ステイジング
危険な旅路、サンフランシスコまでの22日間。
ありったけの弾薬とネイビーリボルバー。
泥濘んだ道、足を掬われる。
立ち往生する馬車を押す。
深い森からは獲物を狙う盗賊の群れ。
セントルイスの風が懐かしく、恋しい。
外には無数の狼たちが、身を潜める。
鉄橋の下で待ち伏せ。
銃弾の雨の中、身を伏せながら、
狙いなんて付けられずに、ひたすら撃ちまくる。
黒い雲から雨が落ち、血を洗い流す。
不幸な事に、肩を撃たれ、
流血を止めようと布で縛る。
暗い森から抜けるまでは、堪えなければならない。
誰かが見ていれば、助けが来るかもしれない。
ただ、意識は遠のく事を止めようとしない。
目を凝らし、前だけを見つめ、必死にもがく。
激痛からの解放は死を意味する。
ここで死ぬわけにはいかない。
全速力で走り抜ければ、ようやく助けが来た。
近くの町の保安官たちが駆け付け、
数名の護衛を残して森に入っていく。
汗が滲む、目の前が暗くなる、
きっと終わりが来たのだろう。
目が覚めた時、ベッドに横たわっていた。
まだ肩が痛む。
保安官の見舞いに安堵した。
感謝の言葉を伝えると、よく耐えたと褒められた。
痛みを堪えながら、なんとか笑顔で返した。
数日もすると、殆ど回復する事ができた。
それからまた、サンフランシスコを目指す為、
保安官たちに改めて礼を言い、
馬車に乗って再び旅立つのであった。