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☆銀連TIPS:『ミリィ・クアット』

人工的な遺伝子操作を受けていない純血の地球種族の少女──という触れ込みで売り出されている鮮やかな赤い髪がトレードマークの美少女アーティスト。


その正体は〈不老不死〉の遺伝子を削除されずに、一万年の時を生き続ける原生地球種族の生き残り……。ではなく、銀連政府管理のもとで計画的に生み出される〈クローン〉のアーキテクトミュータント。本来は〈ミリィ種〉と呼ぶのが相応しい、まさに銀連の闇と使命を背負わされた存在である。

──というのも嘘である。

ミリィ・クアットという商材のメインターゲットであるローティーンの少女たちならばいざ知らず、分別の付いた大人たちは誰もそんな見え透いた作り話のプロモーションを信じたりはしない。


真実は、単にその時代ごとに年頃の少女の中から適当な者を選抜し、ミリィ・クアットの名でデビューさせているだけのこと。

そこに大時代的な陰謀論や神秘性などが入り込む余地はないのである。


ただし、その裏に銀連政府の後ろ盾があるという話は本当だ。

政府が肩入れする理由の一つは原生地球種族の美醜感覚(耳が尖っていない、より自然選択的な姿)を貴び、社会がそこから大きく逸れていかないための基準となることを狙って。

もう一つの理由は、生粋の地球人という触れ込みであるミリィ・クアットという神輿みこしを担ぎ、探査船団を、引いては銀河連盟全体の結束を図ることにある。

大人たちはそんな事情を全て分かったうえで、子供たちと一緒になって彼女に声援を送るのだ。


「あら、ミリィ? 懐かしいわね。まあまあ、ちっとも変わらないこと。おばあちゃんが子供の頃も、そりゃあ憧れたものよ? みんな彼女のことが大好きだった。自分の髪がもしあんな鮮やかな赤色だったら、なんて空想したりして」

年頃の孫娘が夢中になって視聴する最新のヴイを覗き見た祖母が、そう言ってうっとりとした表情を見せる。

どういうことかと詰め寄る孫娘に対し、祖母はふふふと笑って煙に巻く。


そういったやりとりが、宇宙のあちこちで、何十世代にも渡って繰り返されているわけである。


政府による強力なバックアップのもと、全宇宙規模でプロデュースされるミリィは、その興行期間中に連盟が版図を広げる宇宙空間の端から端までを飛び回ることになる。

単独航行可能な超光速ワープ装置を備えた専用ツアーバスを所持するのは、宇宙に数多あまたいるアーティストの中でもミリィくらいのものである。


ちなみに、その特注の宇宙船〈アトラス号〉がもたらすウラシマ効果が、彼女の永遠の若さの秘密であるというトンデモ仮説も、界隈では一定の人気を博しているらしい。

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