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8.書体の話

 偉人の方々の敬称は、省かせていただきますが、尊敬はしております。


 前回のジャンルの話の中で、篆刻の説明に、「篆書(てんしょ)」という言葉が出てきました。

 「何それ?」と、思った方もおられたのではないでしょうか?

 これは書体の一つです。


 書体の話をする時は、中国の歴史の話にもなるのですが、書道の書体にだけ焦点を当ててすごく簡単に説明していきます。



 「篆書」とは、漢字の中でもっとも古い書体で、広義には(しん)代より前に使用されていた書体全てのことを指します。

 一般的には特に、「小篆(しょうてん)」のことを指します。

 

 現在も印鑑(いんかん)などによく使われている書体ですね。


 紀元前十四~前十一世紀にわたる(いん)王朝晩期の遺跡から出土した、亀の甲や獣骨に刻した占いの記録文字のことを「甲骨文(こうこつぶん)」と言います。

 これとほぼ同時代の青銅器に刻まれた銘文(めいぶん)を「金文(きんぶん)」と言います。

 「金文」は次の西周(せいしゅう)東周(とうしゅう)時代にも用いられました。

 「金文」から派生し、(しゅう)太史籀(たいしちゆう)(人名)が作ったと伝えられる、東周時代に使われていた書体を「大篆(だいてん)」や「籀文(ちゅうぶん)」と言います。

 始皇帝(しこうてい)時代の石刻(せっこく)文字で、(しん)李斯(りし)(人名)が大篆を簡単にして作った標準字体を「小篆(しょうてん)」と言います。

 


 次に、「隷書(れいしょ)」の説明をします。

 「小篆」を簡略化・直線化したもので、秦の獄吏(ごくり)程邈(ていばく)(人名)が作ったと言われています。

 前漢頃の筆法が素朴な隷書を「古隷(これい)」と言い、後漢頃の装飾性を加味した隷書を「八分(はっぷん)」と言って、区別することもあります。



 篆書から隷書に移る過渡的時代に、簡牘(かんとく)(木簡・竹簡)に書かれている古隷や一種の雑然とした書体のことを、書道では「木簡(もっかん)」と呼びます。



 それから、前漢頃に篆書、隷書を簡略化し、くずした書体、「草書(そうしょ)」が生まれます。

 

 ちなみに、「ひらがな」もこの書体から生まれたと言われています。



 さらに、後漢の劉徳昇(りゅうとくしょう)(人名)が隷書をくずして速書(はやがき)にしたものに始まると伝わるのが、「行書(ぎょうしょ)」です。



 そして、隷書から転じたもので、南北朝頃から唐の頃にかけて標準字体となったのが、「楷書(かいしょ)」です。


 私達が普段よく使う書体です。



 そもそも、文字は思想、感情の発表、伝達、記録の手段となる言葉や音声を書きあらわす符号です。

 それを分かりやすく、より多くの人に伝えたいという思いが、こうして書体の変化へとつながったのかな? と、愚考します。

 そして、その変化が書道の芸術性をより高めるものとなっているのではないかと、書を勉強しているものとしてはとても興味深く、面白く思います。


 文字は、中国の古代に蒼頡(そうけつ)(人名)が鳥の足跡を見て文字を思いついたという故事により「鳥跡(ちょうせき)」とも言うそうです。

 漢字の起源に神話があるのは、夢があって素敵だと思います。


 

 前にも書きましたが、現代はPCが普及し、手書き文字が減ったような気がします。

 ですが、様々な書体に思いや想いをのせて自由に表現できる手書き文字の方が、より気持ちが伝わるものだと私は思っています。

 文字をただの符号ではなく、思想、感情の発表、伝達、記録の手段として最大限に使うことが出来れば、人生はより豊かなものになるのではないでしょうか?






書体「馬」

挿絵(By みてみん)

 お読み下さり、有難うございます。


 簡単に書きましたが、聞き慣れない言葉が多くて、分かり難かったのではないでしょうか?

 一応、調べて書きましたが、間違っているところもあるかもしれません。

 ご興味を持って下さった方は、私の話を鵜呑みにせず、ぜひご自身で調べてみて下さい。


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