表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

第十三回献血オリンピック

作者: ずんたこす

実況「いやーとうとうこの日がやってきましたね。血湧き肉躍る血液の祭典、四年に一度の献血オリンピック!」


解説「キャッチコピー物騒ですね」


実況「さぁ今年は、週刊『少年献血倶楽部』の編集長、猫曽木賢潔ねこそぎ まさきよさんを解説にお迎えしております。

猫曽木さん、よろしくお願いします」


解説「よろしくお願いします」


実況「さっそくですが今大会の注目選手をお伺いしてもよろしいですか?」


解説「そうですね。やはり前大会で、400mlミリリットル男女混合ダブルスの世界新記録をマークして、金メダルを獲得したエチオピア代表のアベベ選手とギルマ選手。

一時期は体調不良に悩まされ、出場を危ぶまれていましたが、レバーペーストの静脈注射で持ち直し、見事代表の座を勝ち取っています。

今大会でも活躍が期待されます」


実況「なるほど。レバーは葉酸ようさん、鉄分が豊富ですからね」


解説「造血ぞうけつを助ける作用がありますからね。

そして2人目は200mlミリリットル自由形では無類の強さを誇る、カタールのモハメッド選手。

前々大会、前大会に続いての3連覇が期待されています」


実況「アクロバティックな動きに、審査員も見惚れていましたね」


解説「成分献血血漿成分部門せいぶんけんけつけっしょうせいぶんぶもんからは日本が世界に誇る豪腕、百目鬼どうめき選手。

成分献血部門は血小板成分部門けっしょうばんせいぶんぶもん血漿成分部門けっしょうせいぶんぶもんともに日本は世界に遅れをとっていましたが、選考会を兼ねた交流戦で『成分献血部門せいぶんけんけつぶもんに百目鬼あり』と世界に知らしめました。

この三人にはぜひ注目してほしいですね」


実況「なるほど。ありがとうございました。さて、そろそろ選手達の入場です」


解説「各国の代表みんないい顔してますね」


実況「前大会の優勝国エチオピアのアベベ選手の宣誓から開会式が始まり……おっと?なにやら揉めてますね。どういう事でしょうか、猫曽木さん?」


解説「どうやらアベベ選手、レバーペーストが体内に残留していたみたいですね。これはいけません、ドーピングにあたります。失格ですね」


実況「これは何という番狂わせ!最も優勝に近いエチオピアが大会前に脱落だ!」


解説「サポートチームの調整ミスですかね?残念な結果に終わりました。会場はブーイングの嵐です」


実況「波乱の幕開けとなりました第十三回献血オリンピック。未だ動揺が見られる選手達のメンタルに悪影響がないかが懸念されます」


解説「はい。難しいかもしれませんが、早めに気持ちを切り替えて欲しいところですね」


実況「そうですね。えー、ここで一旦CMです。なお、一部地域の方を除き、このまま開会式の様子をお送りします」



解説「(ナレーション風に)ーー失ったのは家族だけじゃない。全てを取り戻すために、少年はまだ見ぬ道の先へと一歩を踏み出した。献血のその先へーー『週間少年献血倶楽部』が送る新感覚のジュブナイル献血冒険譚『静脈戦記じょうみゃくせんき』」


実況「(主人公風に)アニメ第二期も決まって絶好調!最新15巻も発売中‼よろしくな!」



実況「さて、トラブルはありましたが、無事に開会式は終わった模様です。選手達は一旦控室に戻り、会場では第一種目の準備が進められております」


解説「まずは400mlミリリットル男女混合ダブルスですね。優勝候補のエチオピアが消えて、どこが勝っても不思議ではないですからね。要注目です」


実況「ところで猫曽木さん」


解説「なんでしょう?」


実況「この献血オリンピック、まだまだ認知度が低いと思うんです」


解説「そうですね」


実況「知らない方のために、競技開始前に説明を頂いてもよろしいですか?」


解説「あぁ、はい。実は私もよく知らないんですよね」


実況「……あー……そうなんですねー……」


解説「はい」


実況「はっはっはっはっ」


解説「はっはっはっはっ」


(間)


実況「以上、献血オリンピックの会場からお送りいたしました!!また次の大会でお会いしましょう!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