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その悪役令嬢はあまりにもマッチョすぎた  作者: 七谷こへ
第二章 マッチョ令嬢、悪魔に寄宿舎を焼かれるも筋肉でねじ伏せる
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第8話 マッチョ令嬢と3人のハンサム容疑者


 コマンゾネスの頭には、悪魔を召喚した容疑者が3人、浮かんでいた。


 前世でプレイしていたゲーム『聖女の祝福と怪女(かいじょ)の筋肉』では、第一王子であるアレクシスのほか、生徒として3人の公爵家令息(れいそく)が同級生の攻略キャラとして存在していたのである。

 ベースがバカゲーであるゆえ絶妙にダサいのだが「ハンサム四人衆」と、彼らは女生徒から憧憬(しょうけい)とともに呼ばれていた。


 風のハンサム、アレクシス。

 火のハンサム、オーランド。

 水のハンサム、ルミエール。

 土のハンサム、ヴィクトア。


 アレクシスとマクシミリアンの出自であるウィンディッシュ王家は代々風の魔法を得意としており、ほかの3人も通り名のとおりの属性魔法をきわめて高いレベルで習得している。

 風、火、水、土という四大属性がこの世界の魔法の大部分なのだが、聖女であるベネクトリックスのみきわめて特殊な「光属性」を有しているのだった。

 数百年に一度生まれる聖女にのみ発現するのが光属性であり、個人差も大きいため、その全容(ぜんよう)はいまもって明らかでない。


 キャラクターの中には、特定の行動をとらないと出現しないものもいるのだが、このハンサム四人衆は学園の同級生であるため、どんなルートであってもかならず登場する。

 そしてCルートにいたるとき──この四人のうち、主人公であるベネクトリックスへの「好感度が一番低いキャラ」が悪魔を召喚していたことをコマンゾネスは思い出していた。


 ベネクトリックスにはルートという認識はないだろうが、今世(こんせい)において、彼女は明らかにアレクシスと仲よくしており、ほかの主要キャラクターとも話はするものの恋仲にはほど遠い。

 そのため、3人のだれが悪魔を召喚していてもおかしくないといえた。


 こうした知識をここで話すべきか迷ったが、いきなり「ここは私が前世でプレイしていたゲームの世界で」などという話をしても正気を疑われる可能性のほうが高い。

 じつは一度「まさか彼女も転生者なのではないか」と考えてベネクトリックスにカマをかけたことがあったのだが、まったく知らないとしか思えないような反応しか返ってこなかった。

 これはウソ発見器をかねている大胸筋のぴくつきによって確認してもいるし、そのあと念を入れて家のものに探らせているので、十中八九まちがいないものとコマンゾネスは判断している。


 しかし、では知識を話さない場合、どうやってその3人を調べるところまで話をもっていけばよいかと悩んでいたため、ベネクトリックスの明快な推論によってスムーズにそこまでたどりつけたことに、コマンゾネスは内心舌を巻いていた。


(こんなに聡明(そうめい)な方だったなんて……。ずっと避けていたのだから、知らなくて当然ね……)


 思えばゲーム中、ベネクトリックスはあくまでプレイヤーの分身にすぎず、選択肢によって発言内容が大きく変わるため、はっちゃけた性格からコミュニケーションがうまくない性格まで印象が幅広かった。

 なんだかぼんやりしているアレクシスより的確に状況を把握していたこともあり、知ろうとしなかった自分の不明に恥じ入るとともに、現在彼女がもっとも頼りになるかもしれないと認識をあらためる。


「おふたりに匹敵(ひってき)する魔力をもつ生徒といえば、ハンサム四人衆であるオーランドさま、ルミエールさま、ヴィクトアさまがまずは挙げられますわね」


「その呼び名、恥ずかしいからやめてくれないか……。あと先生方も加えれば、もう少し候補は増えるんじゃないか?」


「おっしゃるとおりですわ。けれど、生徒主導の卒業パーティーが終わり、学園の正式な卒業式が2日後にせまっています。卒業してしまえば、それぞれの領土にもどられるでしょうから接触がむずかしくなりますわ。先生方はそのあとも学園にいらっしゃるのですし、まずは卒業生であるお三方を調べ、それから先生方という優先順位のつけかたにしてはいかがかと」


「私もコマンゾネスさまの意見に賛成です。先生方のほかに、下級生も可能性はあるように思いましたけれど、彼らも同様まだ学園にいるのですし、まずは卒業されるお三方に注力しましょう」


 ベネクトリックスが賛意とともに見つめてきたので、コマンゾネスも首肯(しゅこう)とともに視線を返す。

 アレクシスはぼんやりと夢を見るように「そうか」とだけ答えた。

 そのあと、顔をおおってうなだれる。


「しかし、勝手に動いても大丈夫だろうか……。父──国王に報告し、指示をあおぐべきでは……」

「国王へのご報告はむろん必要でしょう。しかし時間もありませんし、それと同時にわたくしたちもできることをしておけばいいのでは」

「う、うん……。しかし、よく考えれば犯人が明らかになってから報告したほうがいいかな……。父上、中途半端に話をもっていくと怒るし……」


 アレクシスが優柔不断にうじうじとしはじめ、コマンゾネスが叱るために息を吸ったところで、けたたましい足音と怒号(どごう)ともに部屋のドアがひらかれた。


「お嬢さまァ!!」


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