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第3話 略奪者と略奪されしモノ達

平和な中にやってくるモノ達…よく目にする光景のお話です…


※普段の行動から推測して作った性格設定です。

お話を面白くするために誇張している部分もあります、どうぞご容赦くださいm(__)m


・11/21加筆修正しました

「まあ、技の効き具合がこの巨獣の巣窟では何故か大きく揺らぎますからねー。」


そうゼットンに慰められながらクニへ戻っている最中ずっとゼットンの言葉が耳元でリフレインしていた。すると突然と樹上から身軽そうに降りてくる影が二体。

ブラッククローバと蒼影である。


「敵襲です!」「敵は三体、各自強力なモノ達です」


「まーたきやがったか盗人めぇぇぇぇ!」


にゃっちが爪でひっかくまねをしながらなぜか山羊のようにそう叫ぶ。

ゼットンは揺らめきながらまた巨大化する。


「…僕は一足先に向かいます!」


巨体と裏腹にすさまじいスピードで疾走していく。


「戦えるモノは後に続くです!」


めーしゅの言葉に反応し、


戦霊兵装(スピリットアームド)破壊の女王(マハー・カーリー)!」「戦霊兵装(スピリットアームド)海龍王(リヴァイアサン)!」


toraとア=ナーゴが、それぞれ剣を携えた大柄な女性と、

巨大な海龍というべき姿に変貌しゼットンの後を追う。


「オッスオッス!エナジーもらってわりぃーなぁー!」


「んぐんぐ(…美味しい♪)」


「さあ、面倒な奴らが来る前にクニに帰るわよ!」


「そうはさせないぞ!いつも無抵抗なモノばかりねらって本当の悪い怪獣達め!」


三体の先に回り込みクニへの入り口を背にしてゼットンが言う。


「くっ!出たわねおじゃまかいじゅう!」


「弱いモノいじめの略奪はゆるさないですよー!」


一瞬たじろぎながらも、不適な笑みを浮かべて先の彼女が言う。


「いくら貴様が強くても一人で我々とやりあえると思うか?」


「オレがオマエに弱くなる魔法かけてやる!ヒャヒャ~!」


何やら奇妙な黒いモヤが飛んできてゼットンにまとわりつく。


「んぐんぐ♪(これならボクとイイ勝負…♪)」


ゼットンは三体を見据え、威嚇しながら思案する。

(今でも一体ずつなら問題ないけど、連携された場合と…それよりも逃げられてしまうことをどうしますか…)


姿が揺らめきながら三体とも戦霊兵装していく…。

その時上空よりうなりを上げ振り下ろされる刃!

鈍い金属音をあげて先の女性が受け止める。


「…くっ!tora!おまえも来たか!」


その一瞬でしゅるりと何かが先ほどのガラの悪い雪だるまを締め上げる!


「オ!オ…ッス…く、そ…」


(toraさんア=ナーゴさんナイスです!)

ニコッと笑みを浮かべ恐竜王が言う。


「さあ、正々堂々力比べですよー!」


歯ぎしりして小刻みに戦慄きながら逆上し、首を傾げたツインテールの少女が飛びかかってきた。


「だ、駄目だグロゥン!デバフの魔法がかかっていても正攻法では…!」


瞬時に手から毛髪が生え次の瞬間鋭い刃に変わり竜巻のように回転しながらゼットンに襲いかかる。


「んぐぐ!!(略奪(ルーティング)旋風(フウァールウィンド)(スラッシュ))!」


ゼットンは避ける素振りも見せず身体にエナジーをみなぎらせて仁王立ちしている。


連続的な斬りつけ音と衝撃が辺りに響きわたる。


「おおお…!けっこう効きましたよー!」


驚いたようにゼットンはそう言い、続けざまに


「では僕も!右腕に宿れジャックジャンパー!…いきます!(バインド)(クラッシュ)(ブロウ)!」


身体を後方に反転させながら右腕を大きく後ろまで振りかぶり、すさまじい勢いで放り投げるように打ち出す!

重量物が強烈に衝突して何かが無理矢理引き裂かれるような激しい音が鳴り響く!


