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本日のおすすめ『焼き魚? 』

気がついたら2月になってましたm(_ _)m


不定期連載ミニコーナー……『万屋☆明正屋』的な扱いの作品でございます(´Д⊂グスン


よろしくお願い致しますヽ(=´▽`=)ノ

キシギディル大陸のドゥラ=キシグ香国のソーラン港町に『飛ぶ羊亭』という小さな食堂がある。


安くて新鮮の魚を使ったソコソコ美味しい料理とのんきな店主にあいに今日も常連客がのほほんとしにやってくる。


魚の焼ける香ばしい脂の匂いが漂う坂道を長い茶髪を三つ編みにした特徴的な髪型の筋肉質な男が歩いてくる。

腰に大きなフランベルジュを佩く(ハク)、縦襟で長袖の長衣と細みのズボンに額当てをつけた茶色の眼光鋭い男はグーレラーシャ傭兵国人らしい。

羊をかたどった木彫りの素朴なか看板がかかった店の扉に手をかけて開けると入り口の鈴の音がカランカランと鳴り響いた。


「いらっしゃいませ〜」

のんきな声が聞こえてきた。

中性的なでも一応女性なエプロンをつけた羊獣人混じりの人族がカウンターのなかから微笑んだ。


すでに何人か常連客が来てるようだ。


「いい匂いだ」

カウンター席にどかっと座って男が笑った。


「今日は焼き魚フェアやってまーす」

そう言いながらおしぼりと水を男の前においた。

「青身魚を多く仕入れちゃったのよね」

店主アドリアナの曖昧な微笑みに常連客のエルフのピアナが鯖のカータシキ風味焼きをフォークでつついた。


エルフは言わずとしれた耳の尖った麗しい森の民でヒデルキサム大陸のケレス森国に主に引きこもるように暮らしているが素晴らしい細工物を制作するためたまに変わり者が交易するために世界を回っている。


ピアナも交易商人である。


「塩焼きにレモン絞った鯵もいけるぞ」

水人族のファシルがフォークを振った。


水人とは水中に住む手足の間に水かきと尾びれ胸ビレの人族だ。

海に住む人類の中で一番人に近く地上に一月連続でもいられる種族である。

もちろんソーランのような貿易港には水人族や短いながら地上に出られるマーマン族がすぐに入れるように水桶が道にソコソコ設置されている。


そして宿も水種族専用の水桶の寝床バージョンがだいたい一部屋かふた部屋設置されているものである。

ちなみに水人はソコソコ地上に出てきている、目的は単調な水中での食事とは違う地上の食事を味わうために来ているので食堂での遭遇率が高いのである。


ドゥラ=キシグ香国は外海と内海キシグ海に面した香木や香料や香辛料の一大産地で有名で交易が盛んなのでソーランのような港町にはたくさんの人種がやってくるのである。


「……この鯵の唐揚げ甘酢ソースを甘味ましで、ハニー酒にハチミツを足してくれ」

グーレラーシャ人の専業傭兵ラウティウスは壁にかけられたホワイトボードのオススメは焼き魚ですと書かれた大文字をいちべつしてからメニューに目を向けて注文した。


グーレラーシャ傭兵国はヒデルキサム大陸とキシギディル大陸に海峡をへだてて存在する大国で国民総傭兵の国である。


国を上げて傭兵を育成するかの国でも専業傭兵は少ない、ほとんど本業もちの兼業傭兵である。


それでも外国人が思い浮かべるはラウティウスのような筋肉質で体格のよい茶色から赤毛を長い髪を一本三つ編みにした専業傭兵であろう。


「唐揚げ熱いからなぁ」

店主がぼそぼそ言いながら鯵をさばきだした。

三枚におろして血を軽く流してビニール袋に入れて小麦粉にまぶす。

フライパンを置いて一方にオリーブオイルをそそいで火をつけた。

「アドリアナさん本当に暑いの苦手ね」

ピアナが白ワインをかたむけた。

「お仕事なので頑張りますけどね」

ふうっとため息をついてトングで油の温度を見ていた店主は細かい泡に頷いて鯵の身を滑り込ませた。

音を立てて味が上がっていく横で生姜を手早くみじん切りにして玉ねぎとトマトも串切りにした。


小さなフライパンをコンロにおいた。


オリーブオイルを少量しいて生姜を入れて香り立たせる。


「いい匂いだね」

カランカランと扉が開いて青いローブをまとった青年がはいってきた。

「美味しそうなの〜」

薄茶色の子犬のような白い小さな翼を持つ生き物が青年の足元から見上げた。


「いらっしゃいませ〜」

玉ねぎを加えながら店主が微笑んだ。


彼らはカータシキ魔法塔国から来た魔法使いと使い魔である。

ヒデルキサム大陸にあるカータシキ魔法塔国は魔法使いの国である。

たくさんの魔法使いの塔が建ち並んでいるその都市を観光すると首が痛くなると評判である。


「今日は焼き魚フェアやってるよティアンさんリーちゃん」

ピアナが使い魔リーにニコニコしながら手招きした。

「わーいなの〜」

ポテポテとリーはピアナの方へ歩いていった。


リーまちなさいと言いながらティアンがカウンターの前に行った。

ここに座るの〜とリーが椅子を見上げたのでため息をついて抱き上げてティアンは椅子にすわった。


その間に店主は揚げ物をバットにあげてフライパンに玉ねぎを入れた。


「砂糖は二倍……三倍……四倍じゃまずい? 」

「もっと入れてくれ」

計量スプーンで砂糖を小さなボールに入れていた店主にラウティウスが声をかけた。

グーレラーシャ人は極度の甘党である。

いいのかなぁとつぶやきながら店主が砂糖をもう二杯加えて魚醤とリンゴ酢を加えた。

水を加えてかき混ぜてフライパンに加える。

水蒸気が上がった。


「生イワシの開きを塩なしで焼いたの一つ、リー用で、イワシのムニエル定食をパンでお願いします」

「はい〜」

店主はおてふきと水を一つはコップもう一つはお皿に入れてティアンとリーの前に置いて作業を再開した。


揚げた鯵をトマトを添えた少し深い皿に入れて上からソースをかけた。


「鯵の唐揚げ甘辛ソースがけおまちどうさまです、あとハニー酒ハチミツましでしたよね」

「ああ、うまそうだな」

ラウティウスの前に皿を置いて棚からハニー酒を出してジョッキに注いだ。

ハチミツ瓶からハチミツを注いでマドラーでかき混ぜるとそれも出した。


「次はイワシっと」

店主はイワシを出してさばきだした。

楽しみなのーと言いながらリーはしっぽをぶんぶん振った。


「うまい……さけにもう少しハチミツ足してくれ」

ラウティウスが鯵をフォークで食べながらジョッキを出した。

「はいはい」

ハチミツ瓶からお好きなだけどうぞと店主が目をやったのでラウティウスがハチミツをハニー酒にダラダラと入れた。


「げ、相変わらず甘党傭兵だね……ラウさん、やっぱりあれで呼ばれたわけ? 」

ティアンがハチミツを入れ続けるラウティウスに歯が浮きそうとつぶやきながら目を向けた。

「貴方もそれで呼ばれたのではないのか? 」

半分以上ハチミツのハニー酒をかき混ぜながらラウティウスが鋭い眼差しをティアンに向けた。

「うん、まあそうだよ……魔物を伴う海賊団の討伐」

「なるほどな……どこから召喚したかわからぬ魔物には天才魔法使いが呼ばれたわけか……」

ハニー酒を一口飲んでラウティウスはニヤリとした。

「天剣のラウティウスにはかないませんよ」

ティアンは水をリーに飲ませながら答えた。


最近ドゥラ=キシグ香国、ミル=キシグ古王国、メア=キシグ武術国やギアムシュ竜連邦沿岸部で謎の魔物を伴う海賊団が暴れまわっているのである。


特にドゥラ=キシグ香国沿岸部は貿易が盛んで商船が多いので狙われることが多いらしい。


天剣のラウティウスもグーレラーシャ王立傭兵ギルドに来たキシギディル大陸の中心にあるキシグ内海に属するキシグ同盟の三国の依頼を受けて仲間とともに来たのである。

ティアンもカータシキ魔法ギルドより同じように依頼を受けたと思われる。


この二人、案外この辺りによく来るのでなれてると思われているのである。

ティアンはこの辺りに研究対象があるといいラウティウスはメア=キシグ武術国がちかいから強い奴が多いから修行だと言っているが果たして真相は……である。


なんだかんだ言って二人共必ず『飛ぶ羊亭』に顔をだすのである。


ちなみにグーレラーシャ人は港町の人間以外は肉を好む人が多いのでラウティウスの仲間は別の店に行ったようである。


「海賊怖いですね〜」

三尾のイワシに小麦粉をまぶしてオリーブオイルを引いたフライパンに店主が置いた。

ついでにゆでてあった芋とブロッコリーも入れて蒸し焼きにする。

魚焼きグリルにもイワシの開きを一尾いれる。


魚の焼けるいい匂いが立ちこめる。


店主は心なしかふるえてるようだ。

海賊に攻め込まれた港町はまだないようであるがどうなるかわからないからである。


「ここまでこさせない」

「僕がいるから大丈夫です」

ラウティウスとティアンが店主に力強く答えた。


ありがとうございますと言いながら店主はお盆にイワシのムニエルと付け合せ野菜の乗った皿と魚のアラで出汁を取った魚醤味の野菜スープとパンと素焼きのイワシを小さく切って乗せてティアンとリーの前に出した。


美味しいの~とさっそくリーがイワシの素焼きを食べ始めた。

魚の骨はきちんととってあるようだ。


絶品ですねぇとティアンも野菜スープを飲んでうっとりとした。


「あらあら……若いって良いわね」

ピアナがうふふと笑った。

「あんたもまだまだ若いぞ」

ファシルがパンに魚をはさんだ。

「あら、ありがとう」

白ワインを飲み干してピアナな立ち上がった。

リーの頭を撫でて店主に声をかける。

「店長ちゃんお会計お願い」

「は〜い」

店主が手を拭いてレジに立った。



「当分いるからまた来るわね」

手を振ってピアナは出ていった。

交易商人な彼女は世界中飛び回っているので久しぶりのご来店なのである。


「相変わらず店主さん一人なんですね」

「うちはカウンターだけですから」

店主が洗い物をしながら答えた。


坂の街ソーランのかなり上の方にある『飛ぶ羊亭』は2階建ての大きな建物である。

かつてまだアドリアナの両親が経営していた時は海ビューのプチホテル『飛ぶ羊屋』だった。

今はアドリアナ一人なのでかつてのラウンジを改装してカウンター十席の小さな食堂にしたのである。


両親は仲がよい……だが230〜250歳生きる人族の父親と80〜100歳くらいの寿命の羊獣人の母親は……


まだ中年の父親はやや老いた母親とミル=キシグ古王国で現在のんびりと老後を送っている。


ミル=キシグ古王国は福祉が充実しているのである。


「誰かいい人がいないのか?」

水人族のファシルがそっとミックスジュースを手に持った。


ビクッと傭兵と魔法使いが反応した。


「私はずっと一人ですよ」

店主は薄く笑った。


人族の父と羊獣人の母を持つ人族よりの店主は人族より寿命が短いが獣人族よりはずっと長い……そのことが頭にありどうも積極的になれないらしい。


「諦めちゃだめなの〜」

パタパタとしっぽを振ってリーは顔を上げた。

「そうですよ」

「店長は可愛いぞ」

魔法使いと傭兵は便乗した。

出来れば自分を選んでほしいという下心まんさいである。

「ありがとうございます」

店長が洗い物に取りかかりながら笑った。


まったく二人の恋心は通じていないようである。


あーあ……とつぶやきながらファシルが気の毒そうに二人を見た。


カランカランとまた鈴がなって扉が開いた。

いらっしゃいませ〜とのほほんと店主が微笑んだ。


可哀想な二人はなんとなく顔を見合わせて食事に没頭したのであった。


今日も『飛ぶ羊亭』はのほほんである。



☆本日のおすすめ料理☆


青身魚の焼魚フェアやってます。

塩焼きや魚醤照り焼きもおすすめです。


※青身魚仕入れすぎました。


青身魚唐揚げも美味しいです(熱いですけど……)

読んでいただきありがとうございます♥


他サイト様でもイラスト+小話形式で何話? か公開しておりますm(_ _)m

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