03 限界からのあと一歩
ハイハイを始めて早三ヶ月。俺は立て篭っていた城から出されてしまったのだ。
寝る時は今まで通りベビーベッド(城)だから問題はない。あれ?なんか間違えた気がする?
まぁいいか。現在の俺は兄へのヘイト値が急上昇していた。
その理由はハイハイするのを邪魔してくるのだ。
その他にもたまに叩いたりしてくるので堪ったものじゃない。そんなとき俺は泣く。どうやら身体に精神が引っ張られているのは間違いではないみたいだ。
話を戻そう。
さっきまで俺の邪魔や攻撃をしていた笑みは無く、母が兄を捕まえてペロリと尻を出して叩く。
一発で泣きじゃくり、その日に悪さをする度に回数が増えていくため、兄は三度叩かれてそれから俺を睨む。
現在の我が家はこのように回っていっている。振り返ると三ヶ月も経っていたのかと物思いにふけながらこの三ヶ月を思い返していた。
〔ハイハイ〕これは実は理に適った動き方で、適度に腕や脚それに首に負荷が掛かって、全身運動になるので本当に疲れる。
限界だとそう思ったところから最後の一歩、もう一歩と何処かジムのように頑張る。
そして伸ばし切った手が出ないまま力尽きるのだが、そんな俺の行動が面白いらしくて両親は応援する。
「もう一歩だ」「あと一歩よ」「気合を入れろ」
最近ではそれを聞きつけた近所の人も見に来る程だ。
大人達がそんな俺ばかりを構うので、すっかりと兄が拗ねてしまいに行動に出たのだった。
まずは先へ行くための通せんぼ。しかし私がUターンするために失敗。
足を捕まえる。しかし気にせずに限界まで動くので問題なく歩く。
構われないことに怒った兄が私を叩くのだ。
父さんにもぶたれたことがないのに。っと心の中で叫ぶと「ウァアアアアアアン。えええええん」と泣いてみた。
すると勿論ハイハイのときはしっかり見てくれている両親。見ていたのなら助けてくれよと思わなくも無い。ただこれも教育なのかも知れないと思っていたりする。
母は教育熱心なのか怒る時は滅茶苦茶怖い。悪さをしたらお尻をペロンと出してパァーンと叩いて兄は泣き出した。
「ラスター、貴方はお兄ちゃんなのになんでレインを叩くの」
そんなお叱りから距離をとって私は泣き止み、またハイハイを続行して三十歩目から二歩進んで力尽きた。
目覚めるとベッドだった。力尽きた俺を運んでくれたんだろう。
俺は授乳して不思議な感覚である気(※魔力とはレインは思っていません。)で、いつかカメ○メ波を…と夢見て遊び続けるのだった。
レインスターは〔鑑定〕を使ったものは本当に数える程しかない。
何故興味が無いか、それは以前に自分を鑑定してみようと試みたことがあるからだ。
その結果が〔人族〕と表示されるだけだった。ここで完全に興味をなくした。
鑑定スキルを持っていても特段何かか変わるわけではなかったし、人族と表示されていたが地名によって変わるような、例えば日本人とか表示がされないのか?そう考えて混乱するだけだった。これが異世界を知らないということである。
鑑定で魔力枯渇を引き起こすこともないまま、レインスターは良く食べ良く寝て良く遊び過ごしていくのだった。
話は変わるが、俺が幼児期を変な目で見られないように過ごすための良いお手本が身近にいた。そう兄がいることで、どれぐらいで喋ったりするかを観察することが出来たからだ。
簡単な言語はたまに発するが文章では喋れないので、三歳以降にちゃんと喋ればいいのだろう。
そんなお手本は三歳となり、外で元気に遊んでくるので俺は邪魔をされずに遊ぶことが出来る。
気を使うと体力が減るというのは本当のようで、カメ○メ波の前に舞○術を使えるように飛行少年を目指して、俺はハイハイを頑張りながら新しいものを発見すると、とりあえずは〔鑑定〕してみるが、やはり鑑定の将来は無さそうだ。
そんなことを考えながら落ち込み、それでも気の可能性に支えられて「もう一歩、あと一歩」と体力づくりに励むのだった。
「少し立つのが遅いかもしれない」
一歳になる直前に両親がそんな話をしている事を聞き、必死に掴まり立ちをし始めて立つ練習を開始した。
二週間掛けて「アンヨが上手。アンヨが上手」と持て囃されるようになり、一歳の誕生日を迎えた日に俺は十歩の歩行に成功するのだった。
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