動き
藍
バルダー帝国 皇帝ヴィヌマース
ウルラン王国 国王オウラ
べレジ=プルト リバイニア連邦 連邦元首兼プルト公ショニョン
ディアルア王国 国王イプルト
第四次フルカ王国 国王リギオ
第三次オモロー王国 国王オウィファ
オウスア共和国 共和国大統領ヅ―ディーン
ディアルア王国 国王イプルト
アハング共和国 共和国大統領ワット
「これより会議を始めます」
議長であるウルラン王国 国王オウラがそう宣言すると、各国から様々な声が上がった。
だが、それらの殆どは隣に座る者との会話であり、会議の進行を妨げるようなものではない。
そんな光景を眺めながら、オウスア共和国の大統領、ヅ―ディーンは小さくため息を吐いた。
(この場にいる誰もが、自分の国の利益しか考えていない……)
この場には、世界を代表する大国の代表が集まっている。
しかし、どの国の代表も自国の利益を優先するばかりで、他国の事など眼中にない。
バルダー帝国は世界最大の領土、人口、軍を持つ国ではあるが非常に平和主義だ
。
その為、自国で戦争が起こる事を良しとせず、他国へ攻め入る事はない。
また、資源や土地の問題もある為、他国を攻め滅ぼす事もしない。
そんな国だからか、他の国が戦争を起こすたびに多くの傭兵を派遣している。
その報酬として莫大な金額を得ているという情報もあった。
実際、彼の国に戦争を仕掛けて返り討ちにあった国は数多く存在する。
故に、彼に敵対する事は自殺行為と言えるだろう。
次に、べレジ=プルトは農業を中心とした大国だ。
食料自給率は高く、国民の平均寿命も高い。
また、国民性は非常に穏やかで争いを好む者は少ない。
ただし、それはあくまでも一般的な話であって、野心のある者は少なからず存在している。
特に、農業を営む者達の中には、もっと豊かな生活を求めて他国に攻め入りたいと考えている者もいるようだ。
しかし、それを実行に移す程の力を持っている国ではない。
もし、そんな事をすれば周辺諸国から一斉に攻撃を受けてしまうからだ。
最後に、ディアルア王国の国王イプルトだが、彼は少し変わっている。
一見すると普通の人間に見えるのだが、時折見せる鋭い視線が気になるのだ。
まるで何かを見透かすような瞳に見つめられれば、どんな人間でも緊張してしまうだろう。
事実、彼からは底知れぬ恐怖を感じる事がある。
彼の前では隠し事が出来ないのではないか? そんな不安すら抱いてしまいそうになる程だった。
(まぁ、彼が何を考えていようと関係ないか……)
例え何を企んでいても、自分達には関係がない。
なぜなら、この会議が終わった後、すぐに戦争が始まるのだから――
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ バルダー帝国とフルカ王国の戦いは、バルダー帝国の勝利で終わった。
フルカ王国軍は撤退を余儀なくされ、国境付近には無数の死体が転がっている。
そんな戦場となった場所そこには一つの大きな穴があり、その中には大量の死体がある。
死体の多くはフルカ王国の兵士のものだが、中にはバルダー帝国の兵士の死体も混じっていた。
おそらく、男はフルカ王国軍の兵士が撤退する際に仕掛けた罠にかかったのだろう。
ただ、男はその事に何も感じてはいないようで、淡々と作業を始めた。
まず最初にやった事は穴を掘り進める事だ。
男の身長よりも深く掘り進めてから、そこに死体を放り込んでいく。
それを何度も繰り返した後、ようやく全ての死体を埋め終えた。
「これでよし……っと」
最後の一人を埋めると、男は小さく息を吐いてから空を見上げた。
すでに日は沈みかけており、周囲は薄暗くなり始めている。
しかし、男の顔には疲労の色はなく、むしろ爽やかな笑みを浮かべていた。
何故なら、今日は彼にとって特別な一日だからだ。
「やっと見つけたぜ……俺の妹よ」
この瞬間、男は自分の妹を探す為に旅立った。
そして、今……ついに妹の手がかりを手に入れたのだ。
男は嬉しさを抑えきれずにいた。
もしも、この時、彼が冷静であったならば、すぐに違和感に気付いた事だろう。
なぜ、自分が埋めたはずの死体が起き上がっていないのか……と。
しかし、この時の彼は喜びで頭がいっぱいになっていた。
その為、気付く事が出来なかったのだ。
死体が全て起き上がっているという異常事態を――
◆アハング共和国 首都ヒーノ大統領ワット=シーロン
「どうなっているんだ!?」
大統領は執務室で大声を上げた。
彼の前には数十枚の書類が置かれている。
その内容は全て、バルダー帝国の侵攻作戦について書かれていた。
「どうして、こんなにも被害が出ている?」
報告書には、今回の戦争における被害者の名前が記載されていた。しかし、そのほとんどが自国の兵士なのだ。
本来であれば、他国の兵士の名前が記載されているはずだ。
それなのに、なぜか自国の兵士達だけが書かれている。
その事実が、彼の心を激しく動揺させていた。
「どういう事なんだ? 我が国の兵は優秀だと聞いている。それが負けるはずがないじゃないか!」
大統領は怒りに任せて机を叩きつけた。
しかし、いくら怒っても状況は変わらない。
そもそも、彼の国には優秀な兵など存在しないのだ。
もし本当に優秀な兵がいれば、バルダー帝国との戦いで勝っていただろう。
だが、実際には敗北している。
つまり、バルダー帝国との戦いに負けた原因は自国にあるという事になる。
その事を理解した時、彼は激しい自己嫌悪に陥った。
彼は今まで自分の事を優れた人間だと考えてきた。
しかし、実際は自分の無能さを自覚する事すらできない愚か者だった。
そんな自分を責めるように、彼は拳を強く握りしめる。
「このままでは国が滅びてしまうぞ……」
今のアハング共和国の状況は非常に悪いと言える。
食料の生産能力が低下しているからだ。
しかも、その原因が隣国であるバルダー帝国との貿易が原因となっている。
アハング共和国は農業を中心とした国だ。
農作物を多く輸出して外貨を獲得しているが、最近はバルダー帝国からの食糧輸入量が増えていた。
その結果、国内の食料生産が追いつかなくなりつつあるのだ。
このままでは餓死者が出かねない状態まで追い詰められてしまった。
この危機的状況を打破する為に必要なのは、軍事力の強化だ。
バルダー帝国と戦うには圧倒的な戦力が必要だ。
だが、そんな兵力を用意する方法はない。
あるとすれば、それは奴隷を使う事だろう。
奴隷を使えば、大量の労働力を確保する事が出来る。
ただし、問題もある。
奴隷とは人間ではない。
道具として扱わなければならない存在だ。
そんな者達に人権を与えれば、いずれ反乱が起きるかもしれない。
そうなったら国は滅ぶだろう。
しかし、他に方法が思いつかない以上、実行に移すしかない。
幸いにも、アハング共和国には奴隷商が多く存在する。
彼等に協力を仰げば、きっと力になってくれるだろう。
「問題は誰を派遣するかだが……」
協力を要請するとしたら、信頼出来る人物でなければならない。
それも絶対に裏切らない人物である必要がある。
「ふむ……」
そこで彼は一人の男の顔を思い浮かべた。
彼なら適任だろう。
それに、この国の事情を知っているのは、あの男しかいないのだから――◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ フルカ王国から撤退する途中、僕は一つの疑問を抱いた。
バルダー帝国 帝都レイドラン
帝城
「陛下、ご報告したい事がございます」
「何だ?」
僕の言葉に、皇帝ヴィヌマースは不機嫌そうに眉をひそめた。
恐らく、僕の態度に苛立っているのだろう。
しかし、それでも一応話は聞いてもらえるようだ。
「先日、我が軍の兵士が国境付近で不審な男を発見しました」
「ほう……それで、その男はどうなったんだ?」
「はい、その男は我々の姿を目にした途端に逃げ出そうとしました。ですが、すぐに取り押さえて尋問を行いました」
「なるほど……で、その男は何か情報を話したか?」
「いえ、何も話しませんでした。ただ、ずっと黙秘を続けていました」
「…………」
「私はその男が怪しいと思い、拷問を行うように命令を出しました」
「拷問だと? 何を考えているのだ!」
「申し訳ありません。しかし、その男は最後まで口を割りませんでした。おそらく、何らかの方法で痛みを感じないようにしていたと思われます」
「……まさか!?」
僕の話を聞いて、皇帝は何やら心当たりがあるようだった。
「陛下、どうかされたのですか?」
「ああ……実は最近、似たような事があったんだ。その男の身元を調べさせたところ、驚くべき事が分かった」
「一体、どのような事でしょうか?」
「実は少し前に、私の兄上が行方不明になっているらしい」
「えっ?」
予想もしていなかった言葉に、僕は思わず耳を疑ってしまった。
何故なら、目の前にいる人物は間違いなくヴィヌマース本人だ。
その彼が、実の兄が行方知れずになったというのだろうか?
「まあ、驚くのも無理はないだろう。私だって、最初は信じられなかったのだからな。しかし、これは紛れもない事実なのだ。しかも、その男は兄の顔を知っていた。つまり、その男は兄の行方を知っている可能性が高いという事になる」
「確かに、そういう事になるかもしれませんね……」
「そうだ。だから、すぐにでも兄を見つけ出して連れてこい。たの!」
「は、はい!」
皇帝に脅され、僕は慌ててその場を離れた。
それから、僕は自分の部隊に所属する兵士に指示を出した。
「皆、よく聞いてくれ! 今から言う場所に向かってほしい。その場所に、行方不明になった兵士がいるはずだ」
兵士はすぐに準備を整えてくれた。
そして、指定された場所で例の男を発見する。
「見つけたぞ!」
「くっ……」
男は逃げようとしたが、既に包囲されている事に気付いて諦めたようだ。
「お前が我々の仲間を誘拐したのか?」
「違う……」
「嘘をつくな。貴様が我が国の兵士を攫った事は分かっているのだ。さぁ、早く仲間の居場所を教えろ。素直に従わないのであれば、痛めつけることになるぞ」
「ち、違うと言っているだろ! 俺はそんな奴は知らない。本当に知らないんだよぉー!!」
「黙れ!」
「ぐあっ……」
僕は男を痛めつけた。
すると、しばらくして男は白状する。
「わ、分かったよ。話すから許してくれ」
「いいだろう。話せ」
「俺がやったんだ。あいつらに頼まれて仕方なくやったんだ」
「頼まれた?」
「ああ、そうだよ。あの連中に逆らうと殺されかねないからな。それに、報酬も貰えるって言われたし……」
「誰に頼んだんだ?」
「それは言えない。言えば殺されるかもしれないし、それに金が貰えないかもしれないしな」
「そうか、ならば死ね」
「な、何でだよ!? ちゃんと話しただろ!?」
「残念だが、君を生かすつもりはない」
「そんな……待ってくれ、頼む。助けてくれぇ―!!」
こうして、男は死んだ。
その後、部下に命じて死体を処理させる。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 数日後、僕は再び皇帝の元へ呼び出された。
そこで、予想外の事を聞かされる。
なんと、ヴィヌマースの偽物が現れたというのだ。
しかも、その男は僕の部下を使って、兄の捜索を行っていたらしい。
どうやら、その事を皇帝は怒っているようだった。
「まったく、余計な手間をかけさせおって……」
「申し訳ありません」
「まあいい。ところで、お前の所にも偽物が現れているのだろう?」
「はい。私の方にも現れました」
「やはりそうか。それで、その男はどんな姿をしているんだ?」
「それが、見た目が陛下そっくりなのです」
「何だと!?」
皇帝は驚いた表情を浮かべていた。
どうやら、僕と同じように驚いているようだ。
「どういう意味だ?」
「そのままの意味です。陛下の顔を知っている者が見れば、間違いなく陛下だと判断するでしょう」
「ふむ……しかし、どうしてそのような事が起こったんだろうな?」
「分かりません。ただ、考えられるとすれば……」
「ん? 何かあるのか?」
「なるほど……その可能性は否定できないな」
「取り押さえたため、この事件はひと段落つきました」
「そうか、ご苦労であった」
「ありがとうございます。それでは、私はこれで失礼します」
「ああ、もう下がって良いぞ」
僕は一礼して、その場を後にした。
そして、城から出た後、自分の家に戻る。
それから、ベッドの上に横になって考えた。
(まさか、こんな事態になるとは思わなかった)
僕の予想では、今回の事件は皇帝の仕業だと思っていたからだ。
しかし、実際は違った。
どうやら、この事件には黒幕がいるようだ。
「これは少し厄介だな……」
ただの事件ではないという事は、既に分かっている。
「一週間後はウルラン王国に出張か・・」
アルドラは溜息をつくと、目を閉じた。
「やあ、元気かい?」
「久しぶりだね。調子はどうかな?」
「はい、とても順調ですよ」
「それは良かった。でも、油断は禁物だよ。君はまだ若いんだからね」
「はい、分かっています」
「うん、いい返事だ。これからも頑張ってね」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ、また来るよ」
「えっ、今来たばかりじゃないですか!」
「あっはっは!冗談だよ。本気にしないでくれ」
「もう、酷いなぁ」
「ははは、すまなかった。次はもっと早くに来るようにするさ」
「絶対だからね」
「分かっているって。じゃあ、またね」
「うん、バイバーイ」
「ふう、行っちゃったか……」
ウルラン王国 王都ウッテンドロン
ウルラン王国は大陸南西部に位置するヴァイラ島を中心にその島々と大陸の一部を焦土とした島国だ。島国とはいっても国土は広く、人口、軍事力も世界有数の大国である。
王都ウッテンドロンはヴァイラ島の北部にあるウルラン王国の首都であり、人口約20万人の大都市だ。
この街は海に面しており、港には多くの船が出入りしている。
街の中心には大きな時計台があり、そこから放射状に道が伸びていて、碁盤目のように区画されている。
街のいたるところに水路が流れており、橋も多く架けられている。
この国の主な産業は漁業と農業で、特に水産資源に恵まれている。
主食となる米の生産が盛んで、他国へ輸出するほどの人気を誇っている。
他には果物や野菜の栽培も盛んで、国内の食料事情を支えている。
近年では海洋貿易にも力を入れており、南の国々との交易が盛んに行われている。
軍事面では陸海軍双方とも精強である
アルドラはウルラン王の居宮ジャラバナ宮殿に向かっていた。
宮殿に到着すると、案内役の文官に連れられて謁見の間へと向かう。
そこでしばらく待っていると、扉が開き中へと通された。
