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その悪役令嬢はあまりにもマッチョすぎた  作者: 七谷ぐちた
最終章 マッチョ令嬢、星の災いに見舞われるもすべてのバッドエンドを筋肉でねじ伏せる
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第56話 マッチョ令嬢 vs 星の災い1


「わたくしが、隕石をぶち破ります」


 コマンゾネスがそう宣言した瞬間、全員の顔がかたまった。


「いや、いやいやいやいや、いまはもう、おれは十二分にキミの実力は認めている。キミにかなう人間はいないだろうとさえ、いまは思っている。でも、あれは、そういうことじゃないんだッ!」


 オーランドが大仰(おおぎょう)に隕石を指さしながら()を説く。


「ふふふふ、ふふ、人間が、隕石を……。あなたの冗談、傑作ですね。でも落ちてくる岩を砕くのとはわけが違うんですよ……。いやふつうの人間は岩も砕けませんけどね……」


 ルミエールがひざをかかえて座りながら陰鬱(いんうつ)に笑う。


「もうちょっと現実的な案が出てくるのかと思ったが……」


 ヴィクトアが眉間(みけん)をつねってこまりきる。


「お嬢さまァ! ご乱心ですかァ!?」


 貴族たちのまえでなるべくひかえていたアンヌがガマンできず、ロマンジーナを抱きながら絶叫する。

 しかし、


「では、あの隕石に、いまからなにかができますか?」


 とコマンゾネスが問いかえすと、みながだまった。


 できることなど、あろうはずがない。

 ただ、死を待つこと以外には──


 そうした沈黙が支配する夜の旧校舎に、カリカリと、ひっかくような音がかすかにひびいた。

 見ると、マクシミリアンがひとり背を向け、木の枝で地面に膨大な数字や文字を書きつらねている。


「コマンゾネスさま、はるか上空にある隕石に、どうやって到達しますか。コマンゾネスさまのジャンプ力といえども、さすがにとどかないでしょう」


「それは……」


「仮に隕石の落下直前のタイミングでジャンプし、破壊できたとしても、その衝撃波は地上に多大なる損害をおよぼすでしょう。そうするとあんまり意味がない」


「うぐ……」


 言葉につまるコマンゾネス。

 加減したもの言いができないほど一心不乱に書きつづけるマクシミリアンは、体勢を変えずにしゃべる。


「ぼくは今回の一連の事件で、みなさんのすばらしい魔法を見てきました。残念ながら、ぼくは知識だけあっても、自在に魔法を扱うだけの魔力にとぼしい……。通常14歳ごろから心身の変化とともに魔力も発達していくとする説があり、だから魔法学園が16歳での入学という仕組みになっているわけですが、あこれいま関係ありませんね、ともかく、ぼくの魔力はまだ未熟で、みなさんの魔法はすばらしかった……」


 話しながらなにごとかを書ききったマクシミリアンが、ひとり「ヨシ!」と突然拳を握って吠えた。

 コマンゾネスはのぞきこんでみるが、なにが書いてあるのかまるでわからない。


 マクシミリアンはそんな彼女を見あげてニカッと笑い、言った。


「いちかばちか……みなさんの魔法を結集しましょう」


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