20.スキル判明!偽装する美少女と、チート少年の深まる謎?
◆視点:友莉◆
アタシは無事に適性魔力検査を終え、魔脈が活性化したおかげで――ついにステータスを確認できるようになった。
「これでアタシも魔法が使えるわ!」とテンションが上がっていたのだけど……実際に見た瞬間、思考が止まった。
――ステータス――
名前:羽郷 友莉
年齢:16歳
性別:女
魔力量:A+
魔力適性:光 / 闇 / 風 / 雷 / 水
〔通常スキル〕
短剣術Lv4 / 体術Lv4 / 立体駆動Lv5 / 身体強化Lv2 / 鑑定Lv6 / 偽装Lv7
〔特殊スキル〕
超感覚Lv2(気配感知・直感・魔力感知・危機感知)
魔力循環Lv3(消費魔力軽減・魔力量上昇・魔力回復)
心眼Lv2(先見・遠視・思考加速)
〔加護〕
???の加護(詳細不明)
――。
……強くない?
え、これが普通なの?
「……マジで?」
思考がフリーズしている私の口から勝手に言葉が漏れた。
「どうしたんだよ? そんな気まずそうな顔して」
「い、いや! なんでもない! 気にしないで!」
隣に立っていた悠斗が怪訝そうに覗き込んできたから、咄嗟に笑って誤魔化した。
≪いやいや、アタシよりすごい奴なんていくらでもいるでしょ。ほら、例えば義孝とか絶対にスゴイわよ!≫
正直、あの王子が強いと面倒だなぁと思うけれど、強くないと盾にできない。
アタシは冗談ぬきに面倒ごとを義孝に押し付ける予定だから。
そんな心境を表に出さないように、アタシはその不安を払拭するために、今しがた検査が終わった義孝にこっそりと【鑑定】を使った。
盗み見るのは気が引けるけど――今は背に腹は代えられない。
――鑑定結果――
名前:天条院 義孝
年齢:16歳
性別:男
魔力:B+
魔力適性:光 / 風 / 雷 / 水 / 火 / 地
〔通常スキル〕
剣術Lv5 / 精神耐性Lv4 / 状態異常耐性Lv2 / 先見Lv2 / 身体強化Lv3 / 魔力回復Lv2
〔特殊スキル〕
勇者の資質Lv3(物理耐性【中】 / 魔力耐性【中】 / 聖剣適性 / 戦技習熟)
――。
≪ふっつうじゃないのよ!≫
いや、確かに強いのは強いんだけど――
アタシよりスキル少ないし、適性魔力だって一つしか違わない。
「えぇ〜……どういうこと〜……」
思わず額を押さえたくなった。
強いのは良い。けど、“強すぎる”のは面倒でしかない。
それにこの加護って言うのもそうだ――なんなのよコレ。神様のジョーク?
よりによってアタシなのか全く意味不明だ。普通ならこういうのは神さまからの贈り物で、勇者が持つものだと思う。
≪目立ちたくないし、変な注目浴びたら絶対ロクなことにならない……≫
アタシは即座に決断した。
――偽装スキル発動。スキル情報、書き換え開始。
――鑑定結果(偽装)――
名前:羽郷 友莉
年齢:16歳
性別:女
魔力量:A+
魔力適性:光 / 闇 / 風 / 雷 / 水
――隠蔽中――
〔通常スキル〕
短剣術Lv4 / 体術Lv4 / 立体駆動Lv5 / 身体強化Lv2 / 鑑定Lv6 / 偽装Lv7
〔特殊スキル〕
超感覚Lv2 / 魔力循環Lv3 / 心眼Lv2
〔加護〕
???の加護(詳細不明)
≪よし、完了。意味不明な加護なんて、偽装よ偽装! どう考えても“面倒フラグ”にしか見えないもん!≫
魔力量や属性は見られてるし、変にいじれば即バレする危険がある。だからそこは触れないことにした。
それでもスキルを隠せるだけで、心が少し軽くなる。
≪でもスキルの使い方がなんとなくわかったのは大きいわ。 たぶん【直感】スキルのおかげなんでしょうね≫
誰に教えてもらわなくても、自然にやり方がわかるのはありがたい。
ひとまず、アタシは目立たないようにして、義孝がこれから強くなってくれることを期待しよう。そう考えていると、奏がほっとした表情で戻ってきたのを見つけた義孝が出迎えた。
「おかえり、奏!」
「ただいま義孝君! なんとか無事に終わって安心したよ!」
「そんなに緊張してたのか?」
「してたよ〜! もし私だけ魔法使えなかったら嫌だもん!」
そんな奏の心配性に苦笑する義孝と悠斗。
アタシも呆れながら口を挟んだ。
「奏の心配性は今に始まったことじゃないのよ。気にしたら負けよ、悠斗」
「ひどいよ友莉ちゃん!」
ぷくっと頬を膨らませる奏は、今のアタシの心を癒してくれる。
ついつい余計にイジリたくなるけど自重して、そのままこっそり、【鑑定】スキルで確認する。
――鑑定結果――
名前:柊 奏
年齢:16歳
性別:女
魔力量:B
魔力適性:光 / 風 / 水
〔通常スキル〕
弓術Lv4 / 命中Lv3 / 遠視Lv4 / 瞑想Lv5
〔特殊スキル〕
精霊の祝福Lv2 / 妖精の悪戯Lv2
あっち弓道部に所属していた奏らしいラインナップに納得だ。
ただ気になるのは“精霊”と“妖精”の名前が入っているスキル。 アタシのスキルレベルでも詳細が分からない。
≪やっぱりまだ特殊スキルは読み取れないか……。≫
気を取り直し奏と義孝のステータスを見終えたアタシは、ついでにと、トラブルメーカーの赤城も見ておく。
――鑑定結果――
名前:赤城 獅童
年齢:16歳
性別:男
魔力:C+
魔力適性:火 / 地 / 風
〔通常スキル〕
身体強化Lv3 / 先見Lv4 / 痛覚耐性Lv6 / 体術Lv3 / 威圧Lv2
……弱くない?
いや、こっちの世界では高水準なんだろうけど、アタシたちと比べると地味。
それに特殊スキルなし。
まぁ、痛覚耐性Lv6は喧嘩の名残なんだろうけど……
≪でも、筋力とか基礎パラメータが高いって言う可能性もあるわよね≫
そう思い直して、今どうこう考えても仕方ないかと、壇上に意識を向けることにした。
そこでは悠斗が司祭のお爺ちゃんと何か話しているようで、唐突に司祭が持っている杖の柄で床を“コン”と叩いた。
瞬間、淡い光が走り――ドーム状のバリアのようなものが張られる。
≪……え、なにあれ?≫
しかし、その理由はすぐに分かった。
バンッ!!
広間に爆裂音が響くと同時に、暗い青紫の稲妻が走った。
それは長くは続かなかったのに、壇上はおそらく悠斗から発せられた稲妻で破壊したのだろう煙が立ち上がり、様子を見ることができない。
しかし観客席がパニックになるには十分だった。
「な、なんだったんだあれは!」
「魔力暴走か!?」
「ば、馬鹿を言うな! あれほどのものが暴走で済むか!」
「だが……もし制御できれば……!」
「ぜひ、この身で味わってみたい……!」
≪変態が混じってるんですけど!?≫
すぐに「ユウト!」と叫ぶ声、そして“ドゴン!”という爆音。
≪今度は何!? 声からしてシンシアさんなんだろうけど≫
とりあえず今は放置して、この騒動の原因である壇上を観察することに専念する。
すると隣の義孝が青ざめた顔で口を開いた。
「ま、魔王……? 悠斗……お前……」
「そんなわけないでしょうが……」
アタシは呆れながらため息をつき、義孝の言葉を訂正する。
このまま放っておいたら勝手に盛り上がって暴走する――この性格、どうにかならないものかしら。
「アタシたちは勇者として呼ばれたのよ。 なんで魔王になるのよ……」
「だけど友莉! あんなのどう考えたって!?」
「このバカ話はおしまい。 少し冷静に考えなさいよ! アタシたちがここに召喚された理由は?」
「……確かにそうだな。俺が悪かったよ……すまない」
そう言って義孝は申し訳なさそうに頭を下げた。
確かにあんなのを見たらそう感じてもおかしくはないけどね。
「それよりも悠斗君は大丈夫なのかな……?」
そんな奏は心配そうな視線を壇上に向ける。アタシたちはもくもくと煙が立ち上る壇上に視線を送ると今度はブワッと煙が晴れた。
「どうやら大丈夫そうよ!」
「よかったぁ~!」
「あそこにいるのはシンシアのお兄さんだっけ?」
「見て、煙が晴れてきたわ」
そこには――穏やかに微笑むシンシアさんのお兄さんが立っていて、悠斗と何か話した後に少し離れた場所に居るお爺ちゃん司祭の所へお兄さんだけが歩いて行く。
≪これは原因を探るチャンスね!≫
さすがのアタシでも他人のステータスを覗くのには気が引ける。もう遅い?あれはノーカンでしょ!
アタシは悠斗に意識を集中して【鑑定】を発動した。
……でも――。
「……は?」
表示された結果に、目が点になる。
――鑑定結果――
名前:???
年齢:???
魔力量:F-
適性属性:???
〔通常スキル〕
???
……意味、わかんない。
なんで? 何も見えないのよ?
奏や義孝のステータスは普通に見えたのに、悠斗だけまったく何も情報が表示されない。
≪魔力量が“F-”って、嘘でしょ。水晶を粉々にしたのに? と言うか、なんで名前も年齢も表示されないのよ!≫
【直感】が警鐘を鳴らす。
――あの力は危険。
――シンシアさんが関係している。
――魔力は不明。
≪あそこにいるのが悠斗本人なのは、アタシの直感が告げているし……とりあえず時間を見つけて聞きに行きますか≫
アタシは小さく息を吐き、視線を壇上に戻す。
そこには壇上に上がる国王様の姿があり、どうやらこの状況を説明してくれるらしい。




