表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その悪役令嬢はあまりにもマッチョすぎた  作者: 七谷こへ
第一章 マッチョ令嬢、婚約を破棄され断罪イベントが発生するも筋肉でねじ伏せる
1/45

第1話 マッチョ令嬢、婚約を破棄される


「君との婚約は破棄する!」


 華やかな魔法学園の卒業パーティーにて、この国の第一王子アレクシスからそう高々と宣言されたときにも、公爵令嬢コマンゾネスは微動だにしなかった。

 2メートルを超える身長に、首、腕、胸、胴、脚にいたるまであらゆる部位が丸太のごとくに鍛えあげられた強靭(きょうじん)なる体躯(たいく)、眉や眼光までもたくましく、黄金としか形容できないほどに光りかがやく長髪──


 “マッチョ令嬢”という異名に名前負けをするどころか、「この世のあらゆる言葉は彼女の筋肉のまえに無力だ」と当代(とうだい)きっての筋肉評論家に感涙(かんるい)を流させた肉体をもって、彼女はその突然の婚約破棄にこう答えた。


「それが殿下のご意向なれば、謹んで承ります」


 そうして、コマンゾネスがその返答とともに放ったのは――あまりにも美しい敬礼であった。

 ここ、グレートウィンディッシュ王国においては、古来の慣習により男女それぞれに別の挨拶法が用いられており、コマンゾネスのその所作(しょさ)は女性のする最敬礼の意を(ひょう)するものである。

 ひざを曲げ、ふくらんだスカートを片手で優雅におさえ、もう片方の手は胸へと添える。

 絢爛豪華(けんらんごうか)なるパーティーの会場へ、あるいは稀代(きたい)の芸術家がおのれの技量の(すい)をつくした彫刻をプレゼントしてみせたのでは、と群衆にゴクリとつばを飲ませるほどのふるまい──


 いや、見よ。

 その内面にひそむ、コマンゾネスの憤怒(ふんぬ)を。

 デッドリフトや懸垂にて極限まで鍛えあげた背筋(はいきん)が膨張し、壮麗(そうれい)なるドレスの背なかがビリリと破れたではないか。

 しかし、もともと広く肩を見せるデザインであったドレスはそのたくましい三角筋や僧帽筋に支えられ、落ちもせずコマンゾネスの姿態(したい)をひきつづき彩っている。


 自分を連行するためにとり囲む第一王子の私兵隊を視界にとらえながら、


(結局、なにをやっても断罪イベントは回避できなかったわね……)


 とコマンゾネスは思案にふけっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