「ん…ん…んぐぐ…(ち…ち…くしょう…)」


無惨にも半身をえぐり取られ瀕死の彼女はゆっくりとその場に崩れ落ちる。


「ぐ、が、は、はなせコノヤロー!」


「では望み通り離れてやる!挽き裂く(グラインディング)竜巻(トルネード)!」


ア=ナーゴは体中の鱗を逆立てた上で締め付けたまま高速回転し天へ駆け昇る。


「ぐぎゃぎゃぎゃ~!」


天へかけ昇りし龍の眼下には粉々に削られた氷の山が出来上がっていた。


「リアルかき氷一丁!」


そう言った瞬間巨大かき氷は吹き飛ぶように消え去った。

鈍い金属音が響きわたり、こちらは互角の攻防を繰り広げている。

狼の毛皮を被ったような姿に変貌した彼女は、両の爪を駆使して破壊神と化したtoraの剣と渡り合っている。


左右の爪で両の剣戟を防ぎ、一瞬憎らしい笑みを浮かべ叫ぶ。


「…ふはぁ!くらえ!略奪(ルーティング)狼咬撃(ウルフバインド)!」


狼の頭部が大きく口を開けtoraの喉笛を襲う!

衝突の瞬間、耳を貫く鋭い金属音と共に衝撃で粉塵が舞う!

視界が晴れてくると、なんとカーリーと化したtoraよりもう一対の腕が生え狼女のバインドを受け止めていた。


「あ、あぐぅ…くっ!」


思わず飛び退く彼女を見据え急激にエナジーを高めながら激しく戦いの舞を踊る。


「はあぁ…!くらえ死の舞踊!千手(サウザンドスワ)剣戟(ッシュバックラー)!」


回避不能な無数の剣戟が彼女の頭上より降りかかる!


「ん、ぐ、ぐ…!(ア、アヤ、β…!)」


先ほどのツインテール少女が半身のまま、声なき声でそう叫んだかと思った瞬間、雷鳴のごとき轟音が辺りにこだまする。

完全に死を覚悟していたアヤ=βと呼ばれた狼女が、閉じていた目を恐る恐る開けると…


(い、生きているの…ワタシ?)


「出来れば女性は殺めたくはないので無力化させてもらいました」


そこには兵装が完全に解かれ全裸になったアヤ=βと呼ばれし女性の姿が。

音もなくすぅっと彼女の喉元に剣がひたりと押し当てられる。


「…これ以上うちのクニの皆に手を出すなら女性でも次はない…」


交感優位時の冷たい汗が体中から吹き出る。

鳥肌が立ち、尾を完全に巻き込んで恐怖の余り体中全力で震えていた。

toraの後方で横たわっていた少女も、こちらを見た直後吹き飛ぶようにその場から消え去ってしまった。


「…グロゥン!シェイブドアイスはすでに、か…くっ!もはや…これまでか…!」


ゆっくりと恐竜王(ゼットン)海龍王(ア=ナーゴ)も歩み寄ってきた。


「…うちは平和主義で、無抵抗主義ではないんですよー。今まで犠牲になったみんなの分、キミが奪ったみんなのエナジー…ボクが喰らい尽くしてあげますよー」


完全に戦意喪失し、目を伏せその場に力無く項垂れる。


「…まだそのモノを失うわけには行かぬ故、失礼するぞ…」


上空より声が聞こえたかと思ったらすぅっとアヤ=βの姿が透けていく…!


「…は、はぁ!こんなオイシイ事、やめられないさ!ふはは!」


減らず口の捨て台詞を残しアヤ=βも消え去った。


「…逃げられたか…しかもまだコリていないのかアイツ!」


「ゼットン様すみません、詰めが甘かったです!」


「みんなを守れたし良いですよー!」


そう会話している内に残りのメンバーも追いついてきた。


「みんなをまとめて輸送してきました。ん?ゼットンさんかなり消耗していますね…ちょっとお待ちください…」


アネラスと呼ばれるウシのようなモノはそう言うとゼットンへ近寄り、一息吸い込んで光を放ったと思ったら甲冑を纏った女性騎士へ変貌する。

甲高くも優しい音が響き、アネラスの手掌から何やらエネルギーがふわふわと静かにゼットンに降りかかっていく。


「…これで良いです。…お二人はどうです?」


toraもア=ナーゴも同様に施術を受ける。


「ウシさんアリがとー♪もう体力全快ですよー!」


先ほどまであった身体中の生々しい裂傷も嘘のように消え、エナジーが漲っているのが傍目にも感じ取れる。


「みなさんのお役に立てれば私はそれで良いですのでw」


「良きです!今夜は祝杯と共に最高の水炊きを用意します笑」


「やった!めーしゅの水炊きキター!」


あちらこちらから歓声が上がりだしました。

これはよほどのごちそうなのでしょうね♪


…た、たしかに味もボリュームも最高でした!

