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巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった  作者: ノラクラ
第一部 王国に召喚された魂約者

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28/79

28.赤面の竜族メイド!もろかった仮面の下を大暴露!?

俺は、セリィの提案を受けて竜力の操作訓練の一環として【竜眼】を使ってみた。

対象は――セリィ本人。


視界に光の粒子が集まり、淡く揺らめきながら文字へと形を変えていく。

それは、友莉や獅童に使ったときとはまるで違い、空気そのものが言葉を描き出していくようだった。

竜力の活性化によって情報量が多くなったからなのかはわからない。

けれど、どちらにせよ――


「うおっ!?」「ユウト!?」「ユウト様!?」


一瞬、頭の中に膨大な情報が流れ込み、脳がショートしたような感覚に襲われた。

世界がノイズに包まれ、視界の端が白く霞む。


≪ふぅ……痛みはすぐに引いたけど、頭が焼けるかと思った≫


駆け寄ってきた二人に「だ、大丈夫」と手を振って見せる。


「二人が言った通り、竜眼で見える範囲がかなり広がってたよ」

「そんなに変わってたの!?」


シアは目を輝かせ、まるで子供のような笑顔で俺を見つめてくる。

……うん。その顔反則だろ。


「どんな内容が見えたのか、教えていただけますか?」

「あ、そうだね。情報が多いから紙にまとめた方がいいかも」

「ではこちらをお使いください」


セリィがアイテムボックスを開き、紙とペン、インク壺を取り出す。

動作に無駄がなく、まるで一流の執事みたいだ。

俺はそれらを受け取ると、見えた内容を書き出していく。


――鑑定結果――


名前:セリーネ・ヴァルティエル

種族:竜族

性別:女性

年齢:163歳

所属:ヴァルゼリオン竜皇国

身分:双竜家ヴァルティエル家三女

職務:シンシア専属メイド


身長:158cm

体重:47kg


B:83 (C) / W:56 / H:84


状態:尊敬(78%)/興奮(82%)

好感度:74%/敵対心:0%


魔力量:S(残量95%)

竜力量:A+(残量98%)

魔力適性:闇・風・水


──────────────────────


〔通常スキル〕

短剣術Lv4/暗器術Lv7/鞭術Lv8/体術Lv5/投擲Lv7/魔闘法Lv5


〔機動・補助スキル〕

立体駆動Lv6/疾走Lv5/潜水Lv5/遊泳Lv5


〔知識・技術スキル〕

薬学Lv9/魔力操作Lv7/思考加速Lv8/弱点看破Lv5/偽装Lv8


──────────────────────


〔竜族系スキル〕

竜燐Lv5(物理・魔法耐性)

竜力Lv2(属性特効・スキル強化・耐性強化・竜装具現化)

竜眼Lv1(遠視・先見・鑑定・看破・魔力視・観察)

竜化Lv5(全能力強化・再生・竜化率53%)


──────────────────────


〔固有スキル〕

幻影竜Lv6(幻想の魔眼・幻影魔術・干渉耐性・虚像)


──────────────────────


〔特殊スキル〕

隠遁者Lv7(影渡り・気配遮断・潜伏・暗視)

超感覚Lv7(気配感知・直感・魔力感知・危機感知)

魔操織糸Lv8(魔糸生成・操糸・織成結界・伝導糸)

メイドの心得Lv4(家事・料理・裁縫・平常心・交渉術・房中術)


──────────────────────


〔加護〕

夜天竜の加護:夜間時、基礎能力(体術・感知・魔力操作)が上昇。

夕方から夜にかけてスキル適用範囲が拡張し、月齢により能力が変化。

【満月時効果】

身体能力上昇・出力上昇・魔力回復上昇・竜力回復上昇・再生力上昇


限定スキル:???


【新月時効果】

気配同化・誤認誘導・認識不可


限定スキル:???


――。


「……と、こんな感じだったよ」


俺は見えたままを書いただけなのに、なぜか罪悪感を感じながら書き写した紙をセリィに手渡した。


≪短剣、隠密、糸に薬学……極めつけは幻影竜。完全に“アサシンメイド”ですね……≫


機動系スキルも充実してるし、セリィは絶対に怒らせないようにしようと心に誓った。

幸い、敵対心は0。──この数値を上げないように気をつけよう。


≪それにしても、スキルって習得が難しいって聞いてたのにこの多さ……竜族補正なのか?≫


それと分からないスキルについては……いや、なんでもかんでも聞くのはさすがに失礼だよな。

気になる部分はいったんシアに相談しよう。


そんなことを考えていた矢先、紙を受け取ったセリィが――固まっていた。

顔は真っ赤。まるで時間が止まったみたいに。


≪うん……“好感度”とか“房中術”とか、見られたらそりゃ恥ずかしいよね≫


後ろから覗き込んだシアが、にっこりと微笑みながら言った。


「なるほど! 私も“メイド教育”受けたほうがいいかな?」

「いや、なんでそこ!?」


思わずツッコむ俺に、シアは頬を赤くして言い返す。


「だって、【思考伝達】ができるから……ユウトの“故郷の味”を再現できるかもしれないし。

 一緒に暮らせるようになったら、家事スキルは大事でしょ?」


≪邪なこと考えてごめんなさい!≫


その言葉に俺は心の中で土下座した。

だって、スキル欄に“房中術”って書いてあったんだよ!?