中には玉座に腰かけるウルラン王オウラがいて、その隣には王妃のアリサがいた。
二人は入ってきた僕を見ると立ち上がり挨拶をする。
「ようこそお越しくださいました。アルドラ殿」
「歓迎致しますわ」
「こちらこそ、お招きいただきありがとうございます」
「ささ、どうぞお座り下さい」
僕は二人に促されて席に着いた。
それから、すぐに料理が運ばれてくる。
食事をしながら会話を楽しんだ。
「ところで、今日は何用でしょうか?」
「実は、陛下に相談したいことがありまして……」
「ほう、どのような内容でしょう?」
「実は、我が国の国境付近で不審な動きをしている集団がいるのです」
「それは穏やかではありませんね……」
「はい。どうも、我が領土に侵入しようとしているようなのです」
「なるほど……」
「陛下のお力添えを頂ければと思い、参りました」
「もちろんですとも。協力させていただきます」
「ありがとうございます。助かります」
「いえ、困っている人を助けるのは当然の事です。気になさらないで下さい」
「そう言ってもらえるとありがたいです」
「それで、侵入してくるというのはどこの国なんですか?」
「それが、まだ分かっていないんです……」
「えっ、分からないのですか?それはどういう事なのでしょうか?」
「はい。実は先程申し上げた通り、不明勢力がいるという情報があるだけでして……まだ、はっきりしていないのです」
「そうなのですね。それでは、いつ頃からそのような情報が?」
「一ヶ月ほど前からです」
「なっ、そんなに最近だったのですか!?」
「はい。すみません」
「いえ、謝る必要はありませんよ。それよりも、なぜ今まで私達に教えてくれなかったのですか?」
「それは、我が国の問題なのです。他国に迷惑をかける訳にはいかないと思っておりましたので……」「そういう事でしたか。しかし、今は非常事態なのですから遠慮せずに頼って下さって構わなかったんですよ」
「本当に感謝しております」
「まあ、今後は気をつけて下さいね」
「はい、肝に銘じておきます」
「話は変わりますけど、アルドラさんはどうされるつもりなんですか?」
「私は、その者達を捕らえて詳しい話を聞き出すつもりです」
「そうですか。しかし、危険ではないですか?」
「心配は無用ですよ。これでも腕には自信があるので」
「そうかもしれませんが、それでも万が一という事もありますし……」
「大丈夫ですよ。何かあれば、すぐに逃げ出せますから」
「うーん、そう言われてもなぁ……」
「では、こうしましょう。私が怪しいと思う者を数人選抜し、それを陛下の護衛として同行させるという形にすれば良いのではないですか?」
「ああ、確かにそれなら問題無いな」
「はい。そして、もしもの時にはすぐに撤退出来るように準備しておいて貰います」
「そうだな。分かった。護衛を付ける事にしよう」
「では、これで決まりということでよろしいですか?」
「はい。お願いします」
「承知しました」
「よし、それじゃあ後は任せたぞ」
「はっ!」
「アルドラ殿も、よろしく頼みます」
「はい。お任せ下さい」
その後、少し雑談をして食事を済ませると、ウルラン王と王妃は退室していった。
残された僕達は後片付けを始めた。
僕は、その途中でメイドを呼び止めて話しかけた。
「ちょっといいかな?」
「はい、何でしょう?」
「君は今、暇かい?」
「はい。特に何も仕事は無いので、時間が空いておりますが……」
「そうか。ならば、僕達の世話係を任せる事にする」
「えっ、私がですか!?」
「そうだ。これから君には僕達と一緒に行動してもらう」
「どうして、私なんかが……」
「僕は、君を気に入ったんだ。だから一緒に来て欲しい」
「で、ですが、私は……」
「別に、ずっと側にいろと言っている訳ではない。ただ、しばらくの間は僕の傍についていてくれないだろうか?」
「わ、分かりました。ご命令とあらば従わせて頂きます」
「うん、頼んだよ。じゃとりあず、休暇のためにコルモ島に行こうか」
「えっ、コルモ島に行くんですか?」
「そうだよ。コルモ島は、とても綺麗なところなんだ」
「そ、そうなんですね……」
「とりあえず、荷物をまとめてきてね」
「はい、かしこまりました」
彼女は走って部屋を出ていった。
コルモ島は大陸の北部に位置している島で、約3000年前に、ウルラン王国人が入植し、その後さまざまな国々の支配下におかれ1000前にウルラン王国に併合された土地で、ウルラン王国本土と気候が逆で、美しい雪やオーロラも見ることができる観光地として有名である。
僕達がコルモ島の王室別宮殿に着く頃にはすっかり日が暮れていた。
僕は、馬車の中で彼女を膝の上に乗せながら頭を撫でたり、耳を触ったりしていた。
「あの、どうかされましたか?」
「いや、なんでもないよ。気にしないで」
「はい……」
それからしばらくすると、宮殿に到着した。
まずは、宿へと向かい荷物を預けると、すぐに街へ繰り出した。
「さあ、どこへ行きたい?」
「そうですね……あっ、あれを見てみたいです」
彼女が指差したのは、ガラス細工の店だった。
中に入ると、様々な色の硝子で作られた小物が並べられている。
「わぁ、綺麗ですね……」
「そうだね。どれが良いの?」
「えっと……これが欲しいです」
「おっ、良いのを見つけたね。じゃあ、これをプレゼントするよ」
コルモは大きさの割に人口が多く、食料、鉱物を自給できる力強い良い地域のようだ。
そのため、多くの産業が発達しており、工芸品もその一つだ。
この国では、職人が一つ一つ手作りで作っているため、同じ形の物は存在しないらしい。
ちなみに、この島には火山が二つあるらしく、一つは温泉として利用されもう一つは石炭として利用されているようだ。
「ありがとうございます!大切にします」
彼女は嬉しそうに袋に入った贈り物を眺めていた。
「さて、次はどこに行きたい?言ってみて」
「うーん、どこでも良いですよ」
「じゃあ、服屋に行ってみようか?服を見たいんでしょ?」
「あ、はい。でも本当に何でも良いんですよ?」
「まあまあ、遠慮せずに付いておいで」
「はい」
そして、僕達は服屋に着いた。
ここは、女性用の服だけでなく男性用もあるので、彼女を連れて入るには丁度良い場所だろう。
「いらっしゃいませー!」
店員さんの声に迎えられて店内に入る。
僕は、彼女に似合いそうな服を選んでいた。
しかし、あまり好みが無いのか、どれもこれも同じような感じに見える。
そこで、僕は自分のセンスに任せて適当に見繕う事にした。
楽しかったー アルドラは国王夫妻とのコルモ旅行からレイドランへの帰途に就いた
。
道中、特に大きな問題も無く、無事に帰還する事ができた。
帝城に帰ると、早速アルドラは皇帝ヴィヌマースに報告をした。
「陛下、只今戻りました」
「おお、アルドラか。ご苦労であったな」
「はっ。それで、例の件なのですが……」
「ああ、どうなった?」
「はい。それが……」
僕は、事細かにコルモ島での出来事を報告した。
「ふむ……。その女は何者なのだ?」
「はい。実は……」
僕は、メイドの身元調査をしたところ、彼女の名前はロナ・ルーラという事が分かった。
そして、彼女がウルラン王国人だという事も判明したのだ。
「ほう。ウルラン王国の人間なのか。なるほどな」
「はい。おそらく、私達の知らないところで暗躍していると思われます」
「うむ。引き続き監視を怠るなよ」
「はっ」
アルドラは皇帝ヴィヌマースのもとを後にした
オスウア共和国 大陸南東部のガムルダ地方全域とその近隣諸島を領有する国家である。この国は一言でいえば反君主制、共和主義原理国家の大国である。
この国の国家元首は、大統領であり、その下に行政長官と軍務長官がいる。
大統領は、世襲制ではなく選挙によって選ばれることになっている。
また、首都であるウンヴェンには、共和国軍の基地が存在する。
首都ウンヴェン
オウスア共和国 共和国大統領ヅ―ディーン
は執務室で考え事をしていた。
(やはり、帝国が動き出したか)
帝国の軍事力が急激に増強されていることは知っていた。
しかし、ここまで急激な強化をしてくるとは思っていなかった。
だが、これはチャンスでもある。
こちらが動く事で、向こうも動かざるを得なくなるはずだ。まずは、情報収集が必要だ。
そのためには、情報機関の強化が必須となる。
そこで、彼は情報局の設立準備を開始した。
情報局
局長:アーデリア・グリューネ
副局長:アーシュライト・フォン・マゼンドル
情報局員数:30名
「さて、どうしたものかな……」
私は、情報局に新設される局の責任者に任命された。
つまり、私が初の実働部隊を指揮することになるわけだ。
「失礼します!」
そんなことを考えていると、一人の女性が部屋に入ってきた。
「お呼びでしょうか?」
「ああ、君がアーデリアだね?」
「はい、そうです」
「君の事は聞いているよ。優秀だと評判だからね」
「ありがとうございます」
「さて、君は情報局がどのような組織になるか知っているかい?」
「いえ、存じ上げません」
「そうだろう。まあ、簡単に言えばスパイ活動をする部署だ」
「スパイですか……それは大変ですね」
「まあね。でも、やること自体はそれほど難しいことじゃないんだ」
「そうなんですか?」
「うん。基本的に相手から情報を盗んでくるだけだ」
「それなら簡単そうですね」
「まあね。でも、情報というのは重要だよ」
「はあ……」
「まあ、詳しい話は追々話すとして……まずは、この仕事に慣れてもらおうかな」
「わかりました」
「じゃあ、早速仕事をしてもらおうか。」
「はい」
次にヅ―ディーンは共和国軍の状況を確認した
。
現在、ガムルダ地方では大規模な戦争が起きていない。
しかし、いつ起きるかも分からないため警戒が必要だろう。
そこで、軍の一部をウンヴェンからガムルダ地方に移動させることにした。
また、帝国軍の動向についても注意する必要がある。
そこで、諜報員を増やして動向を探るようにした。
そして、帝国軍の戦力分析と共和国軍の動員兵力の調査を行うように命じた。
その結果をもとに、今後の作戦立案をするのである。
「ふう……」
ヅ―ディーンは一息ついて椅子にもたれかかった。
「疲れたな……」
すると、ドアがノックされた。
「入れ」
「失礼します」
「何の用だ?」
「はい。実は、例の件について報告がありまして」
「例の件?なんだ?」
「はい。実は……」
彼女は、例の女が帝国で暗躍していることを伝えた。
「ふむ……。それで?」
「はい。その女が帝国軍の施設に出入りしている形跡が見られます」
「なるほどな……。分かった。引き続き調査を頼むぞ」
「はい。かしこまりました」
「うむ」
こうして、報告は終了した。
その後、ヅ―ディーンは部下の人事異動を行った。
情報局の人員を増員し、情報の収集能力を強化するためである。
これにより、情報収集能力は飛躍的に向上することになる。
数日後、彼は帝国軍の軍事力を把握したうえで、次の行動に移った。
彼の構想では、この国が保有する全艦隊と陸軍部隊をガムルダ地方に集結させ、一気に侵攻するというものだ。
帝国の首都である帝都レイドランは、強力な防衛拠点と山脈に囲まれている。
そのため、帝国本土への侵攻は難しいと言わざるを得ない。
だが、ウンヴェンを制圧すれば帝国内での活動が容易になり、情報収集も容易になる。
また、ウンヴェンは大陸南西部にある帝国最大の港を有しているため、物資の供給も容易になる。
そのため、ガムルダ地方を制圧した後、速やかに首都攻略を目指すという計画である。
彼はこの計画を実行に移すべく準備を開始した。
帝国暦1276年1月3日
ウンヴェン共和国 軍務長官:ゲオルグ・バッツドルフ
「閣下!大変です!」
「ん?どうしたというのだ?」
「はい。実は……」
私は、軍務長官である彼に説明をした。
「なに!?帝国のスパイだと!?」
「はい。その女が帝国軍の基地に出入りしているところを目撃されています」
「本当なのか?」
「はい」
「そうか……。分かった。引き続き監視を続けろ」
「了解しました」
私は、引き続き監視を続けるように命じられました。
それからというもの、私は常に彼女の監視を行いました。しかし、一向に尻尾を出す気配がありません。
そんなある日、私はあることを思いつきました。
そう、彼女を直接尋問してしまえばいいのです。
そうと決まれば、さっそく準備に取り掛かりましょう。
数日後、私は彼女を呼び出して、尋問を行うことにしました。
「失礼します」
「ああ、来たか」
「はい」
「さて、君にはいくつか質問がある」
「なんでしょうか?」
「まず、君はなぜ帝国軍に潜入をしている?」
「それは、帝国が私たちの国を狙っているからです。そのため、私たちは帝国に潜り込んで、敵の戦力を分析しているのです」
「なるほど……」
「あなたも、帝国の内情を知っているはずです」
「いや、知らないね」
「嘘をつくんじゃないわよ!」
突然、彼女が豹変した。
「あんたが帝国軍に潜入しているのは分かってるのよ!」
「ほう……」
どうやら、演技だったようだ。なかなかの演技力だ。
「なるほど。どうやら、何か知っているらしいな」
「ええ、知っているとも!」
「そうか……。ならば、聞かせてもらおうか」
「嫌よ」
「そうか……。残念だな……」
「ふん!」
「さて、どうしようか……」
「なんですって?」
「お前を殺すしかないな……」
「できるものならやってみなさいよ」
「その言葉……後悔するなよ?」
「それは、こっちのセリフよ」
「では、覚悟しろ」
「望むところだ」
彼女は武器を取り出した。
「なんだ?銃を使うのか?」
「悪いかい?」
「いや、悪くはないな」
「へぇ~、余裕ぶっているけど大丈夫かな?」
「ふ……。問題ないな」
バルダー帝国とオウスア共和国との間にはコア公国という緩衝国家が存在し、直接的に戦闘は怒らないが、外交、軍事面で対立している
。
特に、外交面では両国間で戦争を起こさないために、いくつかの条約を結んでいる。
そのうちの1つに、『コア公国は、オウスア共和国への武力行使をしない』というものである。
これは、コア公国にとって大きな痛手となるものであった。
なぜならば、もしオウスア共和国がコア公国に対して侵略行為を行えば、コア公国は他国との戦争行為を行うことができず、必然的に帝国との開戦を防ぐことができなくなってしまうからである。
それどころか、帝国との軍事同盟によって、逆に攻め込まれる可能性もあるのだ。
そのため、この条約は絶対に破ることができないものである。
彼女は、そのことを理解したうえで、私を殺そうとしていたのである。
「じゃあ、いくよ!」
彼女はを構えた。
「ふ……。甘いな」
私は、剣を抜いて彼女の攻撃を防いだ。
キンッ!
「なに!?」
彼女は驚いた表情を見せた。
「なんだ?もう終わりか?」
「くそぉー!!」
彼女は何度も攻撃を仕掛けてきた。
「はぁはぁ……。どうなってんのよ!?」
「ふ……。そんなものか」
「うるさい!死ねぇ―――!!!」
ドカン!!
「ぐはっ!」
べレジ=プルト=リバイニア連邦
この国は大陸南部のアルムーナ地方のべレジ連邦と大陸中部の海域に存在するべレジ連邦プルト王国の二国によって構成された連邦国家だ。連邦は同じリバイニア文化を共有することから連合国家を形成るにいった。
べレジ=プルト=リバイニア連邦 連邦首都オレング 連邦国家元首兼プルト王ショニョン:エヴァン・マイヤ
「閣下!」
「おお、首相か。何用かね?」
「そうかそうか。それで?」
「はい。ですが、その後の動きがないのです」
「どういうことだ?」
「はい。実は、ウンヴェン共和国がフルカ王国の国境を越えて、スンコ地方を制圧したという情報が入っています」
「なに!?それは本当なのか?」
「はい。間違いありません」
「そうか……」
「いかがいたしましょうか?」
「うむ……。そうだな……」
我が国としては、すぐにでもウンヴェン共和国に対抗したいのだが、我が軍は今、再編中なのだ。
そのため、簡単に動くことができないでいた。
しかし、ウンヴェン共和国軍がここまで早く侵攻してくるとは予想外であった。
だが、こちらとしても何もせずに手をこまねいているわけにもいかない。
「よし!我々も動き出すぞ!」
「了解しました」
「全軍に通達せよ!」
「ハッ!」
「ウンヴェン共和国の奴らに目にものを見せてやるんだ!!」
「ハッ!」
「よし、これでいいだろう……」
私は、彼女の尋問を終えて、彼女を拘束した。
「くそぉ!」
彼女は悔しそうな顔を浮かべていた。「さて、これからどうするか……」
「ふん!殺せば?」
「そうか……。それも悪くないかもしれないな」
「やれるもんならやってみろ!」
彼女は強気な態度を取っていた。
どうやら、本当に殺されても構わないと思っているらしい。
バルダー帝国 副都アルカンブラ 帝都レイドランの北東部に隣接するこの年は有事の際レイドランの首都機能を移転することができるように計画された都市
であり、現在はバルダー帝国の軍事拠点として機能していた。皇帝ヴィヌマースもこの都市の出身だ
。
そのアルカンブラにあるバルダー帝国帝国軍総監室にて、一人の男が報告を行っていた。
「……ということになります」
「そうか……」
「はい」
「分かった。下がってよい」
「はい」
彼は一礼すると部屋から出て行った。
帝国軍総監 イルカ―ナ 彼が世界最大のバルダー帝国陸海軍の武官の頂点に立つ男だ。
彼の年齢は5000歳半ばであるが、見た目は20代の青年に見えるほど若々しい容姿をしていた。
彼は、帝国軍内で『氷の貴公子』と呼ばれ、その実力から彼に勝てる者はいないとまで言われている。
そして、帝国軍の誰もが彼のことを尊敬していた。
その証拠に、この部屋にいるのは彼の部下である軍人だけだ。
他の文官たちは別の部屋にいる。
つまり、この部屋にいる人間は、彼を除いて誰もいないのだ。
彼は、一人になるとため息を吐いた。
「ふぅ~。まったく、面倒なことになってきましたね……」
彼は、独り言のようにつぶやいた。
「やはり、あの国の連中に頼むしかないですね」
オスウア共和国と連邦との戦争がせっまていた。オスウア共和国とべレジ=プルト=リバイニア連邦は長年対立しており、今回の戦争もその対立の延長線上に過ぎない。
そのため、両国は本気で戦争をするわけではない。
それは、両国とも理解しているはずだ。
しかし、もし万が一戦争になれば、我が国は帝国との同盟によって、参戦することになるだろう。帝国が同盟国を見捨てることなどありえないからだ。
しかし、もし仮に同盟を破って参戦するとなると、我が国も帝国に宣戦布告しなければならない。
その場合、我が国は大陸全土の国々を相手に戦わなければならないのだ。そんなことはとてもじゃないができない。だから、この国には頑張ってほしいものだ。
「皇帝陛下は戦争を望まれていない。どうにかせて止めねば・・・」帝国軍総監 イルカ―ナはおもった
。
「お疲れ様です」
私が部屋の外に出ると、女性が話しかけてきた。
「ああ、ありがとう。」
私は彼女に尋ねた。「それで、何か情報は得られたのか?」
「はい。それが……」
彼女は言いよどんでいた。
「どうした?」
アハング共和国領内のザルマンディニア地方で、共産主義革命が勃発、同地でウィリュマニャン人民共和国の建国を宣言し、アハング共和国内で政府軍と熾烈な戦闘が繰り広げられています。「なに!?」
私は驚いた。
まさか、こんなことになるとは……。
「それで、戦況はどうなっている?」
「はい。現在、反乱軍側の制圧に共和国政府軍が成功しつつあると」
「そうか……わかった。下がってくれ」
「はい」
そこには、私の補佐官がいる。
「状況は?」
「はい。現在のところ、反乱軍は各地で敗走を続けている模様です」
「そうか……」
「はい」
「引き続き情報収集を行ってくれ」
「わかりました」
「頼んだぞ」
「はい」
「よし、これでいいだろう……」
「閣下!」
「なんだ?まだいたのか……」
「はい。実は……」
「なに!?それは本当なのか!?」
「はい。間違いありません」
バルダー帝国 帝都レイドラン 帝城 近衛騎士団御文庫
帝城の地下にある近衛騎士団御文庫では皇帝ヴィヌマースも参加した緊急御前会議が開かれ、今回の反乱について話し合われていた。
「しかし、どうして今頃……」
「確かに、おかしいですね」
「うむ。これは、裏で何者かが糸を引いているかもしれんな……」
「えぇー!そうなんですか?」
「うむ。可能性はあるだろう」
「でも、一体誰が?」
「それはわからんが、いずれわかるだろう」
「そうですか……」
「それよりも今は、今後の対応を考えるべきだな」
「そうですね……」
「まず、ウンヴェン共和国の方はどうしますか?」
「そうだな……。とりあえず、様子を見よう」
「はっ!」
「それと、ウンヴェン共和国に関しては、我が国が直接介入することは避けた方がいいかもしれない」
「それは何故でしょうか?」
「理由は二つある」
「まず一つ目だが、我々が動くことで、その動きを察知される可能性があるということだ」
「なるほど……」
「もう一つは、我が国が他国に介入しすぎることは、我が国の弱体化につながる恐れがあるということだ」
「確かにそうですね……」
「それでは、我が国としては、何もせずに静観するということにしましょう」
「いや、それも危険だ。下手に動かない方が、逆に怪しまれて攻撃を受ける恐れもある」
「しかし、どうやって対処すれば……」
「そこで、提案があるのだが……」
「なんでしょう?」
「我が帝国の諜報網を駆使して、奴らの情報を探り、その情報をもとにこちらから攻撃を仕掛けるというのはどうか?」
「それはいい考えです。ぜひ、やりましょう!」
「よし、決まりだ。すぐに実行してくれ」
「はい!」
こうして、アハング共和国の反乱に対して製缶が決められた
そして、この日から帝国軍はアハング共和国との国境に兵を集め、反乱が飛び火しないように努めた。
アハング共和国 エレンカ市 ここではアハング共和国軍と反乱軍との熾烈な戦いが繰り広げられていた。
「撃てェッ!!」
ズダァーン!! バシュゥン! ドガアアアン!!! 反乱軍は剣士を先頭にして進撃してくる。それに対して、アハング共和国陸軍は弓兵を前面に展開して対抗する。
アハング共和国陸軍の数は約3万人おり、数において圧倒的に優勢だった。しかし、反乱軍には剣聖がおり、彼の強さの前に次々と倒されていった。
また、反乱軍には優秀な指揮官も多く、的確に反撃を行い、次第に劣勢になっていった。
「くそぉ~!なんて強さだ!」
「このままじゃあ全滅してしまうぞ!」
「逃げろォ~!!!」
アハング共和国軍は、エレンカ市の防衛に成功したが、反乱具はいまだ健在である
戦線から離れた、アハング共和国首都ヒーノもこの反乱のことに混迷を極めている
。
「一体、何があったのだ?」
「どうするのだ?」
「どうすると言われても……」
「我々はどうしたらよいのだ?我々はフルカ王国とも戦争をしているのだぞ」
「さぁ?」
「おい、お前はどう思う?」
「私ですか?私は・・・・・・・・・・」
「早く答えよ」
「わかりません」
「なんだと!?貴様それでも軍人か!?」
「はい。私はただの軍人であります。なので、政治のことはよくわかりません」
「ふざけるな!なんとかしろ!」
新たに共和国大統領選任されたコーヴァは動転していた
。
「そんなことを言われましても……困りましたね」
「とにかく、何か対策を考えなければ……」
「そうですね。ですが、一体どうすればよいのでしょうか?」
「それは、私が知りたい……」
「そうですか……」
「帝国に反乱鎮圧を頼むことはできないか?」
「帝国にですか?そうですねぇ……。難しいかもしれませんが一応頼んでみましょう」
「頼んだぞ」
「はい!」
アハング共和国政府は、帝国に支援を要請したが、帝国からの返事は芳しくなかった。「駄目だと!?なぜなのだ!?」
「それはわかりかねますが、おそらく、帝国にとって利益がないからではないでしょうか?」
「ぐぬぅ~」
「仕方ない。まあ、あの皇帝ならそうするでしょう自力で何とかしよう……」
「はい……」
その後、アハング共和国は国内の反政府勢力を結集し、反アハング共和国を掲げた革命軍を結成した。これにより、反乱軍の勢力はさらに拡大した。
オウスア共和国 の首都ウンヴェンでは今後の外交、軍事政策を共和国大会議において話し合われていた。
「現在、我が国は隣国のアハング共和国で共産主義革命が勃発し、我が国にも飛び火することが予想される。そこで、我がオウスア共和国 としては、我が国としてはどのように動くべきか、諸君の意見を聞きたい」
オウスア共和国 の大会議議長であるデブリンが議題を提示する。
「まず、我が国は同盟国として救援に向かうべきです」
「そうだ!」
「我が国は、世界平和のために団結すべきです」
「その通りだ!」
「我が国は、アハング共和国を支援するべきだと思います」
「その通りだ!」
「我が国は、アハング共和国を支援しよう」
「その通りだ!」
「我が国は、アハング共和国に武器の支援をするべきだ!」
「その通りだ!」
「我が国は、アハング共和国の支援を!」
「その通りだ!」
「我が国は、アハング共和国の存立をもとめる!」
「その通りだ!」
アハング共和国内の反乱軍はじわじわ追い詰められ、最後の拠点であるオルウィに追い詰められた。
「もう、ここまでか……」
反乱軍のリーダーであるチュニュウウは覚悟を決めた。
「くそっ!我々では勝てないというのか?」
「諦めるな!我々には守るべきものがあるはずだ!我々がここで戦わないでどうする!」
「そうだ!我々がこの国を変えなければならないのだ!」
「我々の手でこの国の未来を切り開くのだ!」
「おおー!!」
一方、帝国軍は国境に兵力を配置し、反乱が飛び火しないように警戒している。
帝国軍大将のイマタ公は部下に指示を出す。
「反乱の規模は大きい。だが、我々は何もせず静観するのが最善だ」
「承知しました」
「それに加えて、もし、万一我々の領地に飛び火した場合は、その領地を守ることを優先するように」
「お伝えします。アハング共和国のアッスタン地方にて武力蜂起があり、その組織はイルベデニャ皇国の建国を宣言し、ただ今アハング共和国の首都、ヒーノに迫っていることのことです。」
「そうか、わかった。ありがとう。下がってよいぞ」
「はい。失礼いたします」
アハング共和国
反乱軍の司令官であるチュニュウウは、最後の作戦を実行しようとしていた。
「よし!これで最後だ!みんな準備はいいな?」
「もちろんだ!」
「おう!」
「いつでもいけるぜ!」
「それじゃあ、いくぞ!」
オルウィは陥落した 反乱はおわっったのだ。
しかし、反乱はまだ終わらない。これからが本当の戦いなのだ。
帝国歴3048年5月1日 アハング共和国 領内のザルマンディニア地方で今度は民族派の独立武装蜂起が進行中のこと。
これにより、アハング共和国は内戦状態に突入した。
また、アハング共和国は国内の反乱に対して、援軍を送ることができなかった。なぜなら、国内の反政府勢力は、多くが革命軍の残党だったからだ。
こうして、アハング共和国は、内乱と外敵の両方の脅威にさらされることになった。
アハング共和国は内戦に突入する アハング共和国 反乱軍の司令官チュニュウウは反乱軍を率いて、アハング共和国の首都ヒーノを目指しt。反乱軍の進撃を食い止めようとアハング共和国軍が防衛にあたっている。
ズダァーン!! バシュゥン!ドガアアン!
「撃てェッ!」
「ぐああぁぁぁぁ!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
アハング共和国陸軍は反乱軍を圧倒していた。
「このまま押し切るぞ!」
「はい!」
「突撃ィ!」
「オオォー!」
アハング共和国陸軍の猛攻の前に、反乱軍は後退していく。
「ダキロが陥落したか・・・」「はい・・・」
「そうか・・・」
反乱軍は首都ヒーノまであと少しというところまで迫っていた。
一方その頃、帝国では・・・ 帝国皇帝のヴィヌマースは皇帝直属軍大将のイマタ公に指示を出していた。「帝国領内に例の反乱を入れさせるな」
「はい。承知しました」
「期待しておるぞ」
「はっ!」
イマタ公率いる帝国軍エック市駐屯軍は、国境沿いに配置されている兵力をアハング共和国との国境付近まで移動させた。
「はい」
「なぜだ!?」
「わかりません
「一体どうすれば……」
「はい」
「なんとかしろ!」
「はい」
フルカ王国軍がアハング共和国首都ヒーノに上陸し戦闘が発生しているとの情報を得たイマタ公はすぐさま帝都レイドランに引き返した。
一方、アハング共和国では、 反乱軍の司令官チュニュウウは焦りを感じていた。
「まずいな……。この様子だとヒーノ陥落も時間の問題だ」
「はい。それに、反乱軍の本拠地であるオルウィもまもなく落ちますね」
「ああ……援助を頼んだはいいがフルカ王国に手柄も、領土も奪われてしまう」「はい……」
「何か手はないのか?」
「はい……」
「そうだ……」
「ん?どうかしたか?」「いえ……」
「なんだ言ってみろ」
「はい……」
「実は……」
その時新聞が渡され、フルカ王国軍がヒーノを制圧したとの報が入った。
「よし!そうと決まれば行くぞ!」
「はい!」
チュニュウウ率いる反乱軍改め、イッソマンナ共和国軍もアハング共和国に対し攻勢を開始した。
イッサマンナ共和国軍の快進撃が続く。
イッサマンナ共和国軍はアハング共和国の主要都市を次々と制圧していった。そしてついに、イッサマンナ共和国軍はアハング共和国の臨時首都イクリオつずいてレイダーを落とした
一方、アハング共和国陸軍は、苦戦を強いられていたがフルカ王国に対する攻勢に成功し、首都ヒーノを奪還することに成功した。
市明石又すぐにフルカ王国軍の攻勢によりはアハング共和国の首都ヒーノをあけ渡した。
その後、戦線は膠着し、アハング共和国は南部ウッスランを臨時首都とし防衛を続けていたがじりじりと押され、国土の8割をイッソマンナ共和国の支配下になってしまったが再度ヒーノを奪還し、続けている。
アハング共和国は、フルカ王国と講和を行い係争地の飛び地であるヴァナマンを譲渡した。
また、アハング共和国は、アハング島をフルカ王国に譲渡することで合意した。。
帝国歴3048年6月2日 ついにイッソマンナ共和国の大攻勢が開始された。
「全軍進めェ!」
「オオォー!」
「突撃だァ!」
「オオォー!」
イッサマンナ共和国軍の大軍勢がアハング共和国に攻め入った。
アハング共和国陸軍は、必死の抵抗を見せるが徐々に劣勢に立たされていった。「くそぉっ!このままでは負けるぞ!」
「はい」
「援軍はまだなのか!?」
「はい」
ついに臨時首都のウェッスランも陥落しアハング共和国の最後の拠点であるレイダー市でも戦闘が行われている
。
レイダーはフルカ王国軍によって陥落し、アハング共和国政府は無条件降伏をした。
アハング共和国は滅亡したのだ。
アハング共和国滅亡 アハング共和国が滅んでから、3ヶ月がたった。
フルカ王国国王のオーヤ・フルカはフルカ王国の王都マイニオンにある王宮で戦勝報告を行っていた。
共和国は完全に我が国のものになった!また、帝国とも和平を結ぶことができた!また、アハング共和国の一部はフルカ王国の領土となった!よって、ここに宣言しよう!
「フルカ王国第26代国王のオーヤ・フルカの名において、フルカ王国は、アハング共和国を併合したことを宣言する!」
「オオォー!」
こうして、アハング共和国はフルカ王国の一部となった。
この世には寿命で死なない、特異体質を持つ人間がいる。バルダー帝国皇帝ヴィヌマースや帝国総監イルカ―ナやイマタ公、べレジ=プルト=リバイニア連邦元首のショニョン、デゥアルア王国のイプルト王。ウルラン王国国王のオウラなどがそうだ。彼らは不老不死ではないが、普通の人間の何倍もの生命力を持ち、老化も遅いという。
そのことは、ある意味とても残酷なことかもしれない。なぜなら、人間はいつか必ず死ぬ。それが早いか、遅いかの違いだけだとしても……。
***
ディアルア王国 パンダンオ半島の先端とにあるペラマンニ地方とどの近海に浮かぶイスカ―島からなる中規模国家である。回りを山脈と海で囲われているため戦争に巻き込まれることもなく、世界の調停役としての役針をしている
首都オルフェン 沿岸に停泊している軍艦に、一人の少年が乗っていた。
「父さん、もうすぐだね」
「ああ」
「やっとここまで来たね」
「ああ」
「楽しみだね」
「ああ」
「ねぇ、父さん。なんでさっきから『ああ』ばっかり言ってるの?」
「ん?ああ、すまない。少し考え事をしていたんだ」
「ふ~ん」
「……」
「ねえ、父さん」
「ん?なんだ?」
「どうして父さんってそんなに強いの?」
「ん?そうだな……。それは、お前を守るためだよ」
「僕を守る?」
「そうだよ」
「そう……」
「お?見えてきたぞ」
「ほんとだ!すごい!あれが僕の住む国かぁ!」
デゥアルア王国 首都オルフェン 王宮
「よくぞおいでくださいました。陛下」
「久しぶりだな、エイン。元気にしてたか?」
「はい、おかげさまで」
「そうか、よかった。ところで、あの子はどこにいるんだ?」
「はい、こちらです。どうぞ」
「おお、君があの子か。はじめまして。私はこの国の王様をしています。よろしくお願いします。」
「は、はい、よ、よろしくお願いしましゅ……あ、噛んじゃった。えっと、僕はこの度この国に養子として引き取っていただきました。ディアルア王国国王のルアンと申します。これから、どうかよろしくお願いいたします。」
「うん、しっかりした挨拶でよろしい。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ、今日は疲れただろうから、ゆっくり休みなさい。」
「はい、分かりました。失礼しました。」
なんとこの日、オルフェンにはバルダー帝国皇帝ヴィヌマース、ウルラン王国国王オウラが会談をしていた。そして、そこにはなぜかデゥアルア王国の国王もいた。
「やあやあ、これはこれは、帝国の皇帝陛下ではありませんか。それに、ウルラン王国の国王陛下まで、いったいなぜこのようなところにいらっしゃるのですか?」
「ふん、決まっているであろう。我々もこの会談に参加させてもらうためにわざわざきたのだ」
「ほう、そうでございましたか」
「まあまあ、落ち着け。今はそんなことを言い争っている場合ではない。」
「むぅ、確かにそれもそうだな。」
「うむ、では本題に入ろうではないか」
「ああ」
「ではまず、今回の議題は最近の情勢ついて……」
デゥアルア王国 国王の執務室 コンッ!コン!
「入っていいぞ!」
ガチャッ!
「失礼する。父上、今日の分の仕事が終わったので報告しにきました。」
「そうか、ご苦労だった。」
「はっ!ありがたき幸せ!」
「では、これで終わりにする。下がってよいぞ」
「はっ!それでは、これにて失礼いたします!」
バタン!
なんとこの日、オルフェンにはバルダー帝国皇帝ヴィヌマース、ウルラン王国国王オウラが会談をしていた。そして、そこにはなぜかデゥアルア王国の国王もいた。
「やあやあ、これはこれは、帝国の皇帝陛下ではありませんか。それに、ウルラン王国の国王陛下まで、いったいなぜこのようなところにいらっしゃるのですか?」
「ふん、決まっているであろう。我々もこの会談に参加させてもらうためにわざわざきたのだ」
「ほう、そうでございましたか」
「まあまあ、落ち着け。今はそんなことを言い争っている場合ではない。」
「むぅ、確かにそれもそうだな。」
「うむ、では本題に入ろうではないか」
「ああ」
「では、今回の議題は……」
デゥアルア王国 国王の執務室 コンッ!コン!
「入っていいぞ!」
ガチャッ!
「失礼する。父上、今日の分の仕事が終わったので報告しに来ました。」
「そうか、ご苦労だった。」
「はっ!ありがたき幸せ!」
べレジ=プルト=リバイニア連邦元首ショニョンは世界会議に参加していた。
「では、次の議題に移らせてもらいます。次は、最近我が国の近海に現れた謎の船についてです。ショニョンさん、説明をお願いします。」
「はい、わかりました。」
「あれは何なのだ?」
「私にもまだはっきりとしたことは分かっておりません。しかし、あれに乗っているのは明らかに人間ではありません。」
「やはりそうか……」
「はい……」
「それはそうと、あなた方は一体何者なの?」
「はい、私はバルダー帝国皇帝ヴィヌマースと言います。」
「私はウルラン王国国王オウラだ」
「なっ!あの2人がバルダー帝国とウルラン王国の王だと!?」「ああ、そうだ」
「そんなはずないわ!だって、あの2人はもう100年以上も前に亡くなっているもの!」
「それが事実なんだよ」
「嘘よ!信じられない!」
「なら、証拠を見せよう」
「ええ」
「これが証拠だ」
「え?そんな……まさか……」
「そう、その通りだよ」
「本当にあの人なの?」
「ああ」
「そう……そうなのね……グスッ」
「おいおい、泣くなって」
「ごめんなさい、つい嬉しくて」
「私ショニョンは先王ガデスの作り上げたべレジ=プルト=リバイニア連邦を守りつずけたいのです。オウスア共和国、フルカ王国の侵略から守り続けていますが、このままではいずれ力尽きてしまいます。ですので、どうか私たちを助けてください。お願いします。」
「もちろんさ。僕たちに任せてくれ。」
「ありがとうございます。」
「いえ、当然のことです。」
「じゃあ、これからよろしく頼むよ」
「はい!」
「じゃあ、今日はこれくらいにしておこう」
「そうですね」
「じゃあ、解散!」
こうして、3カ国による同盟が成立した。
デゥアルア王国 王宮
「父上、今日はどのような用件でしょうか?」
「実はお前に伝えなければいけないことがあるんだ」
「ん?なんですか?」
「実は、私たちは明日からしばらくこの国を離れなければならないんだ」
「え?どうしてですか?」
「ちょっと、この国の外にある国々に挨拶をしに行くんだ」
「そうなんですか……」
「ああ、だから寂しいと思うけど我慢してくれ」
「はい、分かりました。」
「よし!いい子だ!それじゃあ、そろそろ行くとするか」
「はい、分かりました」
デゥアルア王国から出発した船には国王イプルトとその妻エイン、護衛の騎士6人と執事長の8人がいた。
まず向かったのはウルラン王国領の遠方領土イロカンマ島だった
。そこで国王オウラが待っていた。
「はじめまして、ディアルア王国国王のイプルトといいます。どうぞよろしくお願いいたします。」「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」
「ところで、なぜここに呼ばれたのかはご存知ですよね?」
「はい、もちろんです」
「では、早速始めましょうか。」
「はい」
「それでは、これよりウルラン王国とデゥアルア王国の同盟締結式を始めさせていただきます。」
「よろしくお願い致します。」
「それでは、両国の繁栄と安寧を願い、この杯に酒を注ぎ、乾杯をしてください。」
「はい、わかりました。」
「では、デゥアルア王国国王のイプルト様から注いで頂きましょう。」
「はい、わかりました。」
トクッ!トクッ!
「では、次はウルラン王国国王のオウラ様に注いで頂きましょう。」
「はい、わかった。」
トクッ!トクッ!
「これで、両者の絆がより深まったことでしょう。」
「はい、そうですね。」
「そして、両国が共に手を取り合い、より良い未来を築き上げる事を誓いますか?」
「はい、誓わせていただきます。」
「では、最後にもう一度杯に口をつけ、中身を飲み干して下さい。」
「はい、わかりました。」
「では、これで終了となります。」
「はい、わかりました。」
「では、また会う日まで、ご機嫌よう!」
「はい、ご機嫌よう!」
こうして、デゥアルア王国の国王イプルトはウルラン王国の国王オウラとの同盟を結んだ。
次にむっかたのはべレジ=プルト=リバイニア連邦のプルト王国首都ウルクに向かった。ウルクでは連邦元首兼プルト国王ショニョンが迎えた
。
ウルラン王国とべレジ=プルト=リバイニア連邦との戦争が始まった。
ウルラン王国とべレジ=プルト=リバイニア連邦の戦いは国境紛争程度の戦争で済んだ
しかしその後べレジ=プルト=リバイニア連邦はオウスア共和国、フルカ王国、イッソマンナ共和国の3か国国連合との戦争に入ってしまい、窮地に立たされている。
連邦首都オレングでも激しい攻防戦が繰り広げられている。
各地でべレジ=プルト=リバイニア連邦陸軍が抵抗してをり、三か国連合軍と交戦している。
しかし、圧倒的な戦力差の前に苦戦を強いられていた。
一方、べレジ=プルト=リバイニア連邦海軍もオウスア共和国艦隊に苦戦していた。
しかし、連邦海軍の艦艇が一隻も沈められずに済んだため、戦況はまだ連邦の勝機もあり、先日フルカ王国がウルラン王国との戦争に突入したことによって、フルカ王国軍の数が減ってきているので、まだ連邦軍にも希望がある。結局三か国連合はオレングを落とせず、さらに主力のフルカ王国軍がウルラン王国王国との戦闘で、敗走していたためべレジ=プルト=リバイニア連邦と三か国連合は白紙講和をむすんだ。
僕たちは、今べレジ=プルト=リバイニア連邦と同盟を結んでいる。
「この同盟を結んでくれたことに感謝する。」
「いえいえ、当然のことです。」
「ありがとうございます。」
「では、これからよろしくお願いします。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
「じゃあ、今日はこれくらいにしておこう」
「そうですね」
連合国とイッソマンナ共和国との戦争が始まった。
その戦争は、両軍とも互角に戦っていたが、イッソマンナ共和国軍は多数の捕虜を出してしまった。
しかし、連合国軍はイッソマンナ共和国の首都を制圧することに成功した。
イッソマンナ共和国との三ヵ国戦争は、イッソマンナ共和国の滅亡という形で終わった。
この戦争で最も利益を得たのオウスア共和国である。オウスア共和国は旧イッソマンナ共和国領の4割を得て世界最大の国となった。
バルダー帝国 帝都レイドラン 帝城会議室 皇帝ヴィヌマースが臣下たちに話し始めた。
「皆のもの、よく集まってくれた。」
「はっ!陛下、本日の議題は何でしょうか?」
「うむ、実は最近我が国と敵対する国が現れたのだ。」
「敵対ですか?」
「ああ、そうだ。しかも、かなり強大な力を持っているようだ。」
「なるほど、それでその敵の名前は何ですか?」
「ああ、それはオウスア共和国だ。」
「オウスア共和国ですか・・・まあ予想してたことですね。」
「ああ、だが油断はできないぞオウスア共和国は、旧イッソマンナ共和国領を手に入れたのだ、もはや我がバルダー帝国一国だけでは太刀打ちできない」
「そうですね。確かに今の我々の厳しいでしょう。」
「ああ、だからお前たちを呼んだんだ。」
「なにか対策はあるんですか?」
「もちろんある。」
「どんな方法なんですか?」
「オウスア共和国内の反政府組織をえんじょするのだよ。」
「なるほど、つまり我々がオウスア共和国に潜入するというわけですね?」
「ああ、そういうことだ。」
「わかりました。すぐに準備に取り掛かります。」
「頼んだよ。」
数日後 オウスア共和国 ヒーノ
「おい!お前ら!もっと速く走れ!」
「すいません!」
「謝ってる暇があったらとっとと走らんか!」
彼らは元奴隷だった。
彼らはオウスア共和国によって解放され、自由になったのだが、今度は労働を強いられることになった。
「よし、ここら辺でいいだろう。」
「はい、わかりました。」
「じゃあ、まずは草むしりから始めろ!」
「はい!」
こうして彼らの新たな生活が始まった。
ある日
「お前らに仕事がある。ついてこい。」
「はい。」
しかし1月前ヒーノである武力衝突があった。
「栄光あるヒーノをとりもどせ!!!!!!!!!」
「おおー!!!」
「オウスア共和国を打倒せよ!」
「おぉー!!!」
この動乱は三日ほどで鎮圧されたが、オウスア共和国内にはこのような独立の動きが活発にって来ている
。
そのため、オウスア共和国政府はより一層警戒を強めている。
そして、ついにその時が来た。
「今日は、ここに泊まる。」
「え?でもここには何もないですよ。」
「大丈夫だ。ここで一晩過ごすだけだ。」
オウスア共和国 首都ウンヴェン大統領官邸執務室 オウスア共和国大統領のミケルド=フォン=エヴェトシャは秘書官のアルスラン=ハノンに話しかけた。
「アルスラン君、今日の予定はどうなってるかね?」
「はい、午前中には特にありませんが、午後からは緊急会議が予定されています。」
「そうか、わかった。ありがとう。」
「はい、それでは失礼します。」
アルスが部屋を出て行った後、彼は電話を取り、どこかへかけた。
「私だ。今すぐ部下を全員集めてくれ。」
「はっ!了解しました。」
5分後に全員が揃った。
「皆の者、よく集まってくれた。早速だが本題に入ろう。最近我が国の治安が悪化しつつある。そこで私は考えた。これは我が国が敵性分離主義者に対しどのように向き合うべきか」
「はい、それは我が国の軍隊により鎮圧するべきです。」
「いや、それはだめだ。なぜなら、この国は民主主義国家であり、独裁政治ではないからだ。」
「では、どうするべきだとお考えですか?」
「独立派に対し自治権を与えるべきだと思っている」
「な!?」
「なんだね?その反応は?」
「いえ、なんでもございません。続けてください。」
「そうか、続けるぞ。そこで、私が提案したのは、自治権を認める代わりに武装闘争をやめさせることだ。」
「なるほど、そうすれば平和的に解決できるかもしれませんね。」
「ああ、そうだ。しかし、これには条件をつけようと思う。」
「条件ですと?」
「ああ、そうだ。その条件とは、もし、自治が認められる地方に対して攻撃を加えた場合、その国の国民は我が国の保護下に入るというものだ。」
「なるほど・・・」
「あした、議会に共和国の地方行政区分および権能を変更する憲法改正を提出するつもりだ」
「はっ!かしこまりました。」
次の日の朝 オウスア共和国 首都 ウンヴェン 共和国議会 共和国宮殿議事堂
この日オウスア共和国大統領cは共和国議会に「共和国の地方行政区分および権能を変更する憲法改正」と「国名をオウスア連邦共和国とする改正案」を提出した。
「これより憲法改正案を採決いたします。賛成の方は挙手をお願いします。」
議員たちは一斉に手を挙げた。
「全会一致のため、本案は可決されました。」
続いて、国名をオウスア連邦共和国に変更する法案を採決いたします。」
再び、議員たちが一斉に手を挙げる。
「これも満場一致で採択されました。」
その後、国民投票が行われ、オウスアは連邦共和国となった。
憲法には以下の条文が追加された。
1:オウスア共和国はオウスア連邦共和国となる
2:連邦元首は、以下の権限を有する。
・連邦元首は行政府の長としてとして大統領を置く
・連邦安全保障会議のメンバーを選ぶことができる
・連邦政府の予算案を作成することができる
連邦内の自治地域の明記は以下のとおりだ。
・旧ヒーノ地区はヒーノ自治共和国政府は旧オウスア共和国はオウスア共和国政府が設立され、内政を行う場合連邦政府の決定より優先される。。
また、オウスアは連邦共和国となり
、旧オウスア共和国政府は各連邦自治体に分割された。
オウスア連邦共和国連邦元首官邸執務室
「はぁ〜やっと終わった〜」
「お疲れ様です。」
「アルスラン君もお疲れさま」
「あの、少しお聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
「ん?いいよ。何だい?」
「はい、先日の憲法改正についてなのですが、なぜ、あんなことをなされたのですか?」
「報告します!!!ウンヴェン近郊のパラデラン市において反政府蜂起発生、すでに首都ウンヴェンは法状態にあります!!」
「な!?そんな馬鹿なことがあってたまるか!!」
「わかりました。すぐに向かいます。」
「わかった。頼むぞ。」
「はっ!」
「ミケルド大統領閣下、大変です!」
「今度はなんだ!」
「ウンヴェン近郊でセレフマン皇国を名乗る武装組織がパラデラン市を首都に建国宣言を行い、連邦軍と激しい戦闘を行っています。」
「くそ!こんな時に・・・」
「いかがいたしましょう?」
「仕方がない。我々も出るぞ。」
「はい、わかりました。」
「オウスア連邦共和国軍の奮戦むなしく連邦首都ウンヴェンは陥落した。
連邦政府はヒーノを戦時首都として徹底抗戦し、1か月後、ウンヴェンを奪還した。
しかし、オウスア国内には、多くの独立派が残り、内戦状態となっている。
そして、オウスアは今、新たな局面を迎えようとしていた。
オウスア連邦共和国 ヒーノオウスア陸軍基地 オウスア陸軍少尉のザハド=ベルーガは、上官の中佐から呼び出された。
「おい、ザハド、ちょっと来い。」
「はい!なんでしょう。」
「お前、確か、明日休暇だったよな?」
「え、まあ、そうですけど」
「じゃあ、明日は暇か?」
「いえ、特に予定はありませんが・・・」
「そうか、それならよかった。実はな、明日、俺の知り合いが来るんだが、その人の護衛を頼みたいと思ってな。」
「護衛ですか?」「ああ、そうだ。その人は、かなり偉い人で、重要な仕事があるらしいんだよ。」
「そうなんですか。でも、僕なんかで大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。その人が、あんまり強い奴はいらないって言ってるんでな。」
「はぁ、そういうことですか。」
「ああ、そうだ。あと、その人のことは絶対に秘密だからな。」
「はい!わかりました。」
次の日 ザハドは朝早くからヒーノの街にいた。
しばらくすると、軍用トラックが来た。
ウリュクスブ神聖公国首都パラデラン「ふう、なんとか着いたわね。」
「ええ、そうですね。」
「ところで、あなた名前はなんていうのかしら?」
「私は、リリアナ=クレースといいます。」
「そう、よろしくね。」
「こちらこそ、お願いします。」
「それで、今日は何をするの?」
「はい、今日は武器の調達と仲間集めをしようと思います。」
「なるほど・・・」
「まず、最初に武器屋に行きましょう。」
「わかったわ。」
再度パランデラを中心に反乱がおきた。
今回は前回よりも大規模なもので、反乱軍はパラデラン市し、そこを首都としウリュクスブ神聖公国を建国した。
ウリュクスブ神聖公国 聖都パランデラ
「悪辣なる共和国政権を打倒し、神の名のもとに我が公王陛下の国家を広げよ!」
我々は正義である!
「うむ、わかっている。だが、今は逃げるわけにはいかないのだ。」
「どうしてですか?」
「それは、この国が私の故郷だからだ。」
「そんな・・・」
「それに、私はまだこの国を見捨ててはいない。
ウリュクスブ神聖公国神軍はついにオウスア連邦共和国首都ウンヴェンを制圧した
ウリュクスブ神聖公国占領下ウンヴェン「よくやったぞ!諸君らの働きにより、我らの勝利は確実となった。」
「おお、ありがとうございます。」
「これで、神もお喜びでしょう」
「いや、まだ安心はできない。これからが本番なのだからな。」
「はい、心得ております。」
「では、行くとするか。」
「はい、かしこまりました。」
「おい、誰かいないか?!」
西のヒーノでも反乱がおき、レエナ共和国が建国され、オウスア共和国の領土を減らしていき、ついにオウスアの勢力範囲はデンバンマン島北部にまで限られていた
。
オウスア連邦軍第1近衛師団所属 第一大隊 中隊長
「敵はもうこのセレンク市に迫っている、我が共和国に残る最後の都市だ、必ず守り通すぞ!」
「「「了解!!」」」
「大隊長殿!敵の部隊がこちらに向かってきています!」
「くっ、やはり、来てしまったか・・・」
「はい、おそらく・・・」
「そうか・・・仕方がない。全部隊出撃させろ、ただし、民間人の避難が完了するまでは攻撃するなと伝えておけ。」
「わかりました。」
オウスア連邦軍 第2機甲旅団 旅団長
「団長!大変です!セレンク市中心部に敵が突撃してきました。」
「何!?すぐに救援に行くぞ!」
「はっ!しかし、どこに行けばいいのでしょうか?」
「ん?そんなの決まっているだろう。」
「全オウスア連邦軍に告げる、戦闘を終了せよ。我が連邦政府は敵に対し無条件降伏をする」
「はい、わかりました。」
「それじゃあ、よろしく頼むよ。」
「はい、承知しました。」
こうして、セレンクの戦いは終わりを迎えた。
この戦いによりオウスア連邦共和国は滅亡した。
ウリュクスブ神聖公国 聖都パランデラ 聖公王宮殿謁見の間
「悪辣なる共和国の政権は崩壊した!今こそ、我らの悲願を果たす時が来た!皆の者!立ち上がれ!今こそ、神のご加護のもと、この世界に平和をもたらすのだ!」
「「オオォーーーーーーーー!!!」」
ウリュクスブ神聖公国神軍兵士の雄叫びが響く中、リリアナは一人考えていた。
(本当にこれでよかったのだろうか?)
と。
ウンヴェンの戦い ウンヴェンの戦いとは、ウンヴェンの戦いもしくはウンヴェニア会戦とも呼ばれる戦いである。
ウンヴェン近郊 神軍を名乗る武装組織によって建国されたウリュクスブ神聖公国がウンヴェン市に進軍してきた。
それに対して、オウスア連邦共和国軍は、ウンヴェン市を防衛
するため、ウンヴェン近郊の平原にて迎え撃った。
ウリュクスブ神聖公国神軍の先鋒部隊は、オウスア連邦共和国軍の防衛線を突破し、ウンヴェン市内に侵入を果たした。
ウンヴェン市内
「よし、これで市内の制圧は完了したな。」
「ええ、そうね。」
「それで、これからどうしますか?」
「そうだな・・・とりあえず、まずは市庁舎に向かうとしよう。」
「わかりました。」
ウリュクスブ神聖公国 聖都パランデラ聖公王宮殿謁見の間
「悪辣なる共和国の政権は崩壊した!今こそ、我らの悲願を果たす時が来た!皆の者!立ち上がれ!今こそ、神のご加護のもと、この世界に平和をもたらすのだ!」
「「オオォーーーーーーーー!!」」
ウリュクスブ神聖公国神軍は歓喜の声を上げていた。
「やったわ!ついに成し遂げたわよ!」
「ああ、やったぜ!俺達は勝ったんだ!」
「フッ、当然の結果だ。」
「えぇ、そうですね。」
そんな中、ただ一人だけ浮かない顔をしている者がいた。
リリアナ=クレースである。
「ん?どうかしたのか?」
「いえ、別に何でもありません。」
「そうか・・・ならいいのだが・・・」
ウリュクスブ神聖公国神軍が占拠したウンヴェン市には、ウリュクスブ神聖公国ウンヴェン総督府が置かれていた。
ウンヴェン臨時政府
「聖公王様からの命令を伝える。我々、ウンヴェン総督府はこれより、住民へにの改宗強制開始する。」
「「おおぉーーー!!!」」
ウリュクスブ神聖公国 聖都パランデラ 聖公王宮殿謁見の間
「神のご加護の元この偉大なる独立聖戦を完遂することができた。朕から直接感謝する」「「ありがとうございます!」」
「さて、諸君らに問いたいことがある。諸君らは、この国に正義があると思うかね?」
「「もちろんあります!」」
「そうか、ならば問おう。諸君らにとっての神とはなんだ?そして、諸君らの国にとっての正義とはなんなのだ?」
「はい、私達にとって神とは信仰の対象であり、神が望むことこそが我々の望みであります。」
「そうか・・・では、質問を変えよう。諸君らが信じている神とは何だ?」
「はい、それは・・・」
「わかった。もういい。」
「はい、わかりました。」
「諸君らも知っている通り、我が神聖公国において神の名は絶対である。よって、我が神聖公国に仇なすものは例え神の名のもとに戦ったものであろうとも、その罪を許すわけにはいかない。」
「はっ!」
「それでは、これをもって解散とする。」
ウンヴェン臨時政府が解散し、ウリュクスブ神聖公国の総督府がウンヴェン市に置かれた。
これにより、ウンヴェン市は神聖公国の直轄領となった。
ウリュクスブ神聖公国 ウンヴェン総督府総督執務室
「ふぅ〜疲れた〜」
「おつかれさまです。」
「ああ、お前さんの方こそお疲れ様だよ。」
「それで、これからどうするんですか?」
「ん?まぁ、そうだな・・・とりあえず、しばらくはここにいるしかないだろうな。」
「そうですか・・・」
「ん?どうした?何か不満でもあるのか?」
「いえ、そういうわけではないのですが・・」
「そうか、だったらいいんだが。」
「はい、大丈夫ですよ。」
「そうか、それじゃあ、俺はそろそろ寝るとするか。」
「はい、わかりました。それじゃあ、私はこれで失礼します。」
正教護衛隊 ウリュクスブ神聖公国の宗教警察だ グーダ―教の教義を守り、他宗教を弾圧している。
ウンヴェン総督府の警備をしているのは、ウリュクスブ神聖公国の宗教警察の正教護衛隊であった。
ウンヴェン市 ウンヴェン市はウリュクスブ神聖公国の支配下に置かれることになった。そのため、ウリュクスブ神聖公国の総督府が置かれることになった。
オウスア連邦共和国の滅亡により、オウスア連邦共和国は消滅した。
現在、ウンヴェン市を含む旧オウスア連邦共和国の領土は、神聖公国とレエナ共和国によって分割統治されている。
「聖公王様から命令を伝える。我々はこれより、住民への改宗強制を開始する。」
「「おおぉーーー!!」」
ウリュクスブ神聖公国 聖都パランデラ聖公王宮殿謁見の間
「悪辣なる共和国の政権は崩壊した!今こそ、我らの悲願を果たす時が来た!皆の者!立ち上がれ!今こそ、神のご加護のもと、この世界に平和をもたらすのだ!」
そして次に神聖公国は旧オウスア連邦共和国領統一のためレエナ共和国との戦争に入った
。
「我々、神聖公国は神のご意志に従い、正義のために戦うことを誓う!」
「「オオォーーーーーーーー!!」」
こうして、ウリュクスブ神聖公国とレエナ共和国軍の戦いが始まった。
レイダー会戦 ウリュクスブ神聖公国とレエナ共和国との間で行われた戦いである。
レイダー市郊外 ウンヴェニア市郊外の平原にて両軍が対峙していた。
ウリュクスブ神聖公国神軍兵士A
「敵が攻めてくるぞ!迎え撃て!」
ウリュクスブ神聖公国神軍兵士達は、ウリュクスブ神聖公国神軍の司令官の命令の下、突撃を開始した。
それに対して、レエナ共和国陸軍は塹壕陣地で待ち構えていた。
「弓兵用意!」
「了解!」
弓兵達は矢の装填を終えていた。
「撃ち方はじめ!」
「撃ち方はじめ!」指揮官の号令と共に弓兵は一斉に射撃を行った。
放たれた無数の矢はウリュクスブ神聖公国神軍に向かって飛んでいった。
しかし、ウリュクスブ神聖公国神軍は盾を構えながら前進した。
それにより、ほとんどの矢は弾かれてしまった。
「怯むな!このまま突撃せよ!」
そして、ウリュクスブ神聖公国神軍とレエナ共和国陸軍の戦闘が開始された。
「剣兵前へ!」
「槍兵前に進め!」
「火炎魔法隊構えよ!」
「弓兵隊後ろに下がれ!」
「よし、全軍突撃だ!」
「「うおぉーーーーーー!!」」
ウリュクスブ神聖公国神軍が進軍すると、それに合わせるようにレエナ共和国陸軍の歩兵達が後退を始めた。
それに対し、ウリュクスブ神聖公国神軍の攻撃は苛烈を極めた。ウリュクスブ神聖公国神軍歩兵部隊は、盾を構えたまま勢いよく突進していった。
対するレエナ共和国陸軍は、後方に下がりつつ弓矢や火炎魔法の遠距離攻撃を続けた。
その結果、ウリュクスブ神聖公国神軍は、大量の死傷者を出しながらも、徐々にレエナ共和国陸軍に迫っていった。
一方、レエナ共和国陸軍は後方の本陣まで撤退していた。
その様子は、ウリュクスブ神聖公国の偵察兵が確認しており、その情報はすぐに本陣へと届けられた。
「敵軍が敗走しました。」
「何だと!?どういうことだ?」
「はい、どうも、敵の総司令官が戦死したようです。」
「そうか・・・ならば、追撃するぞ!全軍に通達しろ!」
「はっ!了解いたしました。」
「よし、これで勝ったな。」
指揮官の死が分かった3時間後レイダー市の中心部にウリュクスブ神聖公国神軍が到達し、レイダー市を制圧した。
その後、ウリュクスブ神聖公国はレイダー市の占領を宣言し、その後はウリュクスブ神聖公国神軍はアルウィビア、デロウィアを次々に制圧し、ついにレエナ共和国首都ヒーノに迫った。
レエナ共和国大統領官邸
「くそ、もう終わりか・・・」
レエナ共和国大統領は呟いた。
「まだ、諦めるには早いですよ。」
「だが、もはや打つ手はないではないか。」
「確かにそうですね。でも、最後まで希望を捨てないでください。」
「そうは言うがなぁ〜。」
「そんなことはありません。きっと、何か方法があるはずです。だから、考えましょう。何かあるはずです。」
「そうだといいんだがなぁ〜」
レエナ共和国大統領の心は既に折れかけていた。
その時だった。
突然、部屋の扉が開かれ、兵士が入ってきた。
「失礼します。」「なんだ?一体、何事だ?」
「はい、実は、先程、我が軍の諜報部隊から報告がありまして、敵がこちらに向かってきているとのことです。」
「何だと!それは本当なのか!」
「はい、間違いないようです。」
「そうか・・・」
「それで、いかがいたしましょうか?」
「決まっているだろう。迎え撃つのだ!」
「わかりました。すぐに準備させます。」
「ああ、頼んだよ。」
「はっ!」
レエナ共和国大統領と補佐官の男は覚悟を決めた。
そして、ウリュクスブ神聖公国神軍がヒーノに到着した。
ウリュクスブ神聖公国神軍兵士A
「ここが決戦の場だ!ここで必ず勝利を手に入れるぞ!」
「「おおぉーーーーーー!!」」
「全軍突撃だ!」
「「うおぉーーーーーー!!」」
こうして、ウリュクスブ神聖公国神軍とレエナ共和国の戦いが始まった。
ヒーノ市郊外 ウリュクスブ神聖公国神軍兵士達は、レエナ共和国陸軍陣地に向けて突撃した。対するレエナ共和国陸軍はヒーノ前面の要塞線で絶望的な防衛を行っていた。
「敵が迫ってくるぞ!迎え撃て!」
「弓兵用意!」
「了解!」
弓兵達は、矢の装填を終えていた。
「撃ち方はじめ!」
「撃ち方はじめ!」指揮官の号令と共に弓兵は一斉に射撃を行った。
放たれた無数の矢はウリュクスブ神聖公国神軍に向かって飛んでいった。
しかし、ウリュクスブ神聖公国神軍は盾を構えながら前進した。
それにより、ほとんどの矢は弾かれてしまった。
「怯むな!このまま突撃せよ!」
そして、ウリュクスブ神聖公国神軍とレエナ共和国陸軍の戦闘が開始された。
「剣兵前へ!」
「槍兵前に進め!」
「火炎魔法隊構えよ!」
「弓兵隊後ろに下がれ!」
「よし、全軍突撃だ!」
「「うおぉーーーーーー!!」」
ウリュクスブ神聖公国神軍部隊が進軍すると、それに合わせるようにレエナ共和国陸軍の戦線は崩壊した。、レエナ共和国陸軍は最後の抵抗としてヒーノ市内でゲリラ戦を行ったがついに世界暦1402年 神聖暦69年ヒーノ中心部のレエナ共和国大統領官邸をウリュクスブ神聖公国神軍が制圧し、レエナ共和国は無条件降伏した。これにより、レエナ共和国の領土はウリュクスブ神聖公国に併合され、レエナ共和国は滅亡した
。
レエナ共和国消滅により、神聖ウリュクス帝国が誕生した。
一方、バルダー帝国 帝都レイドランにあるバルダー帝国軍本部では、最高司令官である帝国軍総監イルカ―ナが執務室で書類仕事をしていた。
「ふぅ〜、やっと終わったか。」
「失礼します。」
「ん?どうしたんだ?」
「はい、実は、レエナ共和国のことですが、どうやらウリュクスブ神聖公国に降伏するようです。」
「そうか・・・まあ、当然といえば当然か・・・」
「はい、そうなりますね。」
「そういえば、レエナ共和国の首都ヒーノを占領したのはウリュクスブ神聖公国だったな。」
「そうですね。確か、ウリュクスブ神聖公国が占領したと聞いています。」
「そうか・・・なら、ウリュクスブ神聖公国とは友好条約を結ぶべきだな。」
「そうですね。それがいいと思います。」
「そうだろう。それじゃあ、早速、使者を向かわせるとするか。」
「わかりました。」
「頼んだぞ。」
「はっ!」
こうして、バルダー帝国はウリュクスブ神聖公国と友好関係を結んだ。
レエナ共和国が消滅したことにより、バルダー帝国は安定した統治を行うことができた。
また、ウリュクスブ神聖公国は、旧レエナ共和国領土を全て自国領とし、その国力は急速に拡大していった。そして、世界暦1410年 神聖暦1001年4月11日、ウリュクスブ神聖公国は、神聖ウリュクス帝国に国名を変更した。
神聖ウリュクス帝国 聖都パランデラ ここは、神聖ウリュクス帝国の聖都パランデラの宮殿内にある会議室。ここには、5人の人物が座っていた。
1人目は神聖ウリュクス帝国の初代皇帝であり、神聖ウリュクス帝国の名を冠した人物でもある、ウリュクス・フォン・ブランシュ伯爵。
2人目は、宰相の、リザス・フォン・アーレンバッハ公爵。
3人目は、神聖帝国軍総司令の、アルフレット・デ・ラウリン侯爵。
4人目は、経済担当の、カロン・フォン・ハノーヴァー侯爵。
5人目は、法務大臣兼神聖法治国家同盟大使で、元レエナ共和国大統領の、ウィリアム・フォン・ローゼンハイン子爵。
「陛下、本日の議題はなんでしょうか?」
「ああ、本題に入る前に、まずは、ここに集まってくれたことを感謝する。ありがとう。」
「いえ、とんでもありません。」
「それで、今回の会議の内容は、我が国の軍事力についてだ。」
「なるほど、それで、具体的な話としては、どれくらいの兵力が必要なのですか?」
「そうだな。とりあえず、14万は欲しいところだ。」
「「えぇーーーー!?」」
「どうかしたのか?」
「そ、それは、さすがに多すぎるのではないかと。」
「何を言っているのだ?これから、我が国は周辺諸国に対して聖戦を始める予定なのだ。これぐらい必要であろう。」
「しかし、いくらなんでも、そんなに多くの兵士を養う余裕は我が軍には無いのですが。」
「そうか・・・仕方ない。ならば、今回は諦めるか。」
「はい、そうしていただけると助かります。」
「わかった。」
神聖ウリュクス帝国は、軍事費を大幅に増額したため、財政破綻寸前まで追い詰められた。そこで、神聖ウリュクス帝国は、多額の借金をして、なんとか戦争の準備を整えた。
一方、ウルラン王国 王都ウッテンドロンでは、国王である、オウラが執務室で書類仕事を行っていた。
コンッ!コンッ!
「失礼します。」
「入れ。」
「失礼します。」
「どうした?」
「はい、実は、神聖ウリュクス帝国からの圧力です。」
「何だと!」
「はい、間違いありません。」
「そうか・・・よしっ!すぐに軍を動かすぞ!」
「待ってください。」
「なんだ?」
「少し早すぎませんか?もう少し時間をおいた方がいいと思うのですが。」
「なぜだ?私は今すぐ軍を動かしたいのだが。」
「理由は、いくつかあります。まず、1つ目は、まだ、この国が神聖ウリュクス帝国に勝てるかどうかわからないということ。2つ目に、相手がまだこちらの動きに気づいていない可能性があるということです。」
「ふむ、確かに一理あるな。」
「そうでしょう。」
「だが、どちらにせよいずれは戦うことになるのではないか?」
「まあ、そうですけど。」
「それなら、早いうちに攻め込んだ方が良くないか?」
「まあ、そうですね。」
「だろう。」
「ですが、もう少し準備をしてからの方がよろしいのでは?」
「う〜ん・・・」
「どうでしょうか?」
「わかった。では、あと3ヶ月待つことにしよう。」
「わかりました。」
神聖ウリュクス帝国は、15万の兵を集め、進軍を開始した。
神聖ウリュクス帝国は、16万の軍で進軍し、ついに、神聖ウリュクス帝国と、ウルラン王国の国境に到着した。
神聖ウリュクス帝国と、ウルラン王国との国境線には、高い壁が築かれていた。
「これは、かなりしっかりしているな。」
「そうですね。」
「とりあえず、偵察隊を出そう。」
「はい。」
神聖ウリュクス帝国の偵察隊は、国境の壁の外側を迂回して、内側の様子を探った。すると、そこには、小さな村があった。
「おい、あそこに村があるぞ。」
「本当だ。」
「行ってみようぜ。」
「そうだな。」
神聖ウリュクス帝国の偵察隊の隊長は部下たちに指示を出した。
「お前たち、あそこにある村に行け。」
「了解しました。」
そして、神聖ウリュクス帝国の偵察隊が村の方に近づいていくと、村人たちが神聖ウリュクス帝国の偵察隊の存在に気付いた。
「あっ!あいつら、敵じゃないのか?」
「えぇーーーー!?」
「大変だぁーーーー!!」
「みんな、逃げるんだ!」
「早く逃げろぉーーーー!!!」
「きゃーーーー!!助けてぇ―――――――!!!」
神聖ウリュクス帝国の偵察隊の兵士たちは、慌てて逃げ出した。
「おいっ!ちょっと待ってくれよ。」
「俺たちを置いて行くなって。」
「そうですよ。」
神聖ウリュクス帝国側の国境警備隊の隊長は、慌ただしく動き回っている兵士達を見て、不思議そうな顔をしていた。
「いったい、どうしたというのだ?」
「さあ、私にもさっぱりわかりません。」
「とりあえず、事情を聞いてみるか?」
「そうですね。」
「ああ、そうだな。」
神聖ウリュクス帝国軍と、ウルラン王国軍の両軍が、それぞれの国境線に辿り着く少し前のこと、 神聖ウリュクス帝国軍は、ウルラン王国側に向かって進軍していたが、その途中で、奇妙な光景を目の当た。
神聖ウリュクス帝国 聖都パランデラの聖帝宮殿内にある会議室では、神聖ウリュクス帝国神聖皇帝である、ウリュクス・フォン・ブランシュが、宰相リザス・フォン・アーレンバッハ公爵と話し合っていた。
「陛下、今回の会議の内容はなんでしょうか?」
「今回の議題は、我が国の防衛についてだ。」
「なるほど、それで、具体的にはどのような対策をとるのですか?」
「それはだな・・・」
神聖ウリュクス帝国と、ウルラン王国との戦争は避けられない状況となっていた。
神聖ウリュクス帝国は16万の軍勢でウルラン王国に攻め込んだ。しかし、神聖ウリュクス帝国はウルラン王国の唯一の大陸領土であるイモータルさえ占領することができず、ただ死者を出しみの実だった。その結果を受けて、神聖ウリュクス帝国では、大規模な戦争を起こさないようにしようという声が上がっていた。
一方、べレジ=プルト=リバイニア連邦 首都オレングでは、連邦元首であるショニョン・ベレジが、執務室で書類仕事を片付けていた。
神聖ウリュクス帝国との会談に向けての準備を行っていた。
「ふぅ〜やっと終わったわね。」
コンッ!コンッ!
「失礼します。」
「どうしたの?」
「はい、実は、神聖ウリュクス帝国からの使者が到着しました。」
「あら、もう来たの?」
「はい。」
「わかったわ。すぐにそちらに向かうから、使者の方々を応接室に案内しておいて。」
「はっ!」
「お願いね。」
神聖ウリュクス帝国からの特使たちは、応接室に入っていき、しばらくすると、ショニョンが入ってきた。「どうも、初めまして、私は、連邦元首ショニョンです。よろしくお願い致します。」
「こちらこそ、よろしく頼む。私は、神聖ウリュクス帝国第1皇女である、セリス・フォン・ブランシュという者だ。」「そうでしたか。では、早速ですが、本題に入りましょう。」
「そうだな。」
「まず初めに、神聖ウリュクス帝国と、我が連邦は友好関係を築きたいと考えています。」
「そうか。だが、貴様らには、我が神聖ウリュクス帝国と敵対する意思はないのだがな。」
「まあ、そうでしょうね。」
「では、我々は、そろそろ帰らせてもらうことにしよう。」
「いえ、まだ話は終わっておりません。」
「どういうことだ?」
「はい、神聖ウリュクス帝国は、現在、強大な軍事力を持っています。そして、その軍事力は、今現在も増強され続けていて、このまま放置しておくことはできません。」
「そんなことわかっている。」
「なので、我々連邦は、神聖ウリュクス帝国と不可侵条約を結びたいと思います。」「ふむ・・・」
「いかがでしょうか?」
「少し考えさせてくれ。」
「わかりました。」
「それでは、また後日、連絡する。」
「わかりました。」
こうして、神聖ウリュクス帝国と、べレジ=プルト=リバイニア連邦の間で、平和条約が締結された。その内容は、以下のとおりだ。
1、両国間の争いの禁止 2、両国の国境の警備の強化 3、相互の技術提供 4、貿易の拡大 5、両国の友好的な関係の維持 6、その他、必要と思われる事項 神聖ウリュクス帝国と、べレジ=プルト=リバイア
神聖ウリュクス帝国 聖都パラデラン
神聖ウリュクス帝国の将軍である、ガドリア・フォン・マルネス侯爵は、神聖ウリュクス帝国の皇帝である、ウリュクス・フォン・ブランシュに報告を行った。
「それではまず我が神聖帝国軍の我が神聖帝国軍の状況についてご説明します。」
「ああ、頼む。」
「はい、現在の神聖帝国軍の総兵力は、およそ20万となっております。」
「ほう、ずいぶんと増えたものだな。」
「はい、さらに、神聖帝国軍の精鋭部隊である白銀の騎士団が2万人ほど存在し、この部隊は、非常に強力です。」
「なるほどな。」
「しかし、バルダー帝国軍と比べるとやはり見劣りしてしまいます。」
「確かにそうだが、それでも十分に強いぞ。」
「ありがとうございます。」
「それで、お前からは何かあるのか?」
「はい、私からは特にありません。」
「そうか、なら下がっていいぞ。」
「はっ!」
世界は一時の平和に包まれた。
第三次オモロー王国 首都テレオロ
オモロー王国は、大陸北部に浮かぶテレオロ島を中心とした島国である。島国ではあるが国土は大きく、さらに大陸にも領土を有しており、世界でも有数の実力を持った国である。オモロー王国は現存する世界最古の国であるウルラン王国と同じ時期に成立したと考えられているが、異国による侵攻を受け、一時王朝化中断したこともあり現在のオモロー王国は800年前にオモロー王国の王族が二回目の王政復古してできた国だ。
オモロー王国 首都テレオロにある王城では重臣会議が行われていた。
「今回の議題は我が国の外交方針についてだ。」
「はい、まず最初に、我が国は現在、周辺諸国からの脅威に晒されています。なので、まずは、その脅威を取り除くために軍事強化を行うべきだと思います。」
「そうだな。」
「はい、私は隣国のイウア公国へ宣戦布告し、大陸領土を拡張するべきだ。」
「賛成です!」
「反対です!」
「なぜですか!?」
「それは、我が国の領土が奪われる可能性があるからだ!」
「だからと言って、このまま手をこまねいているつもりなのか!」
「・・・」
「沈黙は肯定とみなしますよ。」
「・・・」
「では、多数決をとります。」
「・・・」
「では、賛成の方は挙手願います。」
「・・・」
「賛成の方は0人ですね。」
「では、重臣会議を終わります。」
このあと、重臣会議で決定された方針に基づき、軍拡は阻止された。
神聖ウリュクス帝国 聖都パランデラ 神聖ウリュクス帝国聖皇帝である、ウリュクス・フォン・ブランシュは執務室で書類仕事をしていた。
コンッ!コンッ!「失礼します。」
「どうした?」
「はい、実は、我が神聖ウリュクス帝国に、べレジ=プルト=リバイア連邦からの使者が到着しました。」
「そうか、わかった。すぐに向かう。」
「はい。」
神聖ウリュクス帝国とべレジ=プルト=リバイア連邦の間で、ある密約が決まった。その内容は、以下のとおりだ。
1、相互不可侵 2、両国の国境の警備の強化 3、相互の技術提供 4、貿易の拡大 5、両国の友好6,バルダー帝国へのけん制で協力すること 神聖ウリュクス帝国とべレジ=プルト=リバイア連邦は同盟を結んだ。これにより、神聖ウリュクス帝国とべレジ=プルト=リバイア連邦は、バルダー帝国と対立することとなった。
神聖ウリュクス帝国とべレジ=プルト=リバイア連邦は、ともに、強大な軍事力を持っている。そのため、神聖ウリュクス帝国は、べレジ=プルト=リバイア連邦に、技術を提供することにした。
神聖ウリュクス帝国は、べレジ=プルト=リバイア連邦に、魔法銃を提供した。そして、神聖ウリュクス帝国の海軍は、大砲の技術を譲渡することにした。
神聖ウリュクス帝国とべレジ=プルト=リバイア連邦の両国は、互いに互いの国を攻めることなく、自国を守ることを最優先として行動すると誓った。
神聖ウリュクス帝国とべレジ=プルト=リバイア連邦の間に結ばれた条約の内容は以下の通りだ。
1、相互に、武力を行使することを禁止する。また、武力を行使して相手国に攻め込む場合、事前に相手の許可を得なければならない。
2、両国間の争いが起こった場合は、当事者間のみで解決する。第三者が介入することは許されない。
3、両国の国民同士が争うことは禁止とする。もし、違反した場合、罰せられる。
4、他国からの侵略があった場合には、協力して対処にあたる。
バルダー帝国 帝都レイドラン 帝国議会 議事堂
このひ、皇帝ヴィヌマースよりバルダー帝国国民に対しバルダー帝国憲法典の発布が宣言された
バルダー帝国憲法典の全文は以下のとおりである。
全文
我がバルダー帝国は皇帝陛下の名のもとに発展、平和を享受してきた。我が国はこの国体をより確固たるものにし、世界の平和の守護者として動く。
第一章皇帝
第一条 皇帝はバルダー帝国の国家元首でありバルダー帝国総軍の統帥する。
第二条 皇位は世襲のものであり、初代皇帝バルダーマ帝の子孫の男子がこれを世襲する。
第三条 皇位は、直系の長子が継承することができる。ただし、継承者が2人以上いる場合は、年齢が若い方が優先される。
第四条 皇族 皇帝及びその家族は、以下の通りである。
第五条 これまで皇帝、帝室について提起した1から4条までの条文は憲法改正の対象にはなりえない
第二章 国民権利及び義務
第六条 国民の三大義務は次のとおりである。
1、教育の義務 2、労働の義務 3、納税の義務
第七条 国民の基本的人権は、最大限尊重されねばならない。
第九条 この憲法は、すべての国民に適用されるものとする。
第十条 この憲法は、法の下に平等な立場にある個人に対してのみ効力を有する。
これ以降も帝国憲法典は続くが省略する
バルダー帝国 帝都レイドラン 帝国議会 議事堂
「ここに、新たなるバルダー帝国憲法典を制定することを宣言いたします。」
「「「「「うぉー!」」」」」
「「「「「万歳!万歳!万歳!」」」」」」
「「「「「「「おめでとうございます!」」
「「お幸せに!」」
「「素晴らしい!」」
「「流石です!皇帝陛下」」
「「帝国万歳!」」
「「バルダー帝国ばんざーい」」
「「帝国よ永遠なれ」」「「帝国バンザイ!」」
帝国議会では、新憲法の制定を祝う声や、これからの帝国の発展を願う声などが飛び交っていた。そんな中、一人の議員がある提案をした。
「皇帝陛下、これで我が国はますますの平和と発展を享受することができましょう」
「そうだな」
「そこでなのですが、この国の平和と繁栄を祈願して、パレードをすべきと思います」
「それは良い案だ」
「そうですね」
「私も良いと思う」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
「賛成します」
神聖ウリュクス帝国はオモロー王国との戦争に入った。しかし、神聖ウリュクス帝国はオモロー王国の突然の宣戦布告に対抗できず、神聖ウリュクス帝国は北部のガデス地方を消失した。神聖帝国軍の弱体化を蜂起の好機と見た各地の独立派が一斉に蜂起し神聖ウリュクス帝国は外国と国内両方で戦争が起きてしまった。
神聖ウリュクス帝国 聖都パランデラ 神聖帝城
今ここでは神聖ウリュクス帝国神聖皇帝ウリュクス・フォン・ブランシュを含めた、国の最高指揮権を持つ者たちが今の戦争の状況と今後の戦略について会議していた。
「現在、我が国はオモロー王国という外敵と戦っております。我が国の領土は北部にありますが、南部でも反乱が起こっています。そのため、南部の鎮圧にも兵を割かなければいけません。また、他国が攻めてくる可能性も否定できません。そのため、今は一刻も早くこの戦争を終わらせる必要があります。そのため、まずは、西部の反乱を鎮圧したいと思っています。また、他国の牽制のために、べレジ=プルト=リバイア連邦との同盟関係を強化するべきだと考えていま す。以上が、私の考えになります。他に何かある方は?」
「オモロー王国との戦線は膠着しており、敵味方双方前線を動かせずにいます。そのため、我が国としてはこのまま戦況を維持し、敵の戦力が消耗するのを待つべきと考えています。」
「私はべレジ=プルト=リバイア連邦との関係強化に賛成です。現在の我が国とべレジ=プルト=リバイア連邦の国力差を考えれば、こちらから仕掛けるべきではありません。」
「私はべレジ=プルト=リバイア連邦との関係強化には反対です。そもそも、あの国は信用できるのでしょうか?我々が手に入れた魔法銃は、あの国が提供したものです。それに、あの国は他の国に比べて軍事力が高いようです。我が国は魔法銃のおかげで、多少は強くなったとはいえ、まだまだ弱い国です。そんな国と関係を強化して、大丈夫なのでしょうか?」
「陛下、皆々様大変です!!!!」「どうしたのだ!?」
「バルダー帝国が・・・バルダー帝国が我が国に宣戦布告してきました!!!!!」
「なっ、なんだって!!いったいなぜだ!?」
「分かりません。ただ、バルダー帝国の宰相よりこのような手紙が届きました。」
そこにはこう書かれていた。
『拝啓 神聖皇帝陛下ならびに、神聖皇帝陛下の忠実なる臣下の方々へ この度、貴国に宣戦布告させていただいたのは我が国の防衛のため、。しかし、我々はそのようなことはしていないし、むしろそちらから攻撃されたと言い掛かりをつけられ、我が国は怒り心頭です。
つきましては、その責任として賠償金を支払っていただきたい。もし、払えない場合は、バルダー帝国全軍をもって攻め入ることになります。
敬具 バルダー帝国宰相』
「なるほどな」
「どういたしますか?」
「もちろん戦うしかないだろう」
「しかし、バルダー帝国が相手では・・・」
「だが、やらねばならぬだろう。」
「「はい」」
神聖ウリュクス帝国聖都パランデラ 神聖帝城 神聖帝城は大混乱に陥っていた。そこに一人の男が入ってきた。
「失礼します。神聖皇帝陛下に報告したいことがございます。」
「誰だね君は」
「申し遅れました。私は神聖皇帝陛下に忠誠を誓うものなり」
「それで、用件はなんなのだ」
「はい。先程バルダー帝国からの宣戦布告がありました。」
「なに!それは本当なのか!」
「はい。」
「そうか、分かった。下がってよいぞ」
「はい。」
そう言って男は出ていった。
「皆のもの聞いたか!」
「「はい」」
「我らはこれから戦わねばならない・・・今まで戦ってきた相手とは比べ物にならない敵だ」
「「はい」」「だからこそ、我はこの国の民の命と財産を守るために、これからも戦い抜くことをここに宣言する。だから、諸君らも私と共に最後まで諦めずに戦ってくれ」
「「はい」」
バルダー帝国との前線は大陸中部に形成された。そして、ここ神聖ウリュクス帝国聖都パランデラでは、神聖皇帝ウリュクス・フォン・ウリュクスによる演説が行われていた。
「諸君、私はこの神聖ウリュクス帝国神聖皇帝ウリュクスである。今日、私がこうして再び姿を現したのには理由がある。それは、我が国民よ、安心して欲しいからだ。我が国は今、戦争状態にある。しかし、心配はいらない。なぜなら、私たちには神がついているから、そうですよね、神聖皇帝ウリュクス陛下」
「そうだとも、我が神聖ウリュクス帝国は絶対に負けない」
「そうだー」
「そうだそうだ」
「「「「「「神聖ウリュクス帝国万歳」」
「「神聖帝国ばんざーい」」
「「神聖皇帝陛下よ永遠なれ」」
「「神聖帝国バンザイ」」
「「神聖帝国よ永遠なれ」」
「「神聖帝国ばんざーい」」
神聖帝国はバルダー帝国との戦争に突入した。神聖帝国は、バルダー帝国の侵攻を食い止めるため、神聖帝城のある聖都パランデラの周辺都市のシャンバラ市及び国境近くのレイダー市防衛陣形を敷いた。バルダー帝国と神聖ウリュクス帝国との最前線のシャンバラ市 前線 第187大隊「隊長、敵影確認しました。」
「よし、全員配置に着いたな?」
「はい」
「撃てぇ」
ドカーーン ドーン バーン
「第2射構え」
「撃てぇ」
ドン ドーン
「ダメです敵への効果認めず」
「敵の砲撃だーーーーー」
神聖ウリュクス帝国軍の抵抗もバルダー帝国軍の猛攻にまともに対抗できずに敗走、撤退が相次いだ
「クソッ、ここまでか、総員撤退するぞ」
神聖ウリュクス帝国聖都パランデラ 神聖帝城
「陛下、レイダー市、シャンバラ市が陥落しました・・」
「なに!どういうことだ!?なぜだ?どうしてだ?」
「分かりません・・・ただ、現在生き残った兵はグーダ―市で聖都防衛の最終防衛線を構築しております
。」
「・・・つまりそこを突破されれば、バルダー帝国がここ聖都パランデラに到達してしまうわけか・・・ 。」
「はい・・・」
「分かった。すぐにその最終防衛線に聖都防衛軍を送るのだ」
「はい、承知致しました」
神聖ウリュクス帝国神聖皇帝の執務室
「失礼します。神聖皇帝陛下に報告したいことがございます。」
「どうしたのだね?」
「はい、つい先程、神聖皇帝陛下へ聖都防衛軍から連絡が入りました。それによりますと、現在、聖都防衛軍のいるグーダ―戦線はバルダー帝国軍の攻勢を受け、戦線が崩壊しているようです。また、それに伴い、陛下の御身に危険が迫っているとのことです。そのため、至急避難していただけるとの事です。つきましては、我々も陛下の護衛のため、移動したいと思います。」
「だめだ、この国の神聖皇帝である私が聖都を離れるわけにはいかない」
「承知いたしました」その1時間後グーダ―陥落の知らせが聖都パランデラの神聖帝国軍最高司令部に届いた。
グーダ―陥落の7日後ついにバルダー帝国軍は、神聖ウリュクス帝国の首都である聖都パランデラに到着した。
「なんだこれは、まるでゴーストタウンではないか。それにしても酷い臭いだ。これがあの美しかった聖都なのか・・・」バルダー帝国大将イマタ公がそう漏らした
神聖ウリュクス帝国首都聖都パランデラは今や見る影もなく荒廃しきっていた。
そしてバルダー帝国軍と神聖ウリュクス帝国軍とのパランデラ攻防戦が始まった。
神聖ウリュクス帝国首都聖都パランデラ 神聖皇帝神聖帝城
「神聖皇帝陛下、お逃げください。もうここは持ちそうにありませぬ」
「そうはいかん。私は神聖皇帝だ。逃げることは許されない」
「しかし・・・」
「早く行け」
「・・・はい」
神聖皇帝は最後の瞬間まで皇帝として振る舞い続けた。しかし、神聖皇帝も既に限界を迎えていた。そして、遂にその時が来た
「神聖皇帝陛下万歳」
ドカーン バーン ドーン ドサッ パランデラ攻防戦は初戦からバルダー帝国軍が神聖ウリュクス帝国軍を圧倒していた。パランデラ攻防戦の最初の戦闘が起こった2日後にはバルダー帝国軍が聖都パランデラの50パーセントを占領し、神聖帝城の4キロ近くまで迫っていた
神聖ウリュクス帝国首都聖都パランデラ 神聖ウリュクス帝国軍がは前線
での戦闘を行っている間にも、後方では着々とバルダー帝国が侵攻を進めていた
。
神聖ウリュクス帝国神聖皇帝の執務室
「神聖皇帝陛下、敵部隊が前線を突破し、こちらに向かっております」
「そうか、ならば迎え撃つだけだ」
「そうですね」
「全軍出撃」
「はい」
神聖帝国軍は聖都パランデラにてバルダー帝国との最後の戦いに臨む。
神聖ウリュクス帝国首都聖都パランデラ前「撃てぇー」
ドンドンドンドンドン ドカーーン ドーンドーン ドドーンドーンドーン
「神聖皇帝陛下ばんざーい」
聖都パランデラ攻防戦はバルダー帝国軍の勝利に終わった。
神聖ウリュクス帝国首都聖都パランデラ 神聖皇帝の執務室
「陛下!!バルダー帝国が講和条約の締結を打診して決ました」
「なに!本当か!?」
「はい、間違いありません」
「分かった。すぐに会議を行うぞ」
神聖ウリュクス帝国神聖皇帝の執務室に神聖皇帝とその側近の将軍達が集まった
「皆のもの集まってくれてありがとう。今回集まってもらったのは他でもない。バルダー帝国と講和条約を結ぶことについてだ。」
「神聖皇帝陛下、それは誠ですか?」
「ああ、間違いない」
「神聖皇帝陛下、私は反対です」
「なぜだ?」
「なぜなら、バルダー帝国の戦力は圧倒的です。そんな国を相手に講和なんて結ぶ必要はありません。」
「私も同意見です」
「・・・」
「確かにお前たちの言うことも一理ある。だが、バルダー帝国とは対等な関係を築きたいのだ。それが私の願いだ」
「わかりました。神聖皇帝陛下の御心のままに従います」
神聖皇帝はバルダー帝国との講和条約を結んだ。その内容は、神聖ウリュクス帝国の領土のうちグーダー以北の領土を放棄すること、賠償金を5億ゴールド支払うこと、強制改宗を禁止すること、以上の3つだった。
神聖ウリュクス帝国首都聖都パランデラ 神聖皇帝の執務室
「神聖皇帝陛下、バルダー帝国より使者達が到着しました」
「分かった。すぐに向かうとしよう」
「かしこまりました」
「おお、貴殿らがバルダー帝国の代表者達か」
「はい、その通りです。」
バルダー帝国の代表団が到着し、講和条約の内容をまとめた
「では、早速条約の確認に入ろう。まずは、グーダー以北の土地の放棄についてだ。これは問題ないか?」
「はい、問題ございません」「次に、賠償金の件だ。これはどうなっている?」
「はい、グーダー以南の土地については神聖ウリュクス帝国に残留。その対価として、神聖ウリュクス帝国には10億ゴールドをお支払い致します。
「うむ、わかった。これで確認は終わりだ。」
「では、失礼します」
こうして神聖ウリュクス帝国とバルダー帝国との長い戦争は終わった 神聖ウリュクス帝国首都聖都パランデラ 神聖皇帝の執務室
「神聖皇帝陛下、バルダー帝国との条約締結おめでとうございます」
「うむ、ありがとう。ところで、神聖ウリュクス帝国はこれからどのようになっていくと思うかね?」
「はい、私はこのままでいいと思います」
「そうか、お前たちがそう思うならそれで良いだろう」
翌日、神聖皇帝は国名を神聖ウリュクス帝国からウリュクス王国とし、君主号も神聖皇帝から聖王へと変更した。
神聖ウリュクス帝国改めウリュクス王国聖都パランデラ
「聖王陛下、ウリュクス王国の全都市に魔導放送が届きました」
「そうか、ならば直ぐに放送する準備をしてくれ」
「承知しました」
「国民の皆様、こんにちは。私がウリュクス王国の聖王です。突然のことで驚かれた方も多いでしょうが、どうか落ち着いて聞いてください。現在、我がウリュクス王国は隣国であるバルダー帝国と講和条約を結びました。そのため、我が国は平和になりました。また、これにより、我がウリュクス王国では奴隷制度が廃止されることになりました。奴隷の皆様には申し訳ないのですが、これも世界の秩序を守るためです。どうか理解して頂けるとありがたいです。」
「聖王様ばんざーい」
「聖王様ばんざーい」
聖王はその後も演説を続けた
「聖王様ばんざーい」
「聖王様ばんざーい」
「皆さんありがとう。それでは最後に、この放送を聴いている全ての人にお願いしたいことがあります。どうか差別や偏見を持たず、仲良く暮らしてください。以上をもって私の話を終えさせていただきます」
こうして聖王の話は終わりを迎えた。
バルダー帝国帝都レイドラン 帝城皇帝大源の間
「皇帝陛下、聖王が演説を行ったようです」
「ああ、聴いたぞ」
「聖王に何か言いたいことはありますか?」
「いや特に無い」
「そうですか」
「それよりも早く戦争を終わらせろ」
「わかりました」
神聖ウリュクス帝国の首都にて行われた演説はウリュクス王国全土に響き渡った。そして、ウリュクス王国は新たな一歩を踏み出した。
神聖ウリュクス帝国改めウリュクス王国の誕生である
一方そのころべレジ=プルト=リバイア連邦は崩壊した
べレジ=プルト=リバイア連邦国内の分断が深まり、経済も傾きかけていたため、まず連邦を構成していたプルト王国が連邦を脱退し、旧プルト王国の地域は再び独立を果たした。
その後、大陸部のべレジ連邦内でも対立が激化し、ついに内戦となった。べレジ連邦南部のベレンニア市を拠点とし、ベレンニア民族王党派戦線を自称し、ブルノン王国を建国した。
ベレンニア民族王党派戦線あらためブルノン王国軍は瞬く間にべレジ=プルト=リバイア連邦首都オレングを陥落させた。
その後、ブルノン王国はベレジ=プルト=リバイア連邦領を飲み込んでいった。その後も連邦軍はべレジ地方を放棄し、ヒーノ市を戦時首都とし抗戦をつづけていたが、ついにヒーノが陥落し、滅亡した。
神聖ウリュクス帝国の首都にて行われた演説により、ウリュクス王国が誕生した後、神聖ウリュクス帝国とバルダー帝国との間には平和条約が結ばれ、神聖ウリュクス帝国とバルダー帝国との間で戦争は終結した。
神聖ウリュクス帝国とバルダー帝国との間では講和条約が結ばれた。その内容は、神聖ウリュクス帝国の領土のうちグーダー以北の土地を放棄すること、賠償金を5億ゴールド支払うこと、強制改宗を禁止すること、以上の3つだった。
神聖ウリュクス帝国改めウリュクス王国とバルダー帝国との講和が成立したことによって、大陸西部で戦乱が起こっていたが、それも落ち着きを取り戻していった。
神聖ウリュクス帝国とバルダー帝国の講和条約締結から2年後、神聖ウリュクス帝国とバルダー帝国の間で再び緊張が高まってきた。
神聖ウリュクス帝国とバルダー帝国の国境地帯にて
「聖王陛下、まもなくバルダー帝国軍が国境を突破してくる模様です」
「そうか、遂にこの時が来たか」
「はい」
「それでは作戦通り、迎撃の準備をするぞ」
「はっ」
その頃、バルダー帝国側では・・・
「聖王陛下、間もなく国境を突破することが出来ます」
「そうか、わかった。これより全軍突撃せよ」
「了解」
こうして、両軍による戦闘が始まった。最初は互角の戦いをしていたが、やがて戦況が悪化していき、バルダー帝国側の軍が押され始めた。
「援軍のようです」
「くそ、まだ援軍がいたのか」
「どうしますか?」
「どうするもこうするも無いだろう。とにかく今すぐ撤退だ」「承知しました」しかし、時すでに遅し。
既に逃げ道は無くなっていた。
「聖王陛下、敵軍がもうそこまで迫っています」
「そうか、仕方がない。我々も最後の手段を使うしかないな」
「はい」
「それでは全軍、詠唱を始めよ」
「はい」
神聖ウリュクス帝国改めウリュクス王国とバルダー帝国との講和条約が締結されたことにより、大陸西部で戦火が広がっていった。その戦火は次第に拡大し、ついには大陸中央部まで及び、大戦へと発展していった。
大戦が始まってから約1年が経過しようとしていたある日、神聖ウリュクス帝国の首都聖都パランデラにある大聖堂の祭壇には一人の少年の姿があった。
「我ここに汝らに問う。神の名のもとに正義を貫く覚悟はあるか?悪を憎み、弱き者を助ける強い心を持っているか?」
「「「「「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」
「ならば、汝らの力を我らに貸せ」
「「「「「「「「「「はいっ」」」」」」」」」」
「それでは、聖戦を始める」
「「「おおーーーーーー」」」
こうして、神聖ウリュクス帝国改めウリュクス王国とバルダー帝国との戦いは最終局面を迎えた。
バルダー帝国 副都アルカンブラ「皇帝陛下、大変です」
「何事か?」
「敵が突然、降伏して来ました」
「なんだと」
「どうやら、先程の演説を聞いた国民が続々と集まってきて、そのまま降伏したそうです」
「そうか、なら戦争は終わりか」
「はい」
「そういえば、例のものはどうなったのだ?」
「はい、それは無事に完成し、現在建設中とのことです」
「そうか、ならば戦争が終わったことを祝おうではないか」
「はい、そうですね」
一方そのころ、神聖ウリュクス帝国の首都聖都パランデラでは、新たな国の誕生を祝う祭りが開かれていた。
神聖ウリュクス帝国改めウリュクス王国の首都である聖都パランデラにて、新たな国の建国を記念する式典が行われていた。
「それでは、これより新国王様よりお言葉を賜りたいと思います。皆さま、盛大なる拍手をお願いいたします。」
株式会社