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巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった  作者: ノラクラ
第二部 強者尊ぶ竜皇国-ヴァルゼリオン

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44/79

44.ついに始まる新生活!ようこそ竜皇国へ!

◆視点:悠斗◆



――提案――


【竜識眼】の内包スキル【見識】を、所持スキルとのリンクおよび最適化を提案。

実行しますか?


――。


まどろみの中そんな声が聞こえた気がした。

だが、心地よいこの感覚に身を任せたい俺は、疑問を抱く前に「OK」と答えてしまう。


――返答――


所持者の了承を確認。

条件を満たしたことを確認。

これより【竜識眼】所持者を《マスター》と呼称します。


マスターのスキル群を最適化……


――再提案――


不足情報を補完するため、マスターの“記憶の参照”を求めます。

アクセスを許可しますか?


――。


何度も繰り返される謎の声に、少し面倒くさくなり

『もう勝手にしてくれ……』と返す。


“了解。これより最適化を開始”という謎の声からの返事を最後に、再び俺の意識は心地よいまどろみに沈んでいった。



――――



「……と。…お…て……ウト……! 起きて! ユウト!」


縦揺れの心地よさと室内の温もりに身を委ねていた意識が、今度は横揺れに変わり、ゆっくり浮上していく。


耳に届く柔らかい声に「ん~……」と返しながら目を開けると──

太陽の光を受けて淡く桜色がかった銀髪がきらめき、その中にシアの顔があった。


「おはようユウト!」

「お、おはよう……。えっと、近くない?」


肩を揺らしながら覗き込むように見てくるシアは、息が触れそうなほど近い。

瞳に映る俺の顔がはっきりわかる距離で、思わず心臓が跳ねた。


ここ数日の竜車旅──シアたちにとっては帰国の道中──で恒例となったモーニングコール。

慣れるどころか、毎回ドギマギしてしまうのは陰キャの性なのかもしれない。


≪起こされるたびに心臓が跳ねるからやめてほしいんだけど……それを言ったら落ち込みそうだもんなぁ……≫


子供っぽくはしゃいだ笑顔を向けられているせいで、拒否も照れ隠しもできず、ご褒美なのか試練なのかわからない。


俺が平常心を取り戻そうとしていると、シアが竜車の窓の外を指差した。


「ほらユウト! 私たちの国が見えてきたよ!」


そこに広がっていたのは──

現代日本では絶対に見られない、いや他の国にも存在するのか疑うほどの光景だった。


周囲は開けた平地だが、少し先には森、さらに奥には山脈が広がっている。

そして一番目を奪われたのは──国の背後にそびえる断崖絶壁と、

その向こう側から、巨大な滝が轟音を立てて流れ落ちている光景だ。


今、俺たちの竜車は山の中腹から国全体を見下ろす位置にいる。

目に映るその景色から、頭に浮かんだ言葉があった。


“天然の要塞”。


「すげぇ……でも、なんで城壁がないだろ?」


ファンタジーの国なら城壁は定番だろうと疑問を口にすると、その理由は拍子抜けするほど単純だった。


「攻めてくる相手がおらんからの」

「見ての通り、僕たちの国は周囲が山に囲まれていて、後ろは崖と滝だ。

 それに、この場所も標高の高い山の一角にあるからね」


……うん。そりゃ来れないわ。


たどり着けるかも怪しい場所に、上位種族の竜が住んでいる国。

そんな場所へわざわざ攻め込もうなんて無謀なことを考える気すら起きないだろう。


なにせ──

勇者たちが活躍した五百年前より前……。

魔族が世界を牛耳っていた時代ですら、攻め込まれなかったそうなのだから。


≪竜族も当時は調停者じゃなかったから、攻めてこない魔族と他種族の戦争も介入しなかったそうだし。

 それならかかわらない方が得策だもんな……≫


もちろん魔物はいる。だが――

“弱者は喰われて当然。だけど喰った相手には、その親族や友人が総出で報復に来る”