こっちは思春期男子だ、反応しないほうが無理だろ!


とはいえ、表には出さず、「楽しみにしてる」とだけ伝えた。


「ハッ!? わ、私はなにを……。いえ、申し訳ありません。お見苦しいところを……」


長いフリーズの末、再起動したセリィは耳まで真っ赤。


「ユ、ユウト様……その……見てしまわれましたよね?」

「な、なにをかな?」


あ、今の返し完全に意地悪だった。もう穴があったら入りたい。


気まずい空気が流れる中――シアが笑顔でそれを吹き飛ばす。


「セリィもユウトの素敵さを分かってくれて嬉しいよ!」

「シ、シア様!?」


シアの満面の笑みに、セリィが一歩引く。だが、勢いづいたシアは止まらない。


「だってね、私以外にもユウトのカッコよさを分かってくれる人がいるんだよ!」


……え、喜ぶ方向おかしくない?

普通、嫉妬するとか、照れるとかじゃないの?


≪あぁ、でも……シアは俺の“魂”を好きになったんだっけ。だからか≫


少し複雑な気持ちになった俺は、つい口にしてしまった。


「……なぁシア、その、嫉妬とかないの?」

「どうして?」


あっけらかんとした返しに、心がチクッとする。

そんな俺の様子を見たセリィが、助け舟を出した。


「おそらく文化の違いですね。ユウト様の世界では一夫一妻が普通だと聞いていますが……」


セリィは一度言葉を切り、俺のカップに静かに紅茶を注ぎ足した。


「私たちの国では、一夫多妻が認められています。

 ……ちなみに、私の父も妻が二人いるんですよ」

「へぇ……そうなんだ」


セリィは軽く微笑んでから、少し遠い目をした。


「竜族は“力”を尊ぶ種族です。強い者はそれだけで敬意を集めますし、惹かれる相手も多いんです。

 強い女性は、気に入った男性を独占しますが……。

 逆に、強い男性は複数の女性を受け入れることで、自らの力を示そうとする。

 どちらも、“強さを誇示する”という――本能に近い感情なんです」


彼女はそこで一息つき、ふっと柔らかく微笑んだ。


「ただし、側室を迎えるには……正妻の許可が必要です。

 シア様が“はい”と仰らなければ、誰もその輪には入れません」


「なるほど……。じゃあ、シアの反応はセリィを気に入ってるからなんだね」


確かに文化の違いは大きい。

納得しかけたその時――


「え? でも私、まだユウトの正妻じゃないから、決める権利ないよ?」

「シ、シア様!?」「シア!?」


話題の中心人物から――見事な爆弾が投下された。


「だって、魂約も私の一方的なもので、ユウトから返事もらってないもん」


……まっすぐにそう言われると、胸が少し痛んだ。


「あ、でも焦らなくていいからね! いつかちゃんと振り向かせるから!」


その瞳に、嘘が一つもない。

太陽の様に笑うシアは、とても眩しかった。


≪……こんなに言われているのに俺は……≫


そんな風に考えてしまった俺に、セリィは静かに微笑んで続ける。


「問題ありません。竜族は気が長い種族ですし……それに――」

「それに?」

「いずれ、ユウト様はシンシア様を好きになられると思います」


その言葉に、シアが顔を真っ赤にして両手で頬を押さえた。


≪……やばい、この空気甘すぎる≫


空気を変えようと、俺はなんとなく提案してみた。


「なあ、セリィ。俺たちの時くらい、“シア”って呼んでいいんじゃない?」

「私、もしかして……シンシア様のことを愛称で呼んでましたか?」

「うん呼んでたよ! むしろ昔みたいに私のことを“シア”って呼んでほしいな!」


「……」


セリィは一瞬フリーズし、そのまま半透明になって静かに部屋の隅へ移動し、膝を抱えた。


俺が驚いていると、シアがこそっと囁く。


「ユウトには見えてないと思うけど、【幻影竜】で作った“虚像”が隣にいるよ。

 本体は【隠遁者】で姿を消して落ち込んでるの」


どうやら【竜眼】の出力調整が上手くいっていないらしく、誤魔化しは無意味になっているらしい。


「……穴があったら入りたい……」


そんなセリィの声が聞こえて、俺は思わず苦笑した。


≪……この短時間で、セリィの可愛いところをだいぶ見た気がするな≫


俺とシアは顔を見合わせて、そっと頷いた。

このことは――しばらく触れないでおこう。


まあ、バレるのも時間の問題だろうけど――。

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