最後に出てきた粉を打って細くのばしたモノを、特殊な香ばしい様々な材料をすりあわせた粉を入れた残り汁で煮込んだ「カレイ=ウ=ドン」と呼ばれた食べ物は本当に絶品でした♪


心もお腹も幸せになり平和に夢路につくモノが出てくる中、一人クニの外れへ向かう女性の姿が。

何かが気になりヤチホコはその女性の後をこっそりついていった。


歩く傍らに仕事に勤しむ姿が見えた。アリアントンである。


「私はこの時間しか働けませんので今こうして頑張っています」


見るからに強そうではあるがもっぱら農業に勤しんでる模様。


「そうですね…戦いに疎いので体の使い方が上手くないのかもしれないですw」


研鑽を積めば凄く強くなれるとヤチホコは感じた。


その反対側でも何やら忙しく働いてる影が。


「これこの感じに修理でよかったですかね?」


「おぉ!ではさっそく依頼主に明日の朝に伝えておく。ありがとう!」


しげとゆーじは皆に頼まれたものをせっせと修理していたようである。


さらに歩を進めると話し声が聞こえて来た。


「…今日…ゼットンさんがきっちり敵をとってくれました…ですので、安心してください笑」


跪き祈りを捧げるその姿にしばらく声をかけられずに見つめていた。


「…ヤチホコさん…すみません、めでたい日に…」


そう言って振り向いた姿はとても優しげでいて可憐、それでいて内に力強さを秘めた野生の薔薇のような方であった。

よく見るとその聡明さを感じる眼差しからきらめく美しい滴を頬に伝わせていた。

(…どこかで見たような…?こんなすてきで魅力的な女性、一度見たら一生忘れる訳無いんだけどなぁ?)

何やら女性の方が感づいて頬の滴を拭い微笑みながら話す。


「…めーしゅです、ヤチホコさん笑」


目を白黒させあまりの驚きに言葉も失いその場で混乱しているヤチホコを見てくすっと笑いながら言葉を続ける。


「昼間はみんなの為にエナジーを全て使いバフの魔法をかけています、それに力の大半を持っていかれるので子供の姿になってしまっているのです笑」


まさにこのクニの民の母…女王たるその気品と優しさに満ちた眼差しに、ヤチホコは完全に舞い上がって見取れて動けなくなってしまった。

そぉっと頭上に白く柔らかそうな手が伸びてきて優しく撫でられる。

はっと我に返り気になることを聞いてみる。


「…もしかして…この方達は…?」


少し憂いげな表情で目を伏せるも、こちらに向きなおり頷きながら言う。


「そう。皆過去に彼らの略奪行為に散りし…同胞の亡骸の…祠です」


「…まこち…ぱるえぼ…そしてYuA…」


「私たちは永い刻、幾千回もこのクニにて生まれては天に還りそして再びこのクニに戻ってきております…でも…このクニの外で彼らの略奪に遭い命を落としたモノは…再びこの地に生まれ変わることが出来ないのです…身体を残したままそのモノの存在自体とも言うべき…意識が、心が戻らないのです…!」


一瞬唇をかみしめ険しい表情を浮かべたが、すぐに、少しだけ切なそうにではあるが微笑みを浮かべて言う。


「…でも…それでも…今日、敵をとれたので良きです笑」


その表情を魅せられたら…年上のお姉さまですが…ついきゅっと抱きしめて頭を撫でてしまいました。


「ふふ…ヤチホコさん感謝です笑」


立ち上がっためーしゅさんは、少しかがんで優しく僕の額に唇を押し当てました。


「さ、みんなの所へ帰って、宴の続き、行きます笑」


…しばらく刺激が強すぎてその場から動けなかったのはナイショにしておきます(笑)


頬を赤らめてヤチホコはそう思っていた。


そんなヤチホコの手をとり反対に優しくエスコートしてくれながら、一度だけ振り向き祠に目をやり、晴れやかな表情で戻っていくめーしゅを見てヤチホコはさらに思う。


(本当にすてきな女性だなぁ… )


きっとヲノコなら誰もがそう感じるであろう魅力をめーしゅは携えていた。


(…これが一国一城の女王となるモノの姿ですかぁ~♪)


その後僕が眠った後も何事もなく夜更けまで楽しい宴は続いたそうです。

引退された方をこのように表現してみましたm(__)m

無人の蟻塚を主たる魂の還らぬ身体として、です(^-^;

それと、めーしゅは自分たちの生まれ変わりについて自覚があるようですね…?

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