ということを魔物側が理解しているため、この国には近づこうともしないらしい。


≪まあ森の潤沢な恵みで暮らした方が安全だよな≫


俺が感心していると、シアが楽しげに身を寄せてくる。


「ねぇねぇ! ユウト! どうだった? ここまでの旅!」


「竜車の振動がほとんどなくて驚いたよ。室温調整の魔道具もすごく快適だし、

 寄った街の観光も、道中の野宿も全部新鮮で楽しかった!」


俺がそう答えると、三人は嬉しそうに満足げな笑みを浮かべた。



――――



今、俺たちは竜皇国の《華族街》を通っている。


この国では外側から順に、

下級竜 → 中級竜 → 上級竜

と区分されており、中心に向かうほど地位が高くなる。


そして階級はさらにこう分かれる。


・下級竜:平民

・中級竜:平民/士族

・上級竜:士族/華族/王族


≪血筋で決まる階級制度……だけど、実力で覆す者を冷遇しないってところが竜国らしいよな≫

確かに“生まれ”強さだけど、“努力”もまた強さだ。だから、ある意味で日本よりシビアだけど公正なのかもしれない。


華族街は壁で囲まれ、厳重な門番が立っている。

だがこの竜車には皇族であるシア・ヴェルミナさん・エリオスさんが乗っているため、完全に顔パスだ。


今、向かっているのは皇族の住まい──竜皇城。


「それにしても本当にあっという間の旅でしたね」

「アハハ!乗ってるのが竜車だからね!もし普通の馬車なら一ヵ月はかかると思うよ!」

「そ、それを五日に短縮ですか……」


いや、ちょっとした観光も含めてだから五日どころの短縮では済まないだろう……。

しかも“山越えも含めて”の計算だから一体どれだけ速いのやら……。


≪なのに全然余力がある状態とは……。さすが竜種だよな≫


ちなみに本気の速度で移動しても、今と変わりない快適な旅を約束してくれるそうだ。

しいて言うなら景色の流れる速度と、周囲の行商人や旅人たちに迷惑がかかることくらいだ


≪今でも早いのに、さらに速度を上げて亜竜が走ってきたら……そりゃ影響もあるよね≫


そんな速度で走ったら車輪が壊れないのか心配になって聞いてみたんだけど──


「アハハ! これはドワーフ国で作られた竜車を、姉さんが徹底的に改良したからね!」

「サスペンションやスプリングなど、あらゆる部品に魔法を付与したからの!」


どうやらこれも五百年前の勇者がもたらした知識をフル活用しているらしい。


大きな街では、元の世界の技術が随所に息づいているのはありがたいね。


じゃあ小さな村や町は?って思ったんだけど──そう言えば寄らなかったんだよな。


≪聞いてはいたけど、本当に全部すっ飛ばして進むとは……さすが竜種≫


俺たちを引くのは亜竜──竜に似た魔物で、言葉は話さず人化もしない。

ただし知能も身体能力も高く、“強者に従う”特性があるらしい。


エリオスさんいわく、一度主と決めたら生涯を共にする忠誠心を持つのだとか。


≪戦国時代の武将に殉じた馬みたいな話だな……竜もそういう感じか≫


「あっ!? ユウト、外見て!」


俺が技術や歴史のロマンに浸っていると、シアが少し不満そうに窓の外へ注意を向けさせた。

どうやら話に夢中になってしまって、いつの間にか着いてしまったみたいだ。


まあ、この国にはしばらく滞在するわけだし観光の機会はいくらでもあるしいっか。

それよりも――


「──これが竜皇城……」


思わず息を呑んだ。


山の中腹からでも一目でわかる、黒を基調とした巨大な城。

威圧感すら放つ圧巻の外観は、まさに“強者の象徴”という概念の完成形だと思った。


俺たちの竜車が城門を通り、庭園へ入ると――

最初に抱いた印象とは違って、広がる庭園はシンプルで気品に満ちていた。


≪外観は圧倒的、内装は優雅……さすが皇族の居城だな≫


竜車が停止し、ノックの後ヴェルミナさんが返事をすると、セリィが扉を開けてくれた。

降り立つと──そこには武装した約三十名の騎士が整列している。


「ユウト様?」


呆然と固まった俺に、セリィが心配そうに声をかけるが、動けない。


「驚くのも無理はないが、そこと立っておると妾たちが降りれん……」

「これくらいで驚いてたら、このあともっと大変だよ!」


ヴェルミナさんに呆れ気味に言われ、エリオスさんが肩を軽く揺らしてくれた。

我に返った俺は恥ずかしさのあまり、急いで横へ避ける。


そのあとエリオスさんが降り、シアとヴェルミナさんをエスコートして降ろす。

するとシアが一直線に騎士たちの前へ駆け出して──くるっと振り返り、俺へ笑顔を向けた。


「ユウト! 私たちの国──ヴァルゼリオン竜皇国へようこそ!」


眩しい笑顔。

何度目かもうわからないが、またしても俺はシアに見とれてしまったと同時に、


≪このチート能力の検証や訓練とかもできるし、なにより異世界には欠かせない竜の存在……≫


俺はこれからの生活へのワクワク感があふれてくるの感じていた。


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