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☆銀連TIPS:『エルフセイレーン種』

銀河連盟の一般的な区分では、アーキテクトミュータントのエルフ種のうち、特に声帯の柔軟性が強化された種のことを指す。

4オクターブの音階を滑らかに操る程度は彼らの中では平凡な類。特に秀でた者は構造が全く異なるはずの異星系種族の声帯模写までやってのける者もいる。また、それらを聴き分ける聴覚の鋭さも特徴のひとつ。

探査船団社会においては、美しく多彩に奏でられる音声表現を活かし、歌手や俳優といったタレント活動に才を見出す者が多い。


外見的にはレトロエルフ種と殆ど見分けが付かないが、レトロエルフの場合、その生活様式や服装が極めて戒律的アーミッシュなものに偏っているため、連盟社会において両者を混同する心配はないだろう。

こんにちの連盟社会において、原生地球人をルーツとするエルフ種のうち、最も人口比率の高いエルフ種がエルフセイレーン種である。


原生地球人をルーツとする、という前置きを必要としたのは、それ以外の星系種族が彼らを模倣することで生じた亜種があまりに多いためである。

その代表格は緑がかった肌を持つフィライドエルフ種。これは、本家を標榜するレトロエルフたちが思わず嫉妬してしまうほど()()()()()()()ので、純血志向の強い彼らがこぞって混血を望むという、歴史上極めて稀なブームを呼んだほどだった。


他には、ミャウハエルフ種、パーシエルフ種、ヨイヒムエルフ種、セクティアエルフ種などなど。およそ統一銀河連盟に加盟する星系種族の中でエルフ種を持たない種族は存在しないと言ってよい。


連盟発足当時は特にその盟主たる原生地球人への畏敬や憧れが強く、彼らは科学の力を借りて、自分たちの子らの姿を率先して盟主たちに近付けようとする風潮があった。

彼らが参照した尖った両耳は、原生地球人本来の特徴ではなかったのだが、文化的背景をよく知らない異星系種族たちには、その特徴的な耳の形こそが、原生地球人から好ましく受け入れられる条件のように解釈されたのである。


くして、ちまたには様々な肌艶、目鼻立ちの亜エルフ種が溢れることとなった。

外見の維持こそ最大のアイデンティティと信じる地球原産のエルフ種は、それらの奇妙な近親種を大いに煙たがったが、そんな内心を易々と公にすることはなかった。

自分たちこそが真のエルフであるという内に秘めた自尊心と高邁こうまいさは、さながら太古の創作物の中にある鼻持ちならないエルフを彷彿とさせるものである。

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