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その悪役令嬢はあまりにもマッチョすぎた  作者: 七谷こへ
第四章 マッチョ令嬢、土に埋められるも筋肉でねじ伏せる
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第47話 マッチョ令嬢の暗転


「みなさまご無事だったのですね!」


 声をかけながら丘をのぼってきた聖女ベネクトリックスの少しうしろには、第一王子アレクシスと、水のハンサムルミエールとがついてきている。


「はい、どうにかみな命は落とさずにすんだのですが……」


 コマンゾネスはベネクトリックスに応じながら、ヴィクトアの肉体の中で昏倒(こんとう)しているはずの悪魔へと目を向ける。


「悪魔さん、手加減してギリギリ意識を失わないようにボコボコにしたはずですから、まだそこにいらっしゃるんでしょう」


 あまりにもむごたらしい悪魔のやられ具合(ぐあい)に、だれかが「あれで……?」と疑問をもらしたが、


『は、はひ……』


 瀕死状態の悪魔がそうこたえた。


「もしそこから霊体となって逃げようとした場合、いまのラッシュを一時間はつづけます。まあ、『いっそ殺してくれ』でしたっけ? あなたが涙と鼻水をたらしてみっともなくそう懇願するのを見たい気もちもありますが、もういいでしょう。黒幕──“フードをかぶった男”の正体を、吐いてもらいますよ」


 コマンゾネスはそのパンパンに仕上がった三角筋を見せつつ悪魔を脅迫する。

 そうしながら、この二日のできごとが脳裏(のうり)をよぎっていた。


 最初にアレクシスとベネクトリックスが悪魔との契約者──“フードをかぶった男”に眠らされ、その手先である悪魔に憑依(ひょうい)されたこと。

 その状況から、ふたりに匹敵(ひってき)する高い魔力をもつオーランド、ルミエール、ヴィクトアのうちだれかが“フードをかぶった男”ではないかと目星をつけたこと。

 が、三人全員が悪魔に憑依(ひょうい)され、あやつられており、“フードをかぶった男”の犠牲者にすぎなかったこと……


 記憶を追いながらコマンゾネスは、


(どういうこと? シナリオではたしかにあの三人のうちのだれかだったはず……。なぜ、なぜ……)


 と心中(しんちゅう)で深く困惑(こんわく)していた。


「あなたと契約し、王国を崩壊させることをたくらむ“フードをかぶった男”の正体は……だれなのですか?」


 そう問いかけると、悪魔は、


『は、はひ……も、はな、し、ます。ゲボォッ』


 と呼吸をするのもやっとという様子で、悪魔にとっての血液にあたるのか、濃い紫色のなぞの液体をゲロリと口から吐き出した。


「さすがに殴りすぎたかしら……」

「まあ殴りすぎてはいるでしょうね」


 少々やりすぎたかと反省するコマンゾネスを、アンヌが間髪(かんぱつ)いれずに首肯(しゅこう)する。

 そんなコマンゾネスに、


「あの、コマンゾネスさま。そのおケガ……話しながらでいいのでひとまず治療をしませんか? まえも言ったはずですが、あなたはご自身のカラダを軽く見すぎています!」


 とベネクトリックスが少しほおをふくらませながら提案した。

 軽く見すぎている、という点にマクシミリアンやアンヌたちも激しく同意をしたため、


「え、ええ……では、お願いしようかしら」


 とコマンゾネスは受けいれた。

 ベネクトリックスは歩きながら、


「オーランドさまもおケガを……あとで治しますからね」


 と、途中にいたオーランドの二の腕にそっとふれる。


(ああ、女性からみだりに男性をさわってはいけませんよって以前注意したのに……まあいま言うことじゃないか)


 コマンゾネスが頭にふっと浮かんだ注意癖をおさえていると、


『わ、わた、しと、ゲボッ、け、けけ……』


 悪魔が吐血(とけつ)しながら言葉をしぼり出そうとするので、耳をかたむける。

 が、視界のはしに、ぼうっと空中を見つめているオーランドが目についた。

 少し焦点をずらすと、アレクシスとルミエールもまた、話に加わらずどこかぼんやり視線をさまよわせている。


(シナリオ……? そういえば、わたくしは、あのとき、シナリオ外に突入したのでは……)


 なにかがおかしい(ヽヽヽヽヽヽヽヽ)気がして、思考が警告するようにもがき出し、脳内が乱れる。


『け、契約、した、の、はですね……』


 悪魔の自白のさなか、不相応なほど満面に()んだベネクトリックスの顔が、近づく。

 指が、コマンゾネスのひたいにあてられた。


「〈スリープ〉」

『……そこにいる方ですよ』


 ふたりの声が重なって聞こえ、コマンゾネスの意識は闇へと落ちた。








<あとで消すあとがき>


次の話から第五章で、最後の章になる予定です。

多分12話ぐらい?

さらに「どこかで書いておかなくては」と思いつつうまく盛り込めなくて後回しにしたままになってる要素(いわゆる伏線的なもので書いてないとダメやんけみたいな内容)がけしからんことにちょいちょいございます。構成がへたくそすぎる。

とはいえ一応いま書いてるのがいわゆる初稿(最初のバージョン)のつもりなので、一回最後まで全部書いてからそこそこ大きめに修正していこうかなと思っておりますです。


特に水のハンサムはキャラクター含めて大きく変えるかもしれません。

あと◯◯のハンサムとか毎回書いてると「これダサくない?」って気もちが湧き出てくるので(いや最初は「このダサさがいいよね」みたいな気もちもあってこの呼び名にしたんですが)、この呼び方とかも変えるかもしれません。


ともあれあともう少しで終了する見込みですので、もしよろしければひきつづき読んでいただけますとたいへんたいへんうれしく思います。

五章は今週の金~土(13日~14日)あたりに更新しはじめられたらいいなぁと妄想しています。


いずれにしましてもここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。しゅき。

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