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とある会社の営業達

作者: 塩味

気分を変えたくて書いていました。

最初はよくある転生系だったん...ですが...何故か送る側へ変わっていきました。


「はぁ〜…今月も成績上げれなかったよ…」

「元気だしなよ、ハチちゃん俺も変わらないよ」

「うぅ…そ、そうだな。せっかく月末の飲み会なんだから飲もう!」

「じゃあ今月も…」

「「お疲れ様!乾杯!!」」


ここはとある場所にある普通の居酒屋だ、同じ地域に何店舗もある俗に言うチェーン店である。

手頃な価格で飲めてそれなりの品数の料理を提供している、薄給の宮仕えにはとても助かる良心設定だ。

その居酒屋で飲む2人、最初に弱音を吐いていたのはひょろりとした髪が若干緑に見える細い男である。それを励ますのは細めだがしっかりと鍛えてるのがわかる体つきで赤い髪を短く切っている男だ。

彼等はとある会社で働く同期であり、現在抱えている仕事の業績が中々上がらず上司から小言を言われる仲間なのだ。


「にしても、今月は惜しかった…あと一件か二件で先月よりも上がったんだがな」

「僕も一緒だよ…ほんと…あの一歩が無ければね」

「まぁ俺たちは互いに業績が上がらない仕事を押し付けられてるからな…」

「でもここさえ乗りきれば!」

「あぁ!きっと次の仕事はもっとやる気が満ちる案件かもしれん!!」

「そういえば鉄ちゃんは彼女とはどう?花子さんは」

「な、なんだよ藪から棒に…まぁ順調だよ。俺が薄給でも彼女は優しく笑ってくれるから頑張らないと!って思ってな」

「それなら安心だよ、紹介した甲斐があったよ」

「ほんとありがとよ、まだ遠い将来だが結婚したら俺はお前と親族だから」

「ははは、笑っちゃうよね」


花子とはハチの従姉である。

気立てはよく、男の一歩後ろを歩いてくれる気のきく女性である。以前から叔父と叔母にいい人を紹介してくれと頼まれてのだが、薄給でもいいのならと鉄彦を紹介した所…見事に交際が始まり既に数年経っている。叔父と叔母に会うと結婚が楽しみでしょうがないそうだ。


「そういえば、後からダン先輩来るってよなんか友達連れて来るってさ」

「ダン先輩が?元気かな〜暫く会ってなかったね」

「あぁ我が社のエースだからな、忙しい日々だそうでな」

「僕達も見習って頑張らないとね!」

「あぁ俺らだっていつかはエースだ!」


乾杯!!!と居酒屋の喧騒に消えゆく声は明るい希望を持っていた。そしてそれなりに時間が経った頃に店の戸が開かれる。


「すまん!遅くなったな!!」

「「お疲れ様です!!」」

「ははは、そんな硬くなるな今日は飲むぞ!!その前に紹介しておくかこいつが…」

「初めまして、部署が違うので初顔合わせだね。学ですよろしくね」

「…ダ、ダン先輩」

「なんだ」

「ま、学さんって…」

「あぁ集団部門で1位の学だ、今日は聞いてみたい事も聞いとけよ〜?」

「あわわ、我が社の2大エースが…!」

「お、俺は鉄彦って言います!」

「僕はハチです!!」

「ふふふ…そんなに緊張しなくてもいいですよ、今日は楽しく飲もうね」

「「はい!!」」


4人はワイワイ騒ぎながら楽しく飲んでいた。

居酒屋が閉まる時間まで飲み、何も言わずに二次会へ向かう。そこで2人のエースに後輩は仕事のアドバイスを頂いていた。


「いいか、俺の場合は勢いだガッてやればなんだかんだ上手くいく」

「私の場合は、タイミングかな全員が綺麗に集まってる時にピシャリと決めてね。あ、マホさんにも手伝って貰ってるけどね」

「俺の案件では中々そのタイミングが来なくてですね…こないだ上司に物件で起こる事を全て案件にする許可を貰ったんですが、現代では中々そんな事が起きなくてですね…」

「現代ではかなりその当たりが厳しくなってきてるからね…そうだね…別部署のデス君に話を通してみようか、彼ならその問題を少し解決してくれるかもしれない」

「あ、ありがとうございます!!」

「ぼ、僕はどうすれば…」

「君は普段何処で仕事を?」

「T県の〇〇市の△△通りです」

「あーそこは人通りが少ないだろ?別部署の連中がやらかしてよ、幽霊が其処に溜まってるそうだ」

「ふむ…しかも君の案件の少し手前だね、それなら思い切って場所を変えてしまおう」

「え、いいんですか?」

「当たり前だろ、会社でも効率が悪い場所より良い場所の方が好まれる」

「そうだね…ここはどうだい?」

「…すごい、今の場所よりも遥かに人通りが多い」

「心機一転頑張れよ」

「は、はい!」

「ワハハ!!よーし!!今日はあの店行くか!」

「いいですね、気分も乗ってきましたし是非行きましょう」

「夜はまだまだ終わらんぞ!!!」


……

………


はぁ〜こないだは凄かったな…最後のお店も凄く楽しかったなぁ…また来月末行きたいな…その為には…!

パンっ!と頬を両手で挟み気合いを入れ直す。

そして下を見ると人人人、様々な職種の人々が朝の忙しい時間を進んで行く。


「よし、先ずは調査」


ポチりと片眼鏡の横ボタンを押すと人が全て白黒になる。何人かがカラーの状態で頭の上には数値が出ている。


「おぉ…!す、既に前の場所より多いぞ!!数値はどれも高め…コレはチャンスだ!」


僕は大慌てで準備を始める、しかしこないだの飲み会の時のアドバイスを思い出す。

一旦深呼吸して落ち着く、煩かった心臓が心なしか落ち着いていく…よし、もう一度確認だ。

再び片眼鏡で覗いてみれば先程の数値が上がっていた。彼は既に『この世に』未練は無いみたいだ。

日常を過ごしつつ他人とは違う何かに憧れている…じゃあここで僕の仕事だ。

僕は彼が建物の脇を歩いてるのを確認し彼の隣の建物に移動する。そして窓を開き彼の位置を確認しつつ、構える。

5…4…3…2…1!!!!


『パキン!』


ドサリと彼は倒れる、頭に『鉢植え』を受けて。

しかし周りはそれに気付かずに歩いて行く。

そこで何も起きなかったように…



……

………


「デスさんご協力ありがとうございます!」

「ははは、いいよ実は僕も昔にこの案件を経験しててね。学君から話を貰った時はすぐ返事したよ」

「聖人ですかね?」

「学君は未来ある人には優しいからね」

「おぉ…おっと、それで俺はどうすれば?」

「そうだね、じゃあ先ずはいつも通り見てみて」

「どうだい?」

「やっぱりこの仕事で人生諦めてるやつは少ないですね…」

「じゃあ其処に運を足してみて」

「はぁ…あれ?増えた?」

「漫画とか小説では無いけど、結構運に左右される人々は沢山いるんだ。そしてこういう現場では少しの凹凸で足を取られて落下死なんてのもある」

「なるほど…足元が危険な所で作業してる人が不幸にも落下死してしまったとか、鉄骨が不幸にも頭上にも落ちてきたって事になるんですね」

「そう、だから君が今から気をつけるのは働いてる人の場所をよく見てからやってみてよ」

「わかりました!あ!?チャンスだ…!」


高所作業とは常に死と隣り合わせである。

故に高所作業の場所には落ちないようにロープが張られたり仕切りが設けてある。しかし施工上張れない箇所などは出てくる、其処を通る時は勿論細心の注意を払っているだろう。

男は黙々と作業を行っていた、今日の分の工程を進めるために仕事をこなしていく。一箇所終われば次へまた次へ…ゆっくりだが確実にこなしていく姿は会社でも高い評価を得ている。そんな彼の欠点は人と話す事が苦手であり上手くコミニュケーションを取れない事だ、直々の上司からももう少し交流を深めておけと言われるほどに上手くいかない。周りも話しかけてくれるが仕事中の彼はとても話しかけづらく情報が時にいかない事もある…

そして再び一箇所完成した彼は次へ移る。

彼は道具を持ち運び現場を歩く、その時足元が崩れ落ちていく。落ちていく時の彼の思考は何故?どうして?で満たされていた、そういえば別の新しく来た業者さんが居たな…と思い出し結局は自分のコミュニケーション不足と結論が出た。下にはネットがあるから死にはしないと思ってたが道具の重量を考えてなかったようで、ネットで受け止めたが一部分破れそこから再び落ちていく。あぁ短い人生だったな…と思う頃には帰らぬ人へとなっていた。


「おぉ…途中引っかかったけど、成功だ!」

「最後にネットが破れたのが運に影響されてだね」

「そういう事なんですね…ありがとうございます!」

「じゃあ今度から数値が高い人を見つけてこのカメラで撮るんだ、すると運が下がるから」

「はい、ありがとうございます!!」


……

………


「よーし、ビール揃ったか?」

「ありまーす」

「では…後輩2人の営業トップを記念して」

「「「「「乾杯!!!!」」」」」


翌月僕達は先月と同じ居酒屋で乾杯していた。

先月悩んでいた後輩2人は見事に今月の1,2トップとなり、上司達からもベタ褒めされたのだ。


「あ~仕事終わりそして月末!ビールがうめぇ!!」

「ちょっと今日は後輩のお祝い何ですから、飲みすぎないでくださいね」

「一杯目は勢いよく飲みたいんだよ、ちゃんとわかってらぁ」

「二人ともほんとよくやったね、僕の部署でも話題に上がってたよ!」

「いえ、先輩方のアドバイスを頂いたおかげですよ!」

「ほんとに...」

「「ありがとうございました!!」」

「ははは、よせやい照れるぜ」

「貴方はまともなアドバイスなんてしてないでしょう?」

「言ったぞ、ガッてやるのがいいって」

「でもダン先輩が学先輩を紹介して頂いたのでこうして成績があがりましたよ!」

「出来た後輩だハチ君、君には今夜すんばぁらしぃ店を紹介しよう」

「ダン君...君は後輩をあの店に連れていくつもりか」

「いいじゃないか」

「あそこは難易度が高すぎる次回にしときなよ」

「ッチ」

「(どんな店だよ...)」


夜は更けていき皆がそれなりに酔った時、一番赤い顔の鉄彦が突然立ち上がる。


「皆さんに報告しましゅ!!」

「よっ待ってました!!」

「この度わたくし鉄彦は彼女と結婚することを決めました!!!」

「「「「おーーー!!!!」」」」

「結婚するにあたってもっともっと仕事をして彼女を幸せにすることを誓いましゅ!!!」

「いいぞーー!!!日本一!!!!」

「鉄ちゃんが親族になるのかぁ...」


男たちの宴会は続き、翌日が休みもあり学の家に突撃しに行く。

学の家族は驚きつつも笑顔で歓迎してくれ、子供たちはダンに纏わりつき最新作のゲームをし始める。

奥さんは苦笑いしつつも怒らずやりすぎないようにと注意だけして、軽いおつまみを作り始める。

宴は続き、子供たちが寝てついでにダンも寝てしまったが鉄彦は夫婦生活のアドバイスを学夫妻から頂いていた。デスとハチは変な趣味が当たったのはずっとそれについて語っている、内容はとてもじゃないが子供には聞かせれないことであった。


...

......

.........


「ん~気持ちいい朝だな」

「朝から銭湯っていいですね~」

「すっきりしました」

「では、俺はここで帰りますね!」

「あぁ、嫁を大事にしろよ」

「花子さんによろしく」

「困ったことがあったらまた相談してね」

「はい!お疲れさまでした!!!」



翌日

週の始まり憂鬱な月曜日。

どこの世界も月曜日は皆嫌いである、来なくていいと思ってる人々は少なくない。


『株式会社異世界転生』


この世が詰らないと思う人

この世が嫌いな人

この世で人生積んだ人

その他etc.


そんな人々を別の世界へ転生させたりするのがこの会社の仕事である。

ここ50年で人は増えすぎ世界は知らぬ間に容量オーバーに近づいている、それを防ぐために様々な願望を持っている者を送るのである。


今日も彼らは働く


ダンプトラックで飛び出した少女や猫を救うための人々を

平穏な学校生活から突如足元に現れた魔法陣でクラス全員を

通学路で上から鉢植えを受けた人を

工事現場で働く人を


彼らは『世界』の為に働くサラリーマンである

簡易紹介


ハチ

花子の従弟、平凡、最初の営業は「鉢植え」を落として送る仕事。

わりとえげつない趣味がある、デスとは趣味仲間になった。


鉄彦

新婚さん

現場での事故死等を担当

ハチが親族になるのが慣れない


ダン

会社のエースの一人

花形営業のダンプトラックを担当している。

送った人は数知れず、同じ営業に大差をつけている。

飲むときの店がたまにエグイ


会社のエースの一人

学校等での集団転移系をやっている。

過去に学校を丸ごと送った事も...

愛妻家


デス

俗にいう死神

相手の運等を操作する

ハチと意気投合し、今度イベントに行くらしい。

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