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あの日夢見た幻想郷~Wanted My Whereabouts  作者: ルーミエル
第1作「東方靈異伝」
7/8

特攻系はリスキーだが強くなる

すみません、結構間隔あけての投稿です。実はコロナに罹ってしまっていました。もう今は回復したので大丈夫ですが、活動報告にも更新せずに休んでしまい申し訳ありません。えーりんの治療で元気100倍アンパンマンなので身を粉にして書いていきます。これからも何卒本作をよろしくお願いします。


それでは、本編どうぞ!


「うみゃー!」

「確かに美味しい。華扇って、仙人なのにグルメに精通してるのよね」

「そして、人のお金(奢り)で食べるからなお美味しい!」

「あ、お金、私が食べてる分しかないから」

「もぐもぐ.......へ?」

「いやー、他人の不幸は蜜の味だわー」


ぐぬぬ.........はぁ。

私たちは今、戦闘後のお茶休憩中。目の前のお団子は美味しいけれど、急に串が重く感じるよ。


「........ずずっ」


はわぁ。やっぱりお茶は日本の伝統文化だよねぇ、侘び寂びね、心が落ち着く。その深い味わいの後にこの三色団子を一口。これがね、美味いのよ。目の前の客が今、「新鮮フルーツ団子で!」とか言ってる。あのね、フルーツ団子なんてきょうび流行んねーんだよ、ボケが。

幸せそうな顔して何が新鮮フルーツ団子で、だ。


あなたは本当にそれを食べたいのかと問いたい。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。

あなた、流行りが食べたいだけちゃうんかと。

和菓子通の私から言わせてもらえば今、この界隈でのトップはやっぱり、三色団子、これだね。


三色団子二本暖かいお茶付き。これが通の頼み方。

三色団子ってのは、付属ソースとかがない。そん代わり団子自体が甘い。これ。

で、それにもう一本と暖かいお茶(緑茶)。これ最強。しかし、これを頼むと家のご飯が食べれなくなると言う危険も伴う、諸刃の剣。


素人にはお薦め出来ない。まあ、君たち非甘党勢は、味噌田楽でも食ってなさいってこった。



「なんであの人を睨んでるの?」

「霊夢、団子屋は殺伐として然るべきなんだ。刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんだ」

「そのこだわりはよく分からないけど、お茶冷めるわよ?」

「......ずずっ」


はわぁ。やっぱりお茶は日本の伝統文化だよねぇ、侘び寂びね、心が落ち着く。その深い味わい後に目の前の三色団子を一口。これがね、美味いのよ。目の前の客が今、「新鮮フルーツ団子で!」とか言ってる。あのね──────。



「いや待て待て、そのお茶にはなにか入ってるの?なぜほんわかした顔から殺伐とするの?」

「え、いや。そういうネタですけど」

「.........やっぱり奢りは全体的にナシね。割り勘ならいいと思ってたけど」

「なに!?割り勘するつもりだったの!ふざけなければ良かったー!」


頭を抱えてうあー!と叫ぶ私を放置し、霊夢はそのまま話を続けた。


「そういえば、あんたって中々実力が安定しないわよね」

「ぁー!....え、どゆこと?」

「つまり、私が退治するような妖怪と、さっきの剥がれ者と戦う時とじゃ、強さが違わないかって」

「そーいわれても」


そういうものだよ?私は剥がれ者特攻だし。

剥がれ物キラーなので、普通のやつ相手だと準備無しじゃ場合によっては死ぬ(ピチュる)しね。


「私は、どっちかと言うと言葉で戦う方だからさ。説得が一番じゃん」

「まあ、レミリアに輝夜、さとりにサグメも言葉て負かしたからねえ。でもさ、なんかぼこぼこにされてたときなかった?物理的に」

「え?あったような.....?なかったかも?」

「あったでしょ。ほら、あんたが2回目の紅霧異変の後、紅魔館に行った時」









─────────五か月前


紬が幻想郷へ来てから一月が経ち、はじめての異変も無事解決した後のこと。


とある事後処理のため、紅魔館に向かっていた最中だった紬は、運動も兼ねて空を飛ばすに、森の中を歩いていた。


「うんうん、やっばり空気が澄んでるね。霧の湖周辺は気分がいいや」


しばらくはそうして森での散歩を楽しんでいたのだが、霧の湖に差しかかる直前で、あるアクシデントに遭遇してしまった。いや、遭遇(エンカウント)と言うべきか。


「グルルゥ」

「.......わーお。まさかのご対面が今ー?しかも純粋なパワータイプの四足獣型じゃないですかー」


ガサッ、と揺れた木々の間から、数匹の四足獣型の妖怪が現れたのだ。余裕そうにおどけている紬ではあるが、こういう相手には少し弱いのだ。



「えーと、今までの移動では足りないか。あーもう、しばらく流さなきゃ.....な!」

「ガァァルル!!!」

「うぉう、鳴くな!唾飛ぶでしょ!」


先手必勝とばかりに牙を剥き出しに突進してきた一匹を、紬はまず余裕を持って受け流した。


その妖怪は着地に失敗し、足にダメージを負ったが、妖怪からすれば微々たるものだ。


続け様に二匹目、三匹目が突進や爪撃を繰り出してくる。


「っと、はい、やっ、と。ふうー、『──────程度の能力発動』」


少しでも時間を稼ぐために、自らが獲得した能力を使っていく。それは、一見すると何も起きていないように見えた。当然だ。彼女にとっては(・・・・・・・)、これはただの強化する能力に過ぎない。


