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 俺に与えられた任務


『異能』それは、古来より特定の人間が特定の環境下に置かれた時に発動する超能力現象のことだ。

ある者は風を呼び空を舞う、ある者は物を浮かせたり、雷鳴を轟かせる。


昔から、極少数の人間に奇異として現れる不思議な力。

それを人々の争いの種として利用したり、科学の発展に役立ててきたのだ。


上手く、その能力をコントロール化に置けば、人の幸福に繋がることもあるし、人類のさらなる進化に役立つものになる。


人々はそう信じて、身近なものとして『異能』を傍らに置いて、歴史を歩む。

そうして生まれた現代の社会。科学技術が発展し、高度経済成長を遂げた『大海都』


ここで、とある事件が生まれることになる。


異能警察 大海都 B地区担当 刑事部 捜査第1課− 朝倉 誠司


今日、俺が刑事部部長のこの一室に呼ばれた訳は、

とある大事件に関わる重要任務の正式な申し渡しである。

この任務の詳細を聞いた時は、本当に嫌だった。


異能警察の仕事を始めて7年。今まで、様々な事件を担当してきた。

異能警察が担当する事件の多くは、特殊な事件ばかり、連続神隠し事件に強盗事件。


いずれも、事件発生から何ヶ月、あるいは何年経ってから事件として捜査が開始されるものが多く。

とても、知的で狡猾かつ計画的、周囲はなかなか事件発生に気付かず、被害に合ってるということでさえ認識するのに時間が掛かる。


50〜60年前は、異能警察が扱う事件は、もっと単純だったと聞いている。


事件の大半が異能者同士のバトルで事件を解決することができ、なんとも羨ましい単純明快な事件が多かったという。


しかし、高度経済成長を遂げた大都市『大海都』では、この数十年で加速度的に人口は増加。

それに伴い、当然のごとく異能者の数も増加。

そこで、異能者教育に異能者の管理、それに基づく法の整備や、科学技術の進歩により、

異能犯罪を撲滅しようと、ありとあらゆる対策により、どんな異能であっても対応できる社会になりつつある。 


そんな社会の経緯網を掻い潜って、起こる異能事件というのは、より知的で複雑化してきているというわけだ。


大体、そういう異能事件というのは、組織絡みで動いているものが多い、あるいは歴史上、発見されたことのない稀有で強力な異能だったりする。


そんな事件が多くなってきた中、異能警察という組織としての成長が求められてきている。

バトル能力だけが、やたら高い脳筋ならぬ『能筋』だけが取り柄の人材だけでは、今の時代では遅れを取る。


そこで、俺みたいな(バトルで何も役に立たない)平凡な異能能力者でも刑事課という職務を与えられてるというわけだ。


一昔前なら、俺みたいな奴はこの課の担当になるなんて、ありえなかっただろうな。

俺の場合は、異能というよりは、地頭で鍛えた洞察力や、思考能力が買われたんだろうなと思う。


強制わいせつ事件では、変態を多く相対してきたけど、そいつらの思考レベルに合わせて予想を立てて、捜査をするのは本当に反吐が出そうだった。


しかし、その時以上に頭を悩ませる事件の任務に俺は付くことになった。


異能警察 大海都 B地区担当 刑事部部長− 星野ほしの 龍馬りゅうま


俺より8歳年上の星野部長は、俺が部屋に入ってくるまで事件の資料を何度も見返していたようだった。

俺に気付くと、わずかに目を見開き、回転式の椅子を動かして俺に向き直る。


「今日、君を呼び出した用件は、もうわかっていると思うが…。」


眉を顰める彼の表情は、俺が初めて出会った頃の26歳の時から外見が変わっていない。

部長という肩書きが似つかわしくないほど、若々しい。

「はい、もちろんです。今日、この日までに署長から、直々に任務の詳細を聞かせていただいていました。」


俺がそういうと部長は、かつて俺の先輩として共に行動していた時によく見た苦悩の表情を滲ませた。


「実に厄介な任務を上から、持ち込まれてしまったな…。どうして君なんだ?」


そんなことは俺が一番、聞きたいし、嘆きたい。


まぁ、でも仕事だから仕方ない。とお互い感情を押し殺したタイミングは同じだったように思う。

顔を上げると部長の切れ長の目と目がカチリと合った。

ここから、一気に仕事モード、冷徹の星野部長に切り替わる。


「それでは、君にこれから任せる任務を言い渡す。

異能警察 大海都 B地区担当 刑事部 捜査第1課に本日、所属となった


東堂とうどう 明仁あきひと』の監視及び世話役に任命する。詳細に関しては君の方が詳しいだろう。よろしく頼む。任務終了は…」


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