世界は二つに分かれていた
純白の絨毯。
そして、その中心にオレンジ色の半球。
熱い鉄板の上でジューっと焼ける音。
朝ご飯の代名詞とも言われるそれは、パンに乗っけたりされている。
一緒に焼かれるのは、ウィンナーやベーコンそこにブロッコリーを添えたら彩も完璧だ。
良いことだけではなく、何をかけるかでも一部論争がある。
醤油や塩コショウ、ウスターソース、からケチャップまである。
半熟から硬めの好みもあり、人によって様々な味や形になる。
そんな誰もが魅了される、朝ご飯のイメージ料理。
それが、目玉焼きである。
だがしかし、その目玉焼きと言う料理を一度も見たことがない。
さきほどの説明も、家の書斎に保管されていた資料にしか書かれていなかったし。
街の書店にある料理本なんかには、書かれるはずもない。
今時、目玉焼きなんて料理は迷信や都市伝説。外で話せば陰謀論の様に白い目で見られて、おしまいである。
何故か? 至極当然で当たり前の思考。奪われた知識。
誰も疑問に思わない世界。
そんな世界を一言で説明しよう。
――――日本は白身と黄身を分けてまで、どっちが美味しいかで争っていた。