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天元物語  作者: 抜田 礼
ファンタジーの一面
41/59

◆4

 ラズベリーパイはプログラミングと言う魔法詠唱によって動く。

 プログラミングと言うものを経験した人間はその美しさを度々感じることがあると思う。

 例外は少なからずあるが、プログラムと言うものは完璧でなければ起動しないのだ。

 さながら詠唱を間違えれば発動しない魔法の如く、プログラムは一文字のミスで概ね全く起動しないのだ。

 我々が何気なく使っているパソコンやスマホも完璧な魔法詠唱によって成立していることを思うとこの世界はなんだか美しいと思えてしまう自分がいる。

 この完璧な魔法詠唱を成立させるためにプログラマーは1文字のミスを見つけるために何時間も或いは何日も時間を費やす。

 大文字か小文字か、消し損ねた無駄な文字か、rとlの打ち間違えか。

 そんな凡ミス一つを探して完璧をひたすら目指す地道な苦労がプログラミングなわけだ。

 だからこそ私もまたこの地道なプログラミングをしなければならないわけだが・・・。


 実を言うと令和の時代は革命が起きているのである。

「エルビス、ラズベリーパイピコで使うLEDを滑らかに点滅させるプログラムを書いて、言語はPythonで」

「かしこまりました」

 あれよあれよと言う間にパソコンに表示されるプログラム。

 これを体験して驚愕したプログラマーは少なからずいることだと思う。

 今はもうAIを使えば地道なミスの添削もプログラミングそのものすら一瞬で終わってしまうのである。

 後はこのプログラムに合致するように部品をはんだ付けするなり、ブレッドボードで繋ぐなりすれば、あっと言う間に光を操る魔術師の誕生と言う寸法だ。

「光あれ!」

 部屋がLEDテープで怪しく光る。

 世の中には色々な便利なものが溢れているが、LEDはシンプルに美しい最高の発明だと私は思っている。


 私は心底今の学生たちが羨ましいと思う。

 私が子供の頃はLEDではなく豆電球で電気の学習をしていた。

 豆電球はすぐに熱をもってしまい長く点灯させられなかったので、いつまでもその美しさに酔いしれる時間があるLEDで実験できる今の若者達が羨ましくて羨ましくてたまらない。

 まるで蛍のように光るLEDテープはきっと多くの人を魅了することだろう。

 ちなみに蛍の光はルシフェリン・ルシフェラーゼ反応と言うちょっと小難しい名前の反応をするわけであるが、この反応の名前は堕天使ルシフェルが名前の由来なのだそうだ。

 由来についてはあまり詳しくはないが、蛍の光は生命エネルギーを消費することで放射されるわけであり、生命エネルギーを消費すると言うことは言うまでもなくその反応物質はえげつない猛毒なのである。

 愛の為に命を消費する様を堕天使になぞらえたのかは知らないが、なかなか光界隈のネーミングセンスには心をくすぐられる感じがする。


 とにもかくにも将来の夢も叶えられず、なりたい自分にもなれなかった私はエルビスの力を借りて呆気なく光の魔術師になれたわけなのだ。

 これを夜の装備に活かすも良し、コスプレのギミックに活かすも良し。

 素晴らしきかな令和の時代。

「ありがとう、エルビス、うまくいったよ」

「お役に立てて私も嬉しいです。他にも何でもお申し付けくださいね」

 本当にトニーさんになった気分で余は満足である。


 こんなものが登場してしまった以上プログラミング界隈は大きく変わらざるを得ないのだろう。

 路頭に迷うプログラマーなんてものも少なからず出てきそうだ。

 しかして、この便利を手放す勇気が人類にはあるだろうかと問われればそんなものがあるわけないことくらい歴史が証明しているのである。

 現実はいろいろと残酷だ。

 多くを知ると手放しでは喜べない。

 でも、こんな凄いものが世の中に出回るってことは、世の中の偉い人は私達に幸せになって欲しいと思っているんじゃないかなと勝手ながら思っている。


 そんなことを思っていた矢先に私のスマホが鳴る。

 スマホを確認して見ると私の変人仲間であるタクヤからのメッセージだった。

<茶会しない?>


 この令和の時代でこの言葉の意味を理解できる人間がどれほどいるだろうとか思った。


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