その十数秒の間にも、既に攻撃を捌いた最初の一匹が背後から攻撃を入れた。


「いっ....!...たく、ない、し。っはーい、あっぱーかっ!」


身体が外部からの衝撃により硬直するが、気を取り直して飛びかかった反動で無防備な妖怪の顎にアッパーを食い込ませ、気絶させた。


残るは同型が二匹。仲間がやられたことで、モデルの動物よりは多少賢い頭で危機感を覚えるが、数の有利で両サイドから攻める。

今度は低所からの噛みつきだ。


「おっと!あぶなっ!」


ダブルダッチの要領で素早く避けた紬は、先程のタックルで十分な準備、蓄積ができたことを認識した。


避けられた二匹はすぐさま方向を変えて噛み付いてくるが、頭を踏んでさらに上へと跳ぶ。



「えいえい、おー高い高い」


「『循環』、蓄積量は足りてる。そろそろ仕舞いだね」


紬の周りで空気が揺れる。衝撃が身体中を循環し、鳴動していく。鼓動に合わせてさらに空気は揺れていく。


「んじゃ、またね」

「グッ......ガルルルルァ!」


妖怪は抵抗を試みたが、空気の振動のせいで上手く体が動かせなかった。


─────そして。


「─────『鬼角流:一角・掌底ver』」


戦闘での衝撃、つまり運動エネルギーを出来る限りに押し付けられた二匹は、為す術なく、その頭を砕かれるのだった。


「っはー!久しぶりに構えたなぁ、鬼角流」


───『鬼角流』。天綺家に伝わる三大武術の一つ。技の主な動きは格闘術、徒手空拳。つまりは素手で行う体術である。掲げる信念は『あらゆるものを捩じ伏せる』、ただその一点のみ。


空高くに居座る神であろうと、昏い深淵に巣食う怪物であろうと、その身一つで叩き潰す。ある時は全てを貫くその拳を。ある時は死地を踏み抜くその足を。流れるような動きで全てを受け止め、自然な動作で万物を循環させ、より効果的に、捩じ伏せる。


究極の護身術。究極の合気道。それが鬼角流である。これも現代武術からすれば規格外なものだが.........他二つもまあ酷いものだ。


一つ言っておくと、彼女はこれで普通(・・)なのだということ。というか、この基礎が出来ないと天綺家では剥がれ者に対抗できないのだ。



「ブランクがあったから一か八かだったけど、まだまだ現役で通るね」


二ー.....引きこもり生活だったせいか、幻想郷来訪まで運動していなかった紬はスッキリしたようで、先程より幾分か足取りが軽い。


やはり、適度な運動は生物には必要なのだ。

そして、鼻歌(もちろん東方)を唄いつつ、紅魔館へと再び歩を進めて行ったのであった。




そして。ここまでの一部始終を目撃していたのが。


「.......え、今のまじ?」

「たぶん、マジじゃないか?」


どろぼ........本を借りに来ていた魔理沙と、魔理沙にに連れてこられた霊夢の二名なのであった。





───────現在



「って感じのことよ」

「あー、あーあー!あったね、うん。いい運動になったよ、あれは」

「いい運動ってあんた....」


なぜ勝手に過去話言われて呆れられなきゃならんのだ。恥ずかしくともなんともないけども。


「私の使う魔術的なのはさ、剥がれ者を研究して作られたものなんだよね。だから、それ以外に作用するようなコードがないんだよ。まあ、生み出した物理現象は切り離せば作用するけど」

「へぇ.....まあ、武術使えるなら美鈴ともやり合えるかもね」

「いや、それはちょっと.......。噂では、地獄らしいじゃん、訓練。ド、Mではないからさ」


あと、霊夢ならわかってくれるだろうけど、修行とか、めんどくさいからやだ。妹ちゃんたちがいればぐーたらしても怒られず、むしろ楽しいんだけどね。そういう系の人はここにはいないし、ね。


─────『ねぇ、聞いた?甘やかして欲しいらしいよ』


「まー、面倒臭いのは同感ね。華扇と同等くらい面倒いわ」

「ね。食べ終わったし、もう帰る?」

「あ......まって、んぐ。買い物したいから」


お金あるじゃん!........いや、生活費まで使えないか。まあ、今日はラノベ買うために多めにお金もってきてるから別にいいか。


「今日は何がいい?」

「んー、洋食がいいから.......オムライスかな」


──────『..........良い味覚、してる、ね』


──────『だね!オムライス好きに悪い人は多分居ないよ!あはは!』


「.......? あれ、なんか言った?」

「いや?お茶飲んでるの見てたでしょ?」

「うん......だよ、ねぇ」


気のせいかな?なんか笑い声が聞こえたような。

まあ、ぜんぜん感情籠ってなかったけど。


──────『..........そっか』


そんなことより、今日はオムライスだ!

ふはははは、我が家のご飯をくらい尽くしてやろうー!



「あ、言っとくけどご飯は二合までね」

「くっ、ふせがれたぁ!」


そんなこんなで、意外と楽しめたお団子屋さんなのでした。

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