1.生い立ち
※以前、短編で投稿した【美醜逆転→不幸?幸福?】の設定と内容を少しだけ変えて、王子視点にした連載作品になります※
18年前、眉目秀麗な【ゲンリフ・ハビフレア国王】と容姿端麗な【ディーナ王妃】との間に【ダリウス王子】が産まれた。
国王は165センチで100キロととても逞しく
王妃は148センチ85キロととても可憐であった。
第一王子であるダリウスもその遺伝子を継ぎ、たくましく育つと思われた……
ところが、成人(18歳)を迎えたダリウス王子は
178センチの70キロととても貧相な身体になっていた。
食べる量は国王や王妃とかわらないのだが、何故か筋肉がうっすらと浮き背は無駄にひょろひょろと伸びていった。
ダリウス王子が2歳の時から変化はおきていた。
身長は標準値だったが、体重は標準値より10キロも軽い13キロ。
「もしや何かの病気か」と心配され幾度と医師に診てもらったが異常はなく、安心して良いのかどうかと城の者達は困惑していた。
さらにダリウス王子は目が二重で大きく、鼻筋の通った顔をしていたため、一重でぽってりとした鼻の整ったお顔の両親から産まれたのに何故?と城内の七不思議の一つになろうとしていた。
二つ下の【イーノス第二王子】が産まれ、国王そっくりに育っていった事でダリアン王子を憐れみ、公の場に出すのは可哀想だと言う声が出始めたのはイーノス王子三歳、ダリウス王子五歳の時。
その後十三年間、ダリウス王子ではなくイーノス王子が公の場へ姿を見せてきたのだ。
その間ダリウス王子は武芸を磨き、知識を広げ深める事に没頭していった。
両親や弟との11時と15時のおやつタイムを削り身体を動かしていった結果が、国王や弟とかけ離れた身体を造り上げていたことに誰も気づくことは無かった。
そして今日も、ダリウス王子は武芸を磨くため騎士団の練習場へ向かった
◆
「今日も邪魔するぞ」
「ダリウス王子…本日も鍛練ですか?」
「あぁ、俺は第一王子として民の前に姿を晒すことが出来ないからな……」
「そうですか……それにしても王子、きちんとお食事は取られておりますか?」
「父やイーノスと同じ量を食べているんだが、なかなか身体に肉がついてくれなくてな」
騎士団長のクレート・フルッティ(38歳)は183センチ、121キロの大柄である。
大柄ではあるのだが、身体は筋肉でゴツゴツとしており女性受けは悪く国王と同じ歳でありながら独身だ。
騎士団員はクレートと近い体型の者ばかりで、適齢期を過ぎても独身の者が多かった。
「俺ももっと食べて肉をつけなければいけないが、お前たち騎士団も細過ぎではないかと毎度思うぞ」
「ははっ!全くですな!」
「そのように細くて大丈夫なのか?給金が少ないなら父に掛け合うぞ?」
「年に一度医師に見てもらってますが、いたって健康との事で。給金も30万も貰ってて文句なんてないですよ」
「そうか、なら安心だ」
ハビフレア国の平均的な月収が15万と考えると、騎士団の給金はそこそこだ。
しかも独身者には寮、既婚者には家を無料で提供し食堂も無料で使い放題。
給金を全部好きに使えるのだから高給取りとも言えるのに見た目に難有りで独身者が多い。
「クレート、質問をしてもいいか?」
「なんでしょう?」
「男は見た目か?財力か?地位か?」
「どうしたのですか、ダリウス王子」
「俺もそろそろ結婚を迫られていてな」
「王子……独身の俺にききますか」
「……すまん」
二人はそんな会話をしながらも体力を上げるために走り込みや模擬戦を行って汗を流した。
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