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13.私流書作品の語句選び


 書作品を書く時にどうやって書く文字を決めているのか、もっと詳しく知りたいというリクエストをいただいたので、今回はそれについて書きます。


 「自分の書きたい文字を書いている」と前に書きましたが、その時々によって選び方は様々です。

 公募展に出品する時に、何も思い付かない場合は、先生に勧められた文字を書くこともあります。


 誰かの為に作品を書く時は、その人に合う言葉や目的に応じた言葉を選びます。

 結婚祝いならば、送る相手に合った、おめでたい言葉。

 誕生日プレゼントならば、その方に対しての想いや雰囲気に合ったものを。

 

 展示会に出品する時は、その展示会のテーマに沿った物を書くようにします。

 堅い感じの展示会ならば、真面目な堅めの古典的な作品を。

 フレッシュな若々しい展示会では、もっと自分らしさを出した挑戦的な作品を。

 公募展ならば、あまり他の人が書かないような語句を選ぶようにしています。


 まず、語句を決めてからどの書体でどのように書くか考えることが一番多いですが、先に書体を決めて、これで書きたいからこの漢字にしようと選ぶこともあります。

 公募展に出品する時は、特に語句の意味よりも、視覚的な形の方が大切になりますから、後者の決め方も多くなります。

 どんなに意味が良くても、視覚的にはとてもつまらない文字、熟語もあります。

 公募展では、誤字などの審査も厳しくなりますから、審査員の先生方の調べられない書体や文字を書くのもよろしくありません。

 あまり多くの人が書かないであろう、辞書にはしっかりと載っている文字を探します。

 とは言え、一字作品では大抵どの字も書かれているので、表現しやすそうな字を選んでしまいますが……。

 二文字以上になると、書かれていない語句を選ぶことがもっと容易になります。


 他には、淡墨作品を書きたいからそれに合った語句を選んだり、多字数を書きたいから漢文を書こうという選び方をしたりすることもありました。



 先生は、普段からメモ帳を持ち歩いて、目についた良い言葉を書き溜めておくようにしているそうです。

 その中から展示会などに合うものを選んで、書くこともあるとか。

 

 私も思い出した時にはメモするようにしていますが、忘れることもよくあります。

 結局、その時々で辞典をめくって良いと思った字を書くことが多いです。


 書道作品用の語句を集めた本もありますが、そこから選ぶと大抵誰かが書いているので、公募展に出す時は、なるべくそこからは選ばないようにしています。

 ただ、お堅い展示に出す時や誰かにプレゼントする時などは、その本を参考にすることもあります。



 書いてみないと雰囲気もつかめないので、試し書きをして変更することもありますし、語句選びは楽しいけれど、とても悩むところです。

 公募展なんかは、これの成功失敗で入選するかどうかが、大方は決まってしまうかもしれませんね。






 お読み下さり、有り難うございます。


 次回は、具体例を挙げて説明したいと思います。

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