第2話 巨獣の巣窟
毎週日曜日の定番ですね♪
地底世界ですので今一つピンと来ませんが、今日も外は天気が良さそうです。
「皆さん、水やりはお互いにしあいましょう!」
アズがそう声をかけて「不思議な豌豆」と呼ばれる植物に水をあげていく。
終わると一斉にみんな外に出ていく。
なんでも、何日に一度かだけここに住まう魔獣が暴走するらしく、それを全員で阻止しにいくらしいのです。
一定以上のダメージを与えると正気に戻るらしいのですが、ゼットンさんでも何回か攻撃しないとならない程らしいので総員で立ち向かうらしいです。
不思議にもこちらには一切反撃はしてこないばかりか、受けた攻撃力が浮かんで見えるらしいです…?
ですので、皆の成長ぶりの確認も兼ねて行っているのだそうです。
そんなことを聞きながら森を歩いていると、名札をぶら下げた小さなモノが地面に蹲っている。
「おぎゃあ、いまうまれたてあるけないえいえん」
生まれたての割に流暢にしゃべるその子の名札には、「あかねあらためしろねこ」と書かれていました。
「おぎゃあおぎゃあ」と泣き声を表すように喋っています…?
「にゃ!?仲間の子供かにゃ?」
とにゃっち。
「え?猫?どこどこ?」
とねこ丸。
「あ、ねこちゃん♪かわいい~(^^)」
さばがそういうと、
「黒猫もいいけど…白い仔もかわいいです♪」
と黒猫が言い、
「いやぁ~んしろねこ♪」
とこまるるが、
「ご飯何処だったっけかな?」
と猫またがポケットをまさぐり、
「猫はすべてかわいいのであり!」
とまひわが続く。
にゃっちやさば達がそう言ってうれしそうにしているが他の皆は苦笑いしている。
そんな中、ゼットンはそっと歩み寄り、
「こんにちはー!キミどうしたの?迷子ですかー?」そう話しかけた。
「しろねこあるけないえいえん。…抱っこ」そう答えてきたのを聞き、微笑みながらそっと抱き上げて肩に座らせてゼットンが言う。
「キミもおいでー。一緒にいこう!」
優しき戦神はその子を肩に座らせて悠然と歩き始めた。
しばらく行くと横の茂みから話しかける存在が。
「やあゼッポン。行くのか?」
「では我も同行し上達の程を見てやるとするか」
草が揺れ親しげながら尊大な声の主が現れた。
…とてもカワイイ小ぎつねさん…
(どうみてもそれほど強くは…いやむしろ皆よりもずっと弱いと思うけど…この落ち着き払った大物感はどこからくるのだろう?)
ヤチホコが不思議がっていることに気づいたのか、
「ゼッポン、この未熟なコゾーはなんだ?」
(僕の膝までもない子ぎつねがよく言うなあ(笑))
そう思っていたらかぷ!っと足に痛みが。
「イタタ!な、何する、僕は何にも」
「…コイツ弱いくせに態度悪い」
「ムッ!キミよりはじゅーぶん強いと思いますが?」
ヤチホコは子狐?相手に向きになって反論してしまった。
カワイイ外見に不釣り合いなほど不貞不貞しい笑みを浮かべきつねは言い放った。
「なら理解の及ぶように相手をしてやろう」
「~~!!後悔するなよぉ!くらえ!」
「あ!だめですー!危な…」
ゼットンが言い終える前にヤチホコ飛び込みざま拳を振り下ろす。
直撃したと思った瞬間、とてつもないトゥム(彼らの言葉ではエナジー)の奔流がその場より吹きあがる!
見る見る吹きあがり何かを形成していく…。
そこには…先ほどとはまるで次元を隔絶した純白に輝く巨大で途方もない力を秘め、九つの尾を携えた巨狐がいた。
「あちゃー…!ヤチホコさん、ダメですよー!偵察したら本当の強さわかりますよ…て、もう聞こえないですよねーw」
エナジーの奔流に直撃したヤチホコは瞬時に皆の視界から吹っ飛びながら消え去っていった。
しばし遅れて遙か遠くからドップラー効果のかかった悲鳴がかすかに聞こえただけであった。
這々の体で戻ってきたヤチホコを見やりきつねは言葉をかける。
「見る目を養うことだな。我と満足に戦えるのはゼッポンくらいぞ?」
先の子ぎつねは世界の治安維持のために方々に散らしてあるきつねさんの分御魂、こちらの言葉で分身体だそうです…。
「確かにこの子ぎつねは貴様より弱い。ちび蜥蜴も手こずる。
しかし我とこの様に結ばれているので何かの折りにはすぐ解決できるのだ」
…まだまだ感知は未熟なことを痛感させられましたが、気を取り直して歩を進めます…。
歩いていくと…見えてきました!大柄なゼットンさんと比べても比較にならないくらいに大きい!
山かと思いました(^^;
「…一番良い事は…与えたダメージによってはお肉がいっぱいもらえることですー!」
うれしそうなゼットンの言葉を聞いて再度見やる。
(…これは確かに…反撃されたらひとたまりもないですね…)
「ボク、やってみる!」
スセリはそう言って巨獣の前に立った。
徐にエナジーを練り上げて増幅していく…。
「なんだ。女の子の方がずっと強いじゃないか」
感心したようにきつねが言う。
(た、たしかに…。スセリちゃんいつになく集中していますね…)
大きく息を吸い込み、軽くその場で蹴りあがり、着地と同時に強く踏み込んで突進する。
「螺旋撃!」
拳を中心に風を巻き込みながら切り裂く刃と化して放つ。
強い打撃音と共に魔獣が少しふるえた。
「あ、何か見える…ひゃくまん!やったぁ♪」
「すごいですねー!初めてにしてはイイ線行っていますよー!百万超えると肉が落ちてくるんですよー♪ゴクリ♪」
どうやら相当好物らしく、喉を鳴らしながらゼットンはそう答えた。
「スセリちゃん良きです笑 ではみんなも始めましょう!」
めーしゅの言葉で次々と試していく。
「う、うわぁ…(^^;」
uru、雷牙と続き軽々とスセリの数字を抜かしていく。
many、bBCROSS、G13、AIZEN、レンケン、トライブレッド、サイポン、風宮、るうい…みんな軽々と500万以上を叩き出す。
ryuta、Myanthill、アリアントン、ダンソンをはじめ何人もがなんと1000万を超える打撃を放っていた。
「俺は逃足の速さが売りだからなー!」
そういいながらも石の下の虫、通称ゲジ兄も600万をゆうに超える。
tora、ア=ナーゴに至っては2~3千万ものダメージを叩き出す。
「…みんな終わったようですし、行きますねー!…戦霊兵装!恐竜の王!」
ゼットンはゆっくりと歩を進め、揺らめきながら姿を変え巨大化していき魔獣に近づいていく。
大地が揺れたかの様な衝撃がはしり、天まで連なる巨獣が地響きをあげて片膝をつく。
その後ゆっくりと地面に潜って消えていった…。
「ご、五千万…!すごすぎです…」
「今回はこれで終わりですねー。次またみんな頑張りましょー!」
ちなみに僕は80万でした…。スセリちゃんに負けてしまいました…。
「まあ、技の効き具合がこの巨獣の巣窟では何故か大きく揺らぎますからねー。」
ちょっと短いですが次から少し場面とお話が動きますのでいったんここで切ります(^-^;