皆さまこんにちは、モブです
誤字報告、ありがとうございます!
「わたしは階段からつき落とされたのよ!」
女性特有の甲高い声が聞こえる。
…またか。
うんざりしながら振り返ると、淡いピンクの髪の子が衛兵に連れて行かれるのが見えた。
…今年に入って4人目だったかな。
そんな事を考えながら廊下を歩く。
ふと、中庭をみたらチラチラ様子を窺いながらベンチでパンを撒いて小鳥?を集めようとしているオレンジの髪の子がいた。
廊下にハンカチをワザと落としてソワソワしている水色の髪の子もいた。
…まだまだいそうだなぁ。
ため息をした後、空を仰いだ。
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ここはレヴォーグ王国。
剣と魔法と時々魔物が出てくるファンタジーな乙女ゲームの世界。
ゲームの世界とわかったのは、5才の時に急に高熱が出て走馬灯の様に前世の記憶が蘇ったから。
初めは混乱した。
三日三晩の高熱が引いた後、中世っぽい部屋にいる事に気がついた。
まさか噂に聞くゲーム転生した系かもしれないと思い始め、わくわくしながら調べていくうちに生前プレイした「目覚めた聖女は花園の中」と言う乙女ゲームだと判明した。
かなりがっかりした。
…せっかく転生したならモンスターモンスターとか戦国軍師になろうシリーズとか、そういう世界で無双状態がよかったなぁ。
モンスター倒しながらのスローライフとか。
諸葛孔明の弟子になったりとか。
愚痴を言ってみても、なったものは仕方がない。
この世界の元になっているゲームについてだが
<目覚めた聖女は花園の中>
このゲームのヒロインは元平民の男爵。
アバターは少しだけカスタマイズ出来て、選べる髪色はピンク系三色とオレンジ、黄色、水色の六色。
…なんでピンク系が三色もあるんだろう。
製作陣のこだわりかなぁ。
髪色で攻略しやすい対象や上がりやすいパラメータが異なる。
確か通常攻略対象は第二皇子、宰相の息子、騎士見習い、魔法省員、先生、伯爵の息子と隠しキャラで隣国の偉い人だったかな。
みんな婚約者や恋人がいるのに何故か簡単にヒロインになびくからぬるゲーかと思いきや、高難易度のエンディングがいくつも用意されていて苦戦した事を覚えてる。
ちなみに自分、モブです。
名前はセリーナ・タ・リンリ。
たくさんある男爵家の一つ。
髪は赤で肩甲骨より下ぐらいでちょいウェーブ。
瞳は茶色で垂れても吊り上がってもない。
中肉中背で胸も普通。
…胸の普通ってなんだ?どのぐらいが普通なんだろう??
まぁ、いいや。
とにかく、何のゲームかが判明した段階で思い出せる限り色々手帳に書き出した。
我が手帳にぬかりなし!
…たぶん。
閲覧ありがとうございます!