣服が散乱している。ジロー以外の人の気配は…‥ない。
左手にある自分の机の上には、教科書や参考書などが散乱しており、500mlペットボトルが隅に置いてある。中身は半分だけ残っている。右手にはベッドがありさっきまで誰かが寝ていた形跡が残っている。
机の上にあるペットボトルを手に取ると、ジローは一口、中身を口に含んだ。 奥にある玄関まで行き、扉の鍵を確認する。さっきまでジローはこの扉の向こう側にいたのだ。
自分のベッドに座ると、ジローは大きく伸びをした。天井は見ながらジローは思った。お酒は怖い、と………
記憶が蘇る‥‥‥
どんな理由があったかは、ジローにはわからない。酔った自分をおそらくユウコちゃんが介抱し、ここまで連れてきてくれたのだろう。彼女は泥酔したジローをベッドにつかせると、おそらくそのまま帰宅した。
しばらくして、ジローは尿意に負けて目を覚ますと、トイレに向かった。
しかし、目を覚ましたジローはまだ酔いが冷めておらず、 トイレを目指し、窓の方の扉から外に出てしまったのだろう。
そして、ジローの部屋が一階なので、駐車場に出る。そして道路を横切り、公衆トイレへ…‥おぼつかない足取りだったと思う。
記憶の中のトイレが臭かったのもそのせいだろう。
用を足したあと、再び道路を横切り、今度は正規のルートて部屋に戻ろうとしたところ、扉には鍵がすでに掛かっており、意識が戻り始めた頃、あそこに座り込んでいたわけだ。
誰が知るわけでもないか。ジローは思った。
はぁ~
酒は怖い。その反面、部屋の中に誰もいないのは少しだけ残念だ。
まったく男ってやつは!…ああ、俺も男か。ジローは思った。