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天元物語  作者: 抜田 礼
ファンタジーの一面
45/59

◆8

 後日私は天元の電子部品ショップに足を運んだ。

 別に発明品を見せつけるつもりは無かったが買い物ついでに寄りたくなったのでついでに見せに来たのである。

「へぇ~いいじゃん、造形は3Dプリンタかな?」

 写真を見ながらクギヒコさんは私に尋ねた。

「まぁね、わざわざ基盤や電子部品まで造形してデザインしたんだから大変だったよ」

「なるほどね、こう言うの何て言うんだっけ?スチームパンク?」

「着想を得たのはスチームパンクなんだけど、スチームパンクは電気が発見されずに蒸気機関主導で進んだ世界軸だったはずだから厳密には違うんだよね」

「へぇ~・・・俺その世界軸にいたら何やってたんだろ?」

「え?歯車とか売ってたんじゃない?或いは新型エンジンとか」

「重そうだな・・・こっちの世界軸で良かった」

「そう?スチームパンクなクギヒコさんもなかなかカッコいいと思うけど」

「カッコよくても重いもの持つ仕事は嫌だね、ほら約束したからこれ持ってって良いよ」

 そう言ってクギヒコさんはラズベリーパイピコを一個差し出した。

「え?いいの?あんなの冗談だよ」

「いいのいいの、ルナちゃんの発明品今後も楽しみにしてるから持ってって」

「ありがと」

 私はスマホとラズベリーパイピコを受け取り店を後にした。


 帰りの道中も私は自分の発明品の写真を眺めていた。

 とくに発明品と一緒に写った私の写真を見ながら、後世に残す写真はこれがいいなとか考えていた。

 そんな時にふと思った。

 そう言えばこれもそうだなと。

 今では当たり前になりすぎたカメラ。

 携帯電話を買えばほぼ確実にセットになって付いてくるカメラ。

 誰もが自由に写真を残せる素晴らしい時代であるわけだが、実はその昔、写真と言うのは裕福層や偉人など選ばれし人間しか映れないものだったのである。

 写真を撮るとなればまず写真家と契約を交わし何日も何週間も綿密に話し合いを重ね、構図や衣服やポーズを決めて、何度もリハーサルを重ねてようやく写真を撮るのが一般的だった。

 噂ではその昔のカメラは光に反応するような劇物を扱うがために、写真家を志した人々が命を落としたと言う話を聞いたことがある。

 写真に撮られると魂が抜かれるなんて言う迷信はそんな背景があったのかもと思うと色々と想像が楽しくなる。


 カメラの始まりは?

 と問われて人々はどう答えるだろうか?

 鮮明に写せるようになったダゲレオタイプか?

 カメラとしての機能を果たすようになったタルボットのマウストラップか?

 実はそれよりも前にカメラオブズキュラなる絵描きの隠しアイテムがあったりする。

 映像を紙の上に投影することで実像をトレースすることが出来る無名なのが意味分からないアイテムなのであるが、これをカメラに分類するならば、絵は写真に含まれることになってくる。

 昔読んだ本によると最古のカメラは洞窟に空いた小さな穴を塞いだ水滴だったなんて話もあったが、私はそれを認めたくはない。

 私が思うに最古のカメラとはこの惑星にひしめき合う生きとし生ける多くの生命だ。


 彼らに備えられた目はまさしくカメラの構造をしている。

 古代人の壁画を見ながら思うことは人間と言うのは初めて現像の機能を持ったカメラだったのだと言うことである。

 詰まる話が私が思うにカメラの歴史を辿ってしまうと神話の時代まで遡ることになる。

 何故ならば世界が誕生したその瞬間がカメラの誕生と言っても過言ではないからである。

 私はカメラだけが時間を超越する力を持っていると思っている。

 事実、現代の検索エンジンに搭載されたストリートビューではタイムマシン機能というものが備えられており、過去の世界を歩くことが出来るようになっている。

 ドラえもんがやってくる期待は薄いが何とも夢のある話だと思う。

 しかし例の如くそんなカメラや写真も、今では娯楽の一環に過ぎない。

 そこに有難みやロマンを感じる人間はほんの一握りであることだろう。

 これが当たり前になることを夢見た人間はその昔大勢いたことだろう。

 彼らのファンタジーを我々は生きている。

 なんとも皮肉な話に思えるのは私だけだろうか。


 そうこう思っている内に帰宅する私。

 やることが無い時は決まってパソコンと向き合う。

 私にはパソコンで最も好きなアプリが一つある。

 こんどはその話をしよう。

 

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