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フラグと湧き出るヒロイン

と、言う事でイベントとフラグの宝庫の学園に入学したのが14才になった去年。


そこで知ったのがヒロインがやたらいる事。


今まで見かけてはいたけど…

あれか、一匹見かけたら三十匹はいると思え。みたいな。


転生してきたのか元からいたのかは知らないが前者が多そうな気がする。

なぜならイベントが起きそうなタイミングでその場所にやたら集まっていたりする。



いままで問題を起こしたヒロインはわかっているだけで約20人。


自称いじめられた系、自称天然系、不思議ちゃん、ストーカー…彼女たちは退学とか修道院とか嫁がされたりで消えていった。


…ヒロインって怖いわー。


みんな、バッドエンドにはなりたくないので頑張ってるのだとは思う。

バッドエンドは実家への支援の代わりに商人の元へ嫁ぐやーつ。


やらかしすぎると田舎の修道院へ連れて行かれると言う、ちょっと難易度高めのバッドエンド。



しかし、いくらでも湧いてくるヒロイン。

いつ打ち止めになるやら。





>>>>>>>>>>>>

お昼時間。


中庭でやんごとなき方と一緒にランチ。


手入れがされ輝くような光沢の軽くウェーブした長い銀髪。

宝石のように美しい赤紫色の瞳。

肌は透けるように白く、仕草は洗練されて見ていて飽きない。

同じ制服を着ているはずなのに、全然違う生き物に感じる。



「セリーナさん。どうされましたか?」


ふわりと微笑みながら問うてくる声質も耳に心地いい。


「リタリィナ様とランチできる幸せを噛み締めておりました」


つられて微笑みながら返答したら、おかしな子と笑われた。



…女神か。悶絶させる気か。


CD買ったら握手してもらえるなら、何枚でも買う。

もう、段ボールで買う。

ポスターとか生写真、マジ欲しい。



妄想はさておき。



向かいの席に座る彼女の名はリタリィナ。

国の定めた五爵のうちのトップである公爵。

しかも、王を支える4大公爵が一つフリーフォン家の令嬢。

第二皇子の婚約者で…なんか色々凄すぎて何と言うかもはや尊い。


そんな彼女と何故か一緒にランチしている私。


私は下っ端の男爵なので普通は話すことすら出来ないはすだが、色々あって仲良くしていただいている。



「そういえば、あなたのおかげで毎日随分と過ごしやすくて助かっているわ」


「そうですか。それは良かったです」


そう、私は自称ヒロインたちから彼女を守っている。

先に起こりうるフラグを折りまくってます。

無事に第二皇子と結婚出来る様に。

もちろん他の攻略対象の婚約者にも出来るだけフォローを入れている。



なぜか。



真実の愛という名のただの略奪愛が気に入らないからだ。


彼女たちは幼い頃から頑張ってどこに出しても恥ずかしく無い教育をされているのに、よくわからない輩の陰謀で悪役令嬢と言われる追放や処刑などされるのは許し難い。


何かにつけてケチつけたり、体当たりしてきたり、まち伏せしたり、罪をなすりつけたり…

そのくせ自分は悪くないと男性に縋りつき泣きじゃくる。



まったくもって遺憾である。



なので、イベントで手に入るチートみたいなアイテムの類も先回りして回収した。


魅力や知力アップ、特別イベント確定アイテム、相手のイメージダウンなど。


…すっっごく大変だったので、二度とやりたくはない。


本当、死にかけたし。

なんなん、誘拐とか毒殺とか陰謀、密売、人身売買、汚職…普通の令嬢に阻止出来るか!

ミッションなんちゃらか!


あと、乱闘巻き込まれイベントは本当にわからん。

ス○ブラか。

スマッシュする武器をくれ。

あとゲージ表示も。



しかし、一番厄介なのは聖女として認定されてしまう聖珠だ。


女性にしか使えず、寿命と引き換えに奇跡を起こす。

これを対象に対して使われてしまうと聖女降臨イベントが起こり、攻略対象は誰でも落ちる。


なんならハーレムエンドにもできる。

女版ドンファンか。


しかも、乱数でアイテムが現れる場所が変わるとか鬼畜か?



たまに頭がいいヒロインもどきもいて苦戦したが頑張った甲斐もあり、あと半年でリタリィナ様は卒業して無事に結婚となる。


何と言うか、可愛がってた娘を嫁に出す親の気持ちだ。


リタリィナ様ロスになりそう。

新しく推しを見つけるべきか?


感慨深くなりつい涙目になりながら紅茶をいただく。


リタリィナ様の侍女、サリさんの入れてくれた紅茶は美味しい。


お胸が豊かなサリさん、嫁に来て欲しい。



「ところでセリーナさん」


「はい、どうされましたか?」


突然呼ばれて、妄想の世界からキリッと帰ってくる。

リタリィナ様は少し困った顔をしていた。


「貴方は…聖女なのでしょうか」


「ゴフッ!」


紅茶が鼻に入り咽せ、咳き込んだ。



…うぇえ!?

閲覧、ありがとうございます!